HONORが、アプリの権限要求に対して空のダミーデータを返す「Virtual Permissions」機能を発表したと報じられています。よく似た仕組みは2020年頃にRealmeも投入していましたが、Android 11のCompatibility Definition Document(CDD)改定を理由に撤回された経緯があり、今回のHONORの新機能もグローバル展開できるかは不透明です。PixelやGalaxyを使う日本のユーザーにとって現状は縁遠い機能ですが、CDDの動向次第では将来的に標準機能化する余地もあり、注目に値します。
空データを返す——HONOR「Virtual Permissions」の中身
HONORが告知したとされる新機能「Virtual Permissions」は、アプリが要求する機微な権限に対して、実データの代わりに空のダミーデータを返す仕組みです。Android Authorityによると、対象アプリを個別に指定できるUIが示されており、機微な権限を細かく制御できる設計だと紹介されています。
正体のはっきりしないアプリを試したいときや、権限要求が広範な定番アプリを使い続けたいときに、機微な情報を渡さずに動作させられる点が利点です。
Realmeが投入した類似機能と「Google対応」での撤回
同種の機能をAndroid OEMが提供したのは今回が初めてではありません。Realmeは過去に「Personal Information Protection」という同様の仕組みを投入し、アプリの権限要求に対して空データを返していたと伝えられています。
その後、Realmeの担当者とみられる人物がフォーラム投稿でこの機能の削除を告知したと報じられています。投稿ではAndroid 11のCDDの改定が理由として挙げられ、Googleとの合意により、Android 11のCDDがOEMに含めるべき機能・含めるべきでない機能、それらが必須か推奨にとどまるかを明確化する形で更新されたこと、Androidの緊密なパートナーとして、またGoogleとの長期的協力を維持するため、realme UI 2.0からPersonal Information Protectionを削除する方針である旨が説明されたとされています。
一部端末では出荷時点で同機能が省かれており、それ以外の端末にはOTAアップデートで削除が適用されたと伝えられています。Android Authorityのレビュー機にも、現在この機能は搭載されていないとのことです。
グローバル展開には不透明感——Googleの対応が焦点
Googleが直接Realmeに削除を要請したのか、それともRealmeがAndroidのガイドラインに抵触する可能性を見越して自発的に取り下げたのかは、現時点では明らかにされていません。Android Authorityは、Google・Realmeの双方に経緯について問い合わせ中だと伝えています。
今回のHONORの新機能についても、中国国外でリリースされるかどうかは現時点で確認できません。Realmeの経緯を踏まえると、HONORがグローバル版で同機能を出さない可能性も指摘されており、同メディアはHONORにも世界展開の有無を確認中で、回答が得られ次第アップデートする方針だとしています。
GoogleやSamsungは、迷惑電話検出・通話スクリーニング・Advanced Protection Mode・ロック中のUSB接続ブロックなど多くのプライバシー機能を提供していますが、Virtual Permissionsのような「アプリに偽データを返す」発想の機能はPixelやGalaxyには搭載されていません。CDDがどこまで踏み込んだ制約を課しているかが、グローバル普及の鍵を握ります。
現時点ではHONORの新機能としての発表にとどまり、Pixel・Galaxyユーザーが同等機能を期待するのは時期尚早です。読者として注目すべきは、次回CDD改定での「OEM独自の権限ダミー化」の扱いと、HONORがグローバル市場向けに同機能の搭載可否を表明するタイミングの2点でしょう。
MagicOS 10での配信状況と対象データ種別
Virtual PermissionsはMagicOS 10.0.0.160として配信が始まっており、Honor Magic 7やHonor Magic V5、Honor 400など対応端末へ順次展開されているとされています。設定アプリの「プライバシー&セキュリティ」内に「Virtual Permissions」項目が用意され、アプリごとにトグルで切り替える操作系が採用されています。
空データが返される対象は次のデータ種別が挙げられています。
- 連絡先(contacts)
- 通話履歴(call logs)
- メッセージ(messages)
- カレンダー(calendar)
同じ2026年6月のMagicOS 10アップデートでは、画面の覗き見を検知するAI Anti-Peeping Screenや、AIキーから画像生成・編集を呼び出せるYOYO AI Creationといったプライバシー・AI機能の追加も合わせて告知されており、Virtual Permissionsはこの大型更新の一部として位置づけられています。
Android 16側で進む権限管理の刷新
Googleが2026年に打ち出したAndroid側のプライバシー強化策では、OEMによるダミーデータ注入とは異なるアプローチで「渡す情報を絞る」方向の改良が進んでいます。
Google is providing more privacy and control through a new contact picker that allows developers to ask for access to specific contacts only, with apps able to specify which fields they need and access being temporary.
新しいコンタクトピッカーは、アプリが必要なフィールドのみを一時的に要求できる設計で、連絡先全件を渡さずに済む点が特徴とされています。Privacy Dashboardは過去7日間まで履歴表示が拡張され、まれにしか機微権限を使わないアプリの挙動も追跡しやすくなったと説明されています。さらに、文脈に応じて権限を動的に調整するAdaptive Permission Enforcementや、SMSのワンタイムパスワードを多くのアプリから3時間自動で隠す保護も導入されており、Android標準側でも権限の細粒度化が前進しています。
Q&A
Q. Virtual Permissionsは日本やグローバル版HONOR端末でも使えますか? 中国国外での提供有無は現時点で確認できません。過去にRealmeが類似機能をGoogleとの関係維持を理由に削除したと報じられた経緯から、グローバル展開には不透明感が残ります。
Q. なぜGoogleは類似機能を認めにくいと見られているのですか? Realmeのフォーラム投稿によれば、Android 11のCDDがOEMに含めるべき機能・含めるべきでない機能を明確化したことが削除の理由とされています。アプリに偽データを返す仕組みはAndroidの権限モデルやアプリ動作との整合に踏み込むため、CDDで推奨されない領域に該当する可能性があると読めます。Googleの公式見解は現時点では明らかにされていません。