Appleが、Mac・iPad向けクリエイティブアプリのサブスクリプション「Creator Studio」のプロモーションを本格化させました。今週、音楽・料理・詩という異なるジャンルのクリエイターによる委託制作3作品をYouTube Shortsで公開し、Logic Pro・Final Cut Pro・Pages・Keynoteといったアプリの活用例を具体的に提示しています。
静観から一転——委託制作キャンペーンを開始
Appleが「Creator Studio」を発表したのは1月下旬のことでした。同時に立ち上げたInstagramアカウント「@AppleCreatorStudio」のプロフィールには「Mac・iPad向けの最良のクリエイティブアプリをひとつのサブスクリプションに」と記載されており、ここを起点とした情報発信が想定されていました。
ところが、初期のローンチ以降、Appleはこの新設アカウントを含めCreator Studioをほとんどプロモーションしてきませんでした。今週から始まった委託制作キャンペーンは、ローンチ以来となる本格的な訴求の再開と言えます。
3本のShortsが示す——音楽・料理・詩、それぞれのワークフロー
AppleがYouTubeで公開したのは、以下の3本のShortsです。それぞれ異なるクリエイターと使用アプリの組み合わせで、Creator Studioに含まれるアプリの実用例を示しています。
| クリエイター | 制作内容 | 使用アプリ |
|---|---|---|
| Ellie Dixon | 自室でのデビューアルバム制作 | Logic Pro |
| Molly Baz | 新レシピの動画化 | Pages、Final Cut Pro |
| Samba Films | 詩のビジュアル化 | Pages、Keynote、Final Cut Pro |
音楽制作にはLogic Pro、レシピ動画にはPagesとFinal Cut Pro、詩の映像化にはPages・Keynote・Final Cut Proという組み合わせで、それぞれ「ベッドルームでのアルバム制作」「料理動画への展開」「詩を映像作品にする」という具体的なユースケースが描かれています。
Instagramでは完成版と舞台裏で「制作プロセス」まで見せる
@AppleCreatorStudioのInstagramアカウントでは、YouTube Shortsよりも長尺の完成版動画に加えて、制作プロセスの舞台裏(ビハインド・ザ・シーン)の映像も公開されています。
さらに、Annie Choi氏(Ancho名義で活動)による委託アニメーション作品「After Hours」も同アカウントで公開されており、今後もインタビューや舞台裏映像、追加のYouTube Shortsが続く可能性があると見られています。
自分の制作にどう活かすか
Creator Studioに関心がある場合、まずはこれらの委託作品でアプリ間の連携イメージを掴むのが分かりやすい入り口です。たとえば、楽曲制作中心ならEllie Dixon氏のLogic Pro活用例、レシピや解説系の動画を作りたいならMolly Baz氏のPages+Final Cut Proの流れ、文章やスライドを起点に映像化したいならSamba FilmsのPages+Keynote+Final Cut Proの組み合わせが参考になります。サブスクリプションへの加入を検討するなら、自分の制作ジャンルが3作品のどれに近いか、必要なアプリの組み合わせを確認してから判断するのがよいでしょう。
価格構成と含まれるアプリ——Mac/iPadで異なる提供形態
Creator Studioのプロモーションを理解する前提として、サブスクリプションの中身を整理しておきます。Apple Creator Studioは米国で月額12.99ドル/年額129ドルに設定され、Final Cut Pro、Logic Pro、Pixelmator Pro(Mac・iPad)、Motion、Compressor、MainStage(Macのみ)の6本へのアクセスを提供しています。
- 学生・教育者向けには月額2.99ドル/年額29.99ドルの教育プランが用意されています
- Family Sharingで最大6人まで共有可能です
- 新しいMacや対象iPadの購入者は3か月無料の特典が付きます
- iPadではFinal Cut Pro・Logic Pro・Pixelmator Proがサブスクリプション専用となります
加えて、Pixelmator ProはiPadに初登場し、旧Pixelmatorは「Classic」と位置付けられ今後の更新を受けないことが告知されています。開発リソースはCreator Studioに含まれる新しいPixelmator Proへ移行する形です。Mac版とiPad版で提供形態が分かれている点は、加入を検討する際に必ず確認しておきたいポイントになっています。
Adobeとの比較と「無料アプリの有料化」への反発
委託制作キャンペーンの背景には、ローンチ直後から続く評価の二極化があります。プロのレビュアーの多くは、同等の機能を持つAdobe Creative Cloudの約5分の1の価格であることを引き合いに、Creator Studioを優れたコストパフォーマンスと評価しています。Wikipediaの整理でも、本サービスはAdobe Creative Cloud、Microsoft 365、Google Workspaceと競合する位置付けです。
機能面でも訴求材料は増えています。Final Cut Proには楽曲のビートグリッドを解析する「Beat Detection」が、Logic ProにはAI支援の「Session Players」が追加されました。
反発は別方向から起きました。Pages、Keynote、NumbersはこれまでApple端末で無料だったアプリです。これらのAI機能がCreator Studioのペイウォール内に置かれたことが判明すると、App Storeでの評価は3アプリとも急落しました。
またローンチ後、Appleは買い切り版をまとめた「Pro Apps Bundle for Education」の単体販売を静かに終了しており、買い切り路線からサブスクへの誘導が進んでいる構図が見えます。
Q&A
Q. Creator Studioとは何ですか? Mac・iPad向けのクリエイティブアプリをひとつにまとめたAppleのサブスクリプションサービスです。アカウントのプロフィールでは「Mac・iPad向けの最良のクリエイティブアプリをひとつのサブスクリプションに」と説明されています。
Q. 今回の委託制作で登場したアプリは? 公開された3本のShortsでは、Logic Pro、Final Cut Pro、Pages、Keynoteが各クリエイターのワークフローに合わせて使われています。
Q. 委託制作の3本はどこで観られますか? AppleがYouTubeで公開したShortsとして公開されています。完成版の長尺動画や舞台裏映像はInstagramの@AppleCreatorStudioアカウントで公開されています。