ニューヨーク州マンハセットのApple Store前で発生したデリバリートラック武装ハイジャック事件で、米連邦検察が今週、男3人を起訴しました。奪われたMacBookやiPhoneなどApple製品の総額は120万ドル(約1億8,000万円)相当にのぼります。
武装した3人がApple Store前のトラックを襲撃
事件が起きたのは2026年1月3日午前8時頃。ニューヨーク・ロングアイランドの高級ショッピングモール「Americana Manhasset」内にあるApple Storeの前に駐車していた配送トラックが標的となりました。
ニューヨーク東部地区連邦検察局のプレスリリースによると、起訴されたのはAlan Christhofer Cedeno-Ferrer氏、Michael Mejia-Nunez氏、Ennait Alexis Sirett-Padilla氏の3人。当時トラック内では2人の作業員が、その日のうちに店舗へ届ける予定だったMacBook、iPhone、iPad、Apple Watchなど約120万ドル相当のApple製品の搬入準備をしていたとされます。
3人は拳銃を手に作業員に近づき、1人をトラック後部に押し込んで結束バンドで両手を拘束。もう1人を運転席に座らせ、ノーザン・ブールバード沿いのオフィスビル裏手にある人目につきにくい駐車エリアまでトラックを運転させました。到着後、運転していた作業員もトラック後部に押し込まれ、同様に手を結束バンドで縛られたといいます。
Home Depotレンタルトラックでの「積み替え作戦」
ハイジャック後の手口は、計画性の高さを示すものでした。
- Cedeno-Ferrer氏が偽造したペンシルベニア州の運転免許証を使ってHome Depotからレンタルしていたボックストラックが現場に到着
- 配送トラックの後部とHome Depotトラックの荷室を合わせるように後ろ向きに駐車
- すべてのApple製品をHome Depotトラックへ積み替え
- 配送トラックの荷室扉を閉め、被害者2人を中に閉じ込めたまま立ち去る
被害者の1人が自力で拘束を解いて911に通報したことで事件が発覚しました。
奪われたApple製品はその後、ニュージャージー州パターソンのセルフストレージ施設へ運ばれました。検察によれば、Sirett-Padilla氏が自身の名義でストレージユニットを借りており、そこで盗品はHome Depotトラックから「U-Haulトラックおよび共犯者が運転する別の車両」へ移し替えられたとされています。
指紋とApple Watchのアクティベーションが決め手に
逃走に使われたHome Depotトラックは、その後ブロンクスで乗り捨てられているところを2日後に当局が発見しました。捜査の決め手となったのは、トラック内に残されていた物的証拠です。
検察の発表によると、トラック内から回収されたレンタル契約書の写しからCedeno-Ferrer氏の指紋が検出されました。さらに同氏は、強奪事件から数日後に盗まれたApple Watchのうち2台をアクティベートしたとされており、これも有罪を裏付ける証拠として挙げられています。盗品とはいえApple Watchをそのまま起動するという行動は、現代のデバイス追跡能力を考えれば致命的な選択といえるでしょう。
3人が起訴内容で有罪となった場合、最大で30年の懲役刑に直面する可能性があります。
Apple製品流通における物理的リスク
Apple製品は単価の高さと換金性の高さから、過去にも輸送中・倉庫保管中の盗難事件が報じられてきた商材です。今回の事件は、店舗到着前の配送ステージにおける武装襲撃という、比較的珍しいケースとなりました。被害額120万ドルというスケールの大きさに加え、白昼のショッピングモール前で発生した点も注目を集めています。
一般のユーザーに直接的な影響はないものの、Apple Watchが起動された時点で位置情報やアクティベーションロックを通じた追跡が可能になる点は、改めてAppleエコシステムのセキュリティ機能の有効性を示した事例ともいえます。続報があれば改めてお伝えします。
起訴罪状と捜査の全体像——Hobbs Actと最新追跡技術の活用
検察発表や法廷文書からは、元記事で触れられた指紋・アクティベーション以外にも、複数の捜査要素が浮かび上がっています。
- 起訴罪状はHobbs Act強盗、共謀、および州際間における盗品輸送の3つで構成されています
- 襲撃当日は黒のホンダ・アコードが現場に到着し、ハンドガンで武装したマスク姿の3人が車から降りて作業員に近づいたとされています
- 当局はGPSデータと自動ナンバープレート読取装置を使ってHome Depotトラックを追跡しました
- パターソンの保管施設の監視映像には、Mejia-Nunez被告が同日にIHOPで着ていたものと同じStranger Thingsのスウェットを着ている様子が映っていたとされます
また配送トラックはAmericana Manhassetの後、Garden CityのRoosevelt Field Mall、Huntington StationのWalt Whitman Mallへも立ち寄る予定でした。被告3人はいずれもBronx・New York City在住で、年齢はそれぞれ27歳、29歳、24歳と公表されています。物理的証拠とデジタル追跡技術の組み合わせが、身柄拘束につながった形です。
アクティベーションロックの仕組み——Apple Watchが「使えない盗品」になる理由
今回の事件で、犯人がApple Watchを起動した行為が決定的な証拠となった背景には、Appleが標準搭載するセキュリティ機能の存在があります。
アクティベーションロックは、ペアリングしたiPhoneでFind Myを設定すると自動的に有効になります。
具体的な保護範囲は明確に定義されています。Apple Watchをペアリング中のiPhoneから解除する操作や、新しいiPhoneとペアリングして使う操作には、Apple Accountのメールアドレスまたは電話番号とパスワードが必要になります。
さらに防御は消去後にも及びます。端末をリモートで消去した場合でも、アクティベーションロックは所有者の許可なしに端末が再有効化されることを阻止し続けます。加えてiCloudアクティベーションロックが有効であればファクトリーリセット後でもApple Watchの追跡は可能で、インターネット接続時に位置情報が更新される仕様となっています。盗まれたApple Watchをそのまま起動する行為が捜査側に痕跡を残しやすい構造的な理由がここにあります。
Q&A
Q. 被害額120万ドルとは具体的にどれくらいの規模ですか? 日本円換算で約1億8,000万円相当のApple製品(MacBook、iPhone、iPad、Apple Watchなど)が一度に奪われた計算になります。1台のApple Storeへの1日分の配送量としては極めて大きな規模です。
Q. 犯人はどのように特定されたのですか? 逃走に使われたHome Depotレンタルトラック内に残されていたレンタル契約書からCedeno-Ferrer氏の指紋が検出されたほか、同氏が盗まれたApple Watch 2台を強奪の数日後にアクティベートしていたことが、起訴の根拠として挙げられています。
Q. 3人にはどのような刑罰が科される可能性がありますか? 起訴内容で有罪が確定した場合、最大30年の懲役刑が科される可能性があります。