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Apple TV国際部門で何が起きているのか——Morgan Wandell氏が退任し制作会社「Kismet」を設立

GadgetDrop 編集部7
Apple TV国際部門で何が起きているのか——Morgan Wandell氏が退任し制作会社「Kismet」を設立

『Ted Lasso』『Severance』など世界的ヒットを生み出してきたApple TV。その国際コンテンツ部門で、わずか1か月のうちに2人目となる幹部離脱が明らかになりました。今回退任するのは、2017年にAppleへ加わり国際開発責任者を務めてきたMorgan Wandell氏。競合への移籍ではなく、自身の制作会社を立ち上げる道を選んだ点も注目されます。

Morgan Wandell氏がKismetを設立、Apple TVを離れる

Deadlineの報道によると、Apple TVのHead of International DevelopmentであるMorgan Wandell氏が同社を退社します。Wandell氏は競合への移籍ではなく、ロサンゼルスを拠点とする自身の制作会社「Kismet」を立ち上げます。

Kismetは、高品質で文化的ルーツを持つストーリーテリングを通じてグローバル市場に通用するプロジェクトや作り手を発掘・育成することを掲げ、プレミアムなスクリプテッドシリーズの開発・制作を手がけるとされています。

Wandell氏は2017年にAppleへ加わった人物で、それ以前はAmazon Studiosで国際向けオリジナルコンテンツ開発をリードし、さらに以前はABC Studiosに在籍していました。Apple TVでは以下のような作品に関与してきました。

  • Tehran
  • Acapulco
  • Masters of the Air
  • Disclaimer
  • Monarch: Legacy of Monsters
  • The New Look

数週間前にはOliver Jones氏もAmazonへ

今回の動きの直前には、もう1人の幹部離脱も報じられていました。THRの報道によると、Apple TVで過去6年にわたり『Masters of the Air』『Disclaimer』『Monarch: Legacy of Monsters』などを担当してきたOliver Jones氏が、Amazon MGM Studiosへ移籍します。Jones氏は移籍先で英国のスクリプテッドコンテンツ部門を率いる見込みです。

つまり、Apple TVの国際コンテンツ体制からは1か月のあいだに2人の重要な幹部が抜けることになり、国際展開を支えるラインアップに少なからぬ変化が生じる可能性があります。

空いたポストは誰が引き継ぐのか

Deadlineは、Wandell氏の退任後の体制についても伝えています。これまでWandell氏が見ていた作品群は、Apple TVのHead of Programming and Domestic DevelopmentであるMatt Cherniss氏が引き継ぎます。Cherniss氏はすでに以下のような主要シリーズを統括しています。

  • Ted Lasso
  • Severance
  • The Studio
  • Pluribus

一方、ヨーロッパ担当のCreative DirectorであるJay Hunt氏は役割を拡大し、国際および現地言語のオリジナル作品全般を統括する立場になります。Hunt氏は現在『Slow Horses』『Hijack』などの作品を担当しています。

担当者新たな役割
Matt Cherniss氏Wandell氏が担当していた作品を引き継ぎ
Jay Hunt氏国際および現地言語のオリジナル作品を統括

契約者に影響はあるのか

Apple TVは月額$12.99(約2,000円)で提供されており、『Severance』『The Studio』『The Morning Show』『Shrinking』『Silo』などの人気作品をラインアップに揃えています。

短期間で2人の国際コンテンツ幹部が離れたことは、Apple TVがどのように国際市場向けのオリジナル作品を組み立てていくのか、その方向性に影響する可能性があります。Cherniss氏とHunt氏の役割拡大によって、国内向けとグローバル向けの企画体制がより一体化する形になり、今後の国際オリジナル作品では各地域固有のテーマと、英語圏ヒット作と同等の制作トーンが融合する方向に向かう可能性も考えられます。一方で、現時点では視聴者が利用できるサービス内容や価格に直接の変更は示されていません。契約者にとっては、今後発表される新作のテイストや製作国の傾向に変化が出るかどうかが、実感できる変化点になりそうです。

2026年ラインアップと幹部交代後の作品継続性

Apple TVは2026年の番組編成についても積極姿勢を示しています。Worldwide VideoのZack Van Amburg氏はScreen Internationalのインタビューで、2026年はほぼ毎週新作オリジナルを投入する方針で、『Ted Lasso』と『For All Mankind』にもそれぞれ新シーズンが予定されていることを明らかにしています。Wandell氏の退任が国際ラインアップに与える影響も限定的に抑えられる可能性があります。同氏は経営職を離れる一方で、Apple TVから完全に離れるわけではなく、既存プロジェクトの一部でプロデューサーとして残る方向で協議中と報じられているためです。

スポーツ配信の拡大も並行

番組面に加え、Apple TVは2026年にスポーツ配信を大きく広げます。MLS Season Passは廃止されMLS全試合がApple TVに統合されるほか、2026シーズンからは5年契約でF1の米国独占配信が始まり、全グランプリが加入者向けに配信され、プラクティスや一部イベントは無料で視聴可能になります。

ブランド改称・値上げと契約者規模に見る事業文脈

幹部離脱の背景を理解するうえで、直近1年のサービス全体の動きも重要です。2025年10月、F1の配信開始に合わせてApple TV+は「Apple TV」へ改称され、Varietyはローンチ以来初のサービス名変更だと指摘しました。価格面でも変動が続いており、米国などで月額が$12.99に引き上げられ、現行加入者には次回更新日から30日以内に新価格が適用され、年額は据え置き、新規ユーザーは7日間の試用後に課金される形となっています。これは2023年に$6.99から約$9.99へ上げて以来、3年で3度目の値上げです。

項目内容
月額(米国)$12.99(2025年8月改定)
ブランドApple TV(2025年10月に「+」削除)
広告プラン現時点で提供なし
推定加入者数Cue氏曰く「45百万人を大幅に上回る」

Cue氏が示唆した「significantly more(大幅に上回る)」が具体的に何を意味するかは不明ですが、1億人に近い水準であればグローバル動画配信で第二集団に位置することになります。市場首位のNetflixは世界で3億人超を抱え、Apple TVの黒字化は不透明で、年間の番組支出は約40億ドルに達するとみられています。

Q&A

Q. Morgan Wandell氏はApple TVを離れてどこへ行くのですか? 競合のストリーミングサービスへの移籍ではなく、ロサンゼルスを拠点とする自身の制作会社「Kismet」を立ち上げます。グローバル市場向けのプレミアムなスクリプテッドシリーズを開発・制作するとされています。

Q. Wandell氏が担当していた作品はどうなりますか? Apple TVのHead of Programming and Domestic DevelopmentであるMatt Cherniss氏が引き継ぎます。Cherniss氏は『Ted Lasso』『Severance』『The Studio』『Pluribus』なども統括しています。また、ヨーロッパ担当のJay Hunt氏が役割を広げ、国際および現地言語のオリジナル作品を統括します。

Q. なぜ短期間に2人もの幹部が離れたのですか? ソース記事では2人の退任の関連性については言及されておらず、それぞれ個別の動きとして報じられています。Jones氏はAmazon MGM Studiosでの新たなポジションへの移籍、Wandell氏は自身の制作会社設立という、行き先も性質も異なる選択である点が報じられています。

Q. 「Kismet」とはどういう意味ですか? Wandell氏が設立する制作会社の社名がKismetです。ソース記事では社名の由来や意味についての説明はなく、ロサンゼルスを拠点としてグローバル市場向けのプレミアムなスクリプテッドシリーズを開発・制作する会社であると説明されています。

出典

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