ロック解除した瞬間にiPhoneをひったくられる——そんな従来の盗難対策では埋め切れなかった死角を狙う新機能を、AppleがiPhone向けに準備していると報じられています。Android Authorityは9to5Macの報道を引くかたちで、手から奪われた瞬間を検知して自動的に画面ロックをかける仕組みが開発中だと伝えました。発想はAndroidの「Theft Detection Lock」に近いとされ、リリース時期は明らかにされていません。
既存のiPhone盗難対策で埋まらなかった「奪い取り」の穴
Appleはこれまでにも、iPhoneの紛失・盗難に備えてStolen Device ProtectionやFind Myといった機能を提供してきました。ただ、Android Authorityによれば、これらは紛失後にデータを守ったり端末を探したりするためのもので、ロック解除済みの状態で手からiPhoneを奪い取られるケースには十分に対応できていなかったと指摘されています。
今回報じられた新機能は、まさにこの「アンロック中にひったくられる」シナリオを対象にしているとされています。Android Authorityが伝える9to5Macの報道では、端末がひったくられた可能性を検知すると自動的にロックがかかる仕組みとされ、センサー情報を活用すると説明されています。
Androidの「Theft Detection Lock」と仕組みが類似
Android Authorityは、この機能の発想がAndroidのTheft Detection Lockと「基本的に同じ」だと指摘しています。Theft Detection Lockは、AIとモーションセンサーを使って、ユーザーから端末を奪い取って走り出す・自転車で逃げる・車で走り去るといった急な動きを検知し、自動的に端末をロックする仕組みとして紹介されています。
AppleがどこまでAndroid側の挙動を踏襲するかは、公開された情報の範囲では明示されていません。
- ひったくりらしい急加速・急移動を検知 → 自動でロック
- 動作判定にはモーションセンサーとAIを利用(Android側)
- Appleがどこまで同等の挙動を実装するかは未確認
いつもの場所かを判定する「Apple独自のひねり」
Android Authorityによると、Apple版にはApple独自のひねりも加わるとされています。ペアリング済みのApple Watchとの距離情報を活用して検知精度を高めるほか、Stolen Device Protectionと同じルールでiPhoneが「いつもの場所」にあるかを判断する見込みだと報じられています。
もし「見慣れない場所」でひったくりが検知された場合、ロックをかけるだけでなく、Stolen Device Protectionが通常制限している各種設定へのアクセスもブロックする可能性があると伝えられています。Android Authorityはこれを、奪った端末を持ち去った犯人が設定を変更して対策を解除する余地を狭める動きとして報じています。
いつ手元に届くのか — 残された未確定要素
提供時期は明らかにされていません。Android Authorityは、機能が「現在も開発中(under active development)」であるとの記述を引き、近いうちに登場する可能性があるとしています。一方で、Appleからの公式発表は現時点ではなく、最終的にどのiOSバージョンで搭載されるかも確認されていません。
現時点では、Androidが先行して導入したセキュリティのアイデアをAppleが取り込もうとしている報道段階の話として捉えるのが妥当でしょう。iPhoneユーザーにとっては、続報が出るまでStolen Device ProtectionとFind Myを有効にしておくのが、現実的な備えと言えます。アンロック中にひったくられた際に重要情報をすぐ守ることを狙った機能として、今後の続報を待ちたいところです。
iOS 27での正式発表が有力視 — 対応機種の見方も
提供時期について複数のメディアが踏み込んだ見方を示しています。Cult of Macは、Appleがこの新しいiPhone盗難対策機能を翌月のWWDC26でiOS 27の一部として正式発表する可能性が高いとしています。Digital Trendsも、6月に開催されるWWDC 2026で発表予定のiOS 27アップデートに含まれることを期待するとしています。
対応端末については以下の見立てが伝えられています。
- iPhone 18 ProシリーズおよびiPhone Foldでの先行搭載、前世代機については後日iOSアップデートを通じて導入される可能性
- Apple自身からの公式言及はなく、9to5Macの開発者が内部コードから発見した情報に基づいており、確定したローンチ日もない
機能の存在自体がコード解析由来であることから、最終的な搭載形態や提供範囲はWWDC26の発表内容を待つ必要があります。
Android側は2026年に入って盗難保護を大幅強化
参照元となったAndroidのTheft Detection Lockも進化を続けています。Googleは2026年1月、既存の保護機能を土台にした強力な盗難保護機能のアップデートを発表しており、Android 16以降の端末で利用可能となっています。主な強化点は次のとおりです。
| 機能 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| Failed Authentication Lock | 過剰な認証失敗時の自動ロックに、有効/無効を切り替える専用トグルを追加 | Android 16以降 |
| Identity Check | Android Biometric Promptを使用するすべての機能とアプリに保護を拡張 | Android 16以降 |
| Remote Lock | android.com/lockでの遠隔ロックに、本人確認用の任意のセキュリティ質問を追加 | Android 10以降 |
Remote Lockのセキュリティ質問追加は対象が広く、Android 10以降の端末でも利用可能とされています。さらにブラジルで新規にアクティベートされたAndroid端末では、Theft Detection LockとRemote Lockが既定で有効化されており、地域の盗難リスクに応じた既定値の調整が進んでいます。Apple側の今後の実装方針を占う上でも注目される動きです。
Q&A
Q. この機能はすでにiPhoneで使えますか? いいえ、現時点で利用できる機能ではありません。Android Authorityが9to5Macの報道として伝えたところでは、Appleが開発中であるとされており、提供時期は公表されていません。
Q. AndroidのTheft Detection Lockとはどう違いますか? 基本的な仕組み(センサーで急な動きを検知して自動ロック)はよく似ているとAndroid Authorityは指摘しています。Apple版は、ペアリングされたApple Watchとの距離情報や、Stolen Device Protectionと同じ「いつもの場所か」判定を組み合わせる見込みだと報じられています。
Q. 既存のStolen Device ProtectionやFind Myと役割はどう違いますか? 既存機能は主に「紛失・盗難に気づいた後」にデータ保護や端末追跡を行うものとされています。今回の新機能は「奪われた瞬間」を検知して即座にロックをかける点が新しいと、Android Authorityは伝えています。
出典
- Android Authority — Apple may be planning to steal Android’s handy anti-theft trick
- Cult of Mac — Apple plans a powerful new anti-theft upgrade for iPhones
- Digital Trends — Your iPhone might soon lock itself the moment someone snatches it from your hand