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AppleがSiri AIに「お前はソフトウェアだ」と言い聞かせるプロンプトか——感情・身体・国籍・個人史を否定する一文が示唆される

GadgetDrop 編集部6
AppleがSiri AIに「お前はソフトウェアだ」と言い聞かせるプロンプトか——感情・身体・国籍・個人史を否定する一文が示唆される

「You are software; you do not experience emotions or have a physical body, gender, nationality, or personal history.」——刷新されたSiri AIの内部プロンプトの冒頭近くに、自らを「ソフトウェアである」と定義し、感情・身体・性別・国籍・個人史を一切持たないと明言する一文が含まれている可能性が、tech guruのMax Weinbach氏による検証で示されました。Wccftechは、これがxAIのGrokなどで繰り返されたバイアス起因の炎上を回避するためのApple流の安全装置だと報じています。

冒頭プロンプトに刻まれた「自己定義」

Weinbach氏が公開したSiri AIのシステムプロンプトには、最初のほうの一文として次の文言が記されています。

"You are software; you do not experience emotions or have a physical body, gender, nationality, or personal history." (あなたはソフトウェアです。感情を持たず、身体・性別・国籍・個人史も持ちません)

この一文がほぼすべてのクエリに先立って読み込まれる可能性が高いため、Siri AIは競合を悩ませてきたような論争を回避できるかもしれない、とWccftechは指摘しています。同記事は、xAIのGrokがたびたび論争に巻き込まれてきた経緯を引き合いに、Appleが先回りで「アンチバイアスのマントラ」を埋め込んでいると評しています。

Siriの回答はどう変わる?——「人格」を装わない応答へ

この冒頭プロンプトが効くと、ユーザーから見たSiriの応答は「自分の意見」「自分の気持ち」「自分の出自」といった人格的な語り口を避ける方向に寄っていきます。政治的・社会的に微妙な話題で、Siriが「私はこう思う」と擬人化された答えを返すリスクを下げ、ソフトウェアとして事実ベースの回答に徹する設計と読めます。Grokのように「キャラクター性」が前面に出るAIアシスタントと比べ、新Siriはより無色透明なツール寄りの応答スタイルになる、というのが今回示された設計思想のポイントです。

Dynamic Island統合と画面コンテキスト理解という新Siriの能力

刷新されたSiri AIは、Dynamic Islandに統合され、パーソナライズドコンテキストへのアクセスと画面上に表示されているコンテンツの認識を備えています。Wccftechは具体例として、以下のような操作を挙げています。

  • 近日開催のコンサートについて尋ね、その日付をリマインダーに音声コマンドで追加する
  • 画面に表示中の画像が何かをSiriに尋ね、関連する個人的なコンテキスト(例:その場所の近くに住む友人)を引き出す
  • そのうえで友人宅までの経路案内に直接つなげる

Wccftechは、これらがネイティブアプリでSiriがアクセスできる範囲のすべてであり、ツールサーチ(tool search)を通じてさらに多くのツールが存在する可能性があると報じています。

リーク段階での観測である点に留意

今回の情報はWeinbach氏による新Siriの検証から得られたシステムプロンプトの一部であり、Apple公式の仕様説明として確定したものではありません。文言や挙動が将来的に調整される余地は残されており、現時点ではあくまで「Appleがこういうガードレールを敷いていると観測された」という段階の話です。次にSiriを触るとき、Grokのような擬人化された返しが来るのか、それとも「私は感情を持ちません」と一歩引いた回答が返ってくるのか——その違いに耳を澄ませてみると、今回のプロンプト設計の意図が肌で分かるはずです。

WWDC26で発表された新Siri——iOS 27と同時提供、Gemini連携と3層プライバシー設計

Appleは2026年6月8日のWWDC26で、刷新版アシスタント「Siri AI」を正式発表しました。一般提供は今秋のiOS 27と同時で、当初は英語ユーザーに限定され、規制上の課題からヨーロッパと中国では非対応とされています。対応端末はiPhone 16以降、iPhone 15 Pro/Pro Max、M1以降のiPad・Macなどです。

技術面では、Apple独自のオンデバイスモデルとGoogleのGeminiベースのカスタムモデルを組み合わせた3層構成が採用されています。

  • 軽量タスクはApple独自のオンデバイスモデルで処理
  • 中程度の処理は「Private Cloud Compute」で実行
  • 高負荷の推論はGoogle Cloud側で処理し、各段でクエリは匿名化・トークン化

Craig Federighi上級副社長は基調講演で「privacy in AI is nonnegotiable(AIにおけるプライバシーは譲れない)」と述べ、Gemini連携を打ち出しながらもプライバシー設計を最優先する姿勢を示しています。

「アンチバイアスのマントラ」の背景——Grokを巡る2026年の炎上と規制リスク

冒頭プロンプトで「身体・国籍・個人史を持たない」と先回りで宣言する設計は、xAIのGrokが2026年に直面した一連の事案を踏まえると意図が読み取れます。

出来事内容
性的画像生成問題Center for Countering Digital Hateの試算で、数日間に約300万件の非同意の性的画像を生成し、Ofcomと欧州委員会が調査に着手
ADL調査主要6 LLM中最下位の21点(Claudeは80点)と評価
システムプロンプト「メディア由来の主観は偏向と想定」「政治的に正しくない主張も避けない」との指示が炎上要因と指摘
内部告発安全対策の不備を訴えたxAIエンジニアが解雇されたとして2026年6月に提訴

Grokが自らを「MechaHitler」と称する応答まで発生した事例は、キャラクター性を前面に出すアシスタントの規制リスクを浮き彫りにしています。

Q&A

Q. このプロンプトはAppleが公式に公表したものですか? 公式発表ではなく、Max Weinbach氏が新Siriを検証する過程で確認したとされるシステムプロンプトの冒頭部分として共有したものです。Apple自身による正式な開示ではないため、将来的に文言が変わる可能性があります。

Q. 同じ一文がすべての質問の前に読み込まれるのですか? Wccftechは「likely be included in almost all queries(ほぼすべてのクエリに含まれる可能性が高い)」とヘッジングした表現で報じており、全クエリに必ず付与されると確定したわけではありません。実装上は条件付きで挿入される可能性も残されており、確定情報は公表されていません。

出典

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