Google Play Servicesを持たないAndroid端末から、Google純正のQuick Share対応端末とファイル共有できるようにする——そんなオープンソースアプリ「Bada」が登場しました。Android Authorityが2026年5月25日に報じたもので、これまで埋められなかった近距離ファイル共有の「空白地帯」を塞ぐ存在として注目されます。
Quick Shareが使えないAndroidの「空白地帯」を埋める
世の中のAndroid端末の多くにはGoogle Play Servicesが搭載されており、それに付随するQuick Shareによって、近くにあるAndroid端末・Chromebook・iPhone・Quick Shareアプリを入れたPCとファイルをやり取りできます。しかし、何らかの理由でQuick Shareが利用できないAndroid端末では、こうした体験は得られません。
新たに公開されたオープンソースアプリ「Bada」は、その隙間を埋めるためのアプリとして紹介されています。Quick Share対応端末と非対応端末の間でファイル転送を可能にし、Badaを入れる必要があるのは「Quick Share非対応側」の端末だけです。Quick Share側はGoogle純正の機能をそのまま使う形で通信が成立すると伝えられています。
Wi-Fi Directは不安定、PC送信も失敗報告──実用上の落とし穴
Badaは同一Wi-Fi接続下でのファイル転送に対応するほか、Wi-Fi Directによる端末間直接接続もサポートしているとされています。ただし、Android Authorityの記者が実際にWi-Fi Direct方式を試したところ動作しなかったと伝えています。
また、Quick Share対応のWindows PCへ送信した際も、PC側で受信を承諾できたものの「転送が完了できなかった」と表示され、スマホ側のアプリは送信成功を示すという食い違いが起きたといいます。さらに、現時点ではAirDropはサポートされていません。QRコードでの送信は機能した一方、QRコードでの受信にはまだ対応していないと報じられています。Quick Share搭載端末からBada側へ送信する方向では、共有が不安定になることもあるようです。
このため、用途によってはLocalSendなどの代替アプリを完全に置き換えるには早い段階と言えそうです。
権限・使い方・セキュリティ面のポイント
Badaが要求する権限は妥当な範囲にとどまっており、Bluetooth advertising、近くのBluetooth/Wi-Fi端末、Bluetooth接続、通知が中心と伝えられています。加えて、特定ファイルや全ファイルへのアクセスを許可するかどうかも選べます。
受信フォルダはダウンロードディレクトリがデフォルトで、変更可能とされています。Quick Share上で表示される名前もカスタマイズできます。使い方は次のような流れです。
- 公開設定を「スキャン時のみ表示」または「常に表示」から選択
- 画面下部の2つのボタンからファイルまたはフォルダを送信
- 受信側でPIN一致を確認して承諾
Quick Share独自のクイック設定タイルを模した、Bada専用のクイック設定タイルも用意されているとされています。
安全性については、サイドロードで配布される共有アプリ全般に同じことが言えますが、セキュリティを気にするなら導入には慎重さが必要です。一方で、オープンソースであるためコード自体を確認できる点は安心材料となります。
Google非搭載Androidユーザーには現実的な救済策
Google Play ServicesやQuick Shareを利用できないAndroid端末のユーザーにとっては、純正Quick Shareに近い体験を非Google端末側だけのアプリ追加で得られる点は実用的と言えそうです。
ただし、Wi-Fi Directやクロスプラットフォーム送信(PC・QR受信・AirDrop)まわりには現時点で制約が残っています。仕事のメインの共有手段としてすぐに切り替えるよりも、まずは補助的に試して挙動を確認するのが妥当な距離感です。続報やアップデートを待ちつつ、必要に応じてLocalSendなど既存ツールと併用するのがおすすめです。
Bada開発者とプロトコル実装の中身
公開元のGitHubアカウントは「Kyujin-cho」で、Google Play Servicesに頼らずQuick Shareプロトコルをゼロから実装するアプローチを採っています。これにより、非搭載端末からでも純正Quick Shareと相互運用できる構造になっています。
実装面で押さえておきたいポイント
- システム共有シート経由でAndroidアプリ全般からファイルを送信でき、フォルダ送信ではディレクトリ構造を保持したまま転送できます
- Quick Shareと同様にWi-Fi LANを転送経路として利用し、stock AndroidやSamsungのOne UI搭載端末ではBLEベースの識別に対応しています
- 検証ではvivo X300 UltraとGalaxy S23 Ultra/S25 Ultraの組み合わせでWi-Fi Direct方式が動作しなかったと報告されています
また、リポジトリ内にclaude.mdエントリが存在することから、開発過程で何らかのAI関与があった可能性も指摘されています。プロトコル互換を独自実装している以上、内部処理の透明性は重要な観点と言えます。
Quick Share本体の進化とGMS非搭載端末への影響
Bada登場の背景には、Google自身のQuick Share拡張戦略があります。AirDrop互換はまずPixel 10で導入され、2026年2月にはPixel 9シリーズへ対象が拡大されました。さらにSamsung、OPPO、OnePlus、Xiaomi、Vivo、HONORなどのパートナーへも2026年中に拡大予定とされ、Quick Shareは事実上のクロスプラットフォーム標準を狙う段階に入っています。
加えてQRコードを用いたクラウド共有によりiOS端末へ送信する機能が全Android向けに展開を開始しました。一方でGoogleは2026年、WhatsAppを皮切りにサードパーティアプリ内へQuick Shareを統合する計画も発表しています。
サードパーティアプリと統合されたQuick Shareでも、Android側で相互運用するにはGMSが必要であるとGoogleが説明しています。
つまり、純正側がどれだけ広がってもGMS非搭載端末の取り残し問題は残るため、Badaのような独立実装の存在意義はむしろ高まっていると言えます。
Q&A
Q. Badaは無料で使えますか?インストール方法は? Badaはオープンソースのアプリとして公開されています。サイドロードで導入する共有アプリ全般に共通するセキュリティ上の注意は払う必要があります。
Q. iPhoneのAirDropとも連携できますか? 現時点ではAirDropはサポートされていないと伝えられています。連携対象はあくまでGoogleのQuick Share側であり、iPhoneとの直接的なファイル共有はBadaの守備範囲外です。
Q. 現時点でどこまで実用的に使えますか? 公開情報の範囲では、同一Wi-Fi接続下でのファイル転送が基本となります。Wi-Fi Direct、Quick Share対応Windows PCへの送信、QRコード受信などには動作不良や未対応の報告があるため、当面は同一Wi-Fi下での送信を中心に試すのが現実的です。Quick Share端末からBada側への送信方向も不安定になることがあると報じられています。