純正アクセサリが、日本のApple公式ストアから静かに姿を消しました。Appleの「Apple Vision Pro Travel Case」($199、約3万1千円)が、日本を含む複数の国のオンラインストアからページごと削除されたとMacRumorsが伝えています。米国・カナダ・UAEでは引き続き販売されており、日本のVision Proユーザーは事実上、純正トラベルケースの新規入手手段を失った形です。
日本のApple公式から、ページごと消えた
MacRumorsによると、Apple Vision Pro Travel Caseは英国、日本、ドイツ、フランス、アイルランド、香港のApple公式ストアからリストごと削除されたといいます。各国のVision Proアクセサリーページから当該製品の項目自体が消えており、かつて存在した製品ページも完全に撤去されていることから、これらの国では復活の予定がない販売終了とみられるとされます。
中国とオーストラリアでは製品ページは残っているものの、グレーアウト表示で購入できない状態になっています。一方で米国、カナダ、UAEでは通常どおり販売が続いており、Apple自身は公式に提供状況の変更をアナウンスしていません。
国際市場で代替として残るのは、サードパーティ製の「Belkin Travel Bag for Apple Vision Pro」のみという状況です。
Vision Pro事業の縮小と重なるタイミング
今回の動きは、AppleがVision Pro関連の野心を後退させているように見えるタイミングと重なります。2025年10月に投入されたM5チップ搭載のリフレッシュモデルは、$3,499(約55万円)という価格を据え置いたまま登場しましたが、消費者の関心を呼び起こすには至らなかったとされます。
これまでのVision Proの総販売台数は約60万台とみられており、最近のApple製品としては異例に高い返品率も指摘されています。M5モデルの反応が芳しくなかったことを受け、Vision Proチームは解散されて他プロジェクトに再配置されたという情報もあります。Vision Products Groupを率いていたMike Rockwell氏は、2025年3月以降AppleのSiriチームを統括している状況です。
次のヘッドセットは「2028年以降」、焦点はスマートグラスへ
廉価・軽量モデルとして期待されていた「Vision Air」は、2025年10月に計画が中止されたとされます。BloombergのMark Gurman氏は、新たなヘッドセットが登場するとしても、ミックスドリアリティ関連のハードウェア人材の大半が他プロジェクトに移っていることを踏まえ「少なくとももう2年程度」は見込めないとの見方を示しています。
サプライチェーンアナリストのMing-Chi Kuo氏は今月、次期CEOとされるJohn Ternus氏が第2世代Vision ProとVision Airの両方の中止を承認し、Appleの焦点はスマートグラスに移ったと伝えています。Kuo氏によれば、現在開発中の製品は次の2つに絞られているといいます。
- AI機能搭載のスマートグラス(MetaのRay-Ban対抗、2027年想定)
- ディスプレイ搭載のARグラス(2029年より前の登場は考えにくいとの見方)
Gurman氏は、より薄型・低価格のVision Proが長期的には可能性として残るとしつつ、登場するとしても2028年後半か2029年以降になりそうだと別途指摘しています。
既存ユーザーは「在庫整理」か「終売」か見極めを
トラベルケースが日本市場から消えたこと自体は単体では小さな動きですが、Vision Pro本体の事業縮小報道と並べると、静かな在庫整理ではなく事実上の段階的なフェードアウトの一部とも読めます。すでにVision Proを所有している日本のユーザーにとっては、純正トラベルケースを新規購入する選択肢が事実上失われた格好で、Belkin製のトラベルバッグなど代替を早めに確保しておくのが現実的と言えます。
現時点ではAppleからの公式な販売終了アナウンスは出ていません。新規購入を検討している人は、続報を待ちつつ、米国経由の入手手段やサードパーティ品を視野に入れて判断するのが妥当です。
代替候補となるBelkin Travel Bagの仕様と価格差
国際市場で現実的な代替となるBelkin Travel Bag for Apple Vision Proは、Apple純正の$199に対して$99.99(英国£99.95、豪AU$159.95)と、ちょうど$100安い価格設定になっています。価格面だけでなく、携行性の面でも明確な差があります。
| 項目 | Belkin Travel Bag |
|---|---|
| 価格 | $99.99 / £99.95 / AU$159.95 |
| 純正比 | $100安い |
| 重量 | 純正の半分以下 |
| サイズ感 | 純正よりコンパクト |
| ストラップ | 30〜55インチで調節可能 |
| 内部 | クッション付きレンズピロー搭載 |
| 付帯機能 | AirTag用コンパートメント内蔵 |
Belkin側はApple純正ケースと比べて$100安いうえに、よりコンパクトで重量も半分以下に収まっているとされています。レンズ部分を保護するクッション付きピローを備え、ストラップは30〜55インチの範囲で長さを調節できる仕様です。さらにAirTag用のコンパートメントが内蔵されており、移動中の位置追跡を意識した設計が盛り込まれています。価格と携行性の両面で、純正の代替として無理のない選択肢となっています。
スマートグラスへの方針転換が示す方向性
スマートグラスについては、Bloombergによれば発売目標が「2027年後半」へと後ろ倒しになり、当初想定の2027年初頭から遅延しているとされています。製品像も、Vision Proのようなヘッドセット型とは大きく異なるアプローチが取られる見込みです。
ディスプレイは非搭載でAIとSiriに依存、iPhoneにテザリングして動作する設計
報道で示されている特徴は、次のような要素にまとめられます。
- ディスプレイは搭載せず、AI機能と強化版Siriに価値を依存させる
- 単体動作ではなくiPhoneにテザリングして動作する周辺機器的な位置付け
- フレームは4種類のスタイルをテスト中で、外観面の検証も進められている
- 米国での想定価格帯は$200〜$500
- 直接の競合はMetaのRay-Banスマートグラス
価格帯が$200〜$500に置かれている点は、Vision Proの$3,499とは桁違いに低く、量販を意識した位置付けがうかがえます。Meta Ray-Banに正面から対抗する構図となり、ヘッドセット型とは異なる軽量ウェアラブルとして打ち出される方向です。
Q&A
Q. 日本でApple Vision Pro Travel Caseはもう買えないのですか? 日本のApple公式ストアからは製品ページごと削除されており、現時点で新規購入は難しい状況です。米国、カナダ、UAEでは引き続き販売が続いているため、これらの国の正規ルートを経由した入手は理論上は残っている形です。
Q. すでに購入済みの場合、保証やサポートはどうなりますか? 販売終了に伴う保証条件の変更について、現時点では明らかにされていません。Appleからの公式アナウンス自体が出ていないため、購入済み製品のサポート可否は通常の保証規定に準じると見るのが妥当で、詳細はApple公式の問い合わせ窓口での確認が確実です。
Q. Vision Pro本体の販売も終わるのですか? 本体の販売終了は発表されていません。ただしM5搭載モデルの反響は弱く、第2世代Vision ProとVision Airの計画は中止されたとされ、次の新型ヘッドセットは2028年後半以降との見方が示されています。
Q. Appleの次の重点製品は何ですか? Ming-Chi Kuo氏によれば、Appleの焦点はスマートグラスに移っているといいます。2027年にAI搭載スマートグラス、そして2029年より前の登場は考えにくいディスプレイ搭載ARグラスが開発中とされます。