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Huawei Kirin 9050がApple A18 Proを上回るとのリーク——3D IC積層でEUV制約を回避か

GadgetDrop 編集部8
Huawei Kirin 9050がApple A18 Proを上回るとのリーク——3D IC積層でEUV制約を回避か

Wccftechは、Huaweiの次期フラッグシップSoC「Kirin 9050」がApple A18 Proを上回る性能を示したとされるリーク情報が浮上していると報じています。同記事は、中信証券(CITIC Securities)のアナリストYu Fangbo氏の主張と、SNS上の投稿者@szslg氏のポストを引用するかたちで伝えています。ただしテスト条件や電力情報は公表されておらず、現時点では不確定要素の多い情報です。

アナリスト主張:A18 Proを上回るとされるが条件は不明

Wccftechは、中信証券のアナリストYu Fangbo氏が、Huaweiの次期Mate 90シリーズに搭載される見通しのKirin 9050について、Apple A18 Proを上回る性能を示す可能性を指摘していると報じています。情報の出どころとなった@szslg氏の投稿には、A18 Proを上回るとされる「alleged test results(とされるテスト結果)」が言及されているものの、以下の重要情報が欠落していると同メディアは指摘しています。

  • どのベンチマーク・どのワークロードで比較したのかが明示されていない
  • 電力消費(power draw)に関する記載が一切ない
  • エンジニアリングサンプル段階か、量産シリコンに近い段階かが不明

Wccftechは、「unrestricted wattage(電力制限のない条件)」で動作させればSamsung Exynos 2600のエンジニアリングサンプルがApple M5を上回るという別のリークも例示しており、モバイルデバイスの実装条件下で同じ結果が再現される保証はないと報じています。あくまで非公式の情報源からのリーク情報として受け止める必要があります。

SMICの製造制約と「3D IC積層」による回避策

今回のリークの背景にあるのが、Huaweiの製造パートナーであるSMICが直面する製造制約です。Wccftechによれば、SMICはEUV(極端紫外線)露光装置を入手できておらず、5nm以下の微細プロセスの量産が困難な状況が続いていると伝えられています。

Wccftechは、SMICが既存のDUV装置を用いて5nmプロセスの開発自体には成功しているものの、歩留まりとコストの問題から量産には移行しておらず、引き続き7nmノードを採用していると報じています。Appleが先行するプロセスとの差が指摘されており、純粋なプロセス技術ではHuaweiは劣勢に置かれているとされています。

この差を埋める手段として浮上しているのが「3D IC stacking(3次元IC積層)」技術です。コンポーネントを垂直方向に積層することでトランジスタ密度と性能を引き上げ、3nmプロセスに依存せずに性能を底上げするアプローチとされています。プロセス微細化の代わりにパッケージング技術で勝負するという構図です。

LogicFolding Design:密度53%・クロック12.7%向上の触れ込み

Kirin 9050に採用が見込まれているとされるのが、Huawei独自の「LogicFolding Design」技術です。Wccftechの関連報道によれば、同技術はトランジスタ密度を53%、クロック周波数を12.7%引き上げる効果があるなどと伝えられています。

項目向上幅(報道値)
トランジスタ密度53%
クロック周波数12.7%

ただしこれらの数値はHuaweiの公式発表ではなく、過去にWccftechが報じた関連リークに基づくものです。実際のKirin 9050がこの数値を完全に実現できるか、そして電力効率を維持できるかは現時点では明らかにされていません。LogicFoldingと3D IC積層を組み合わせることで、プロセス世代の差を補おうという狙いが読み取れるとの見方もありますが、最終的な実機性能は量産チップが市場に登場するまで確認できません。

リーク情報の信頼性と注意点

今回の情報は、以下の点で慎重に扱う必要があると考えられます。

  • 情報源が匿名のSNS投稿者:@szslg氏のポストが起点であり、一次情報はHuawei・SMICからは出ていません
  • テスト条件が非公開:A18 Proとの比較に使われたベンチマーク・電力制限などが示されていません
  • 電力情報がない:モバイルSoCは熱と電力の制約下での性能が本質であり、unrestricted wattageでの結果は実機性能を保証しません
  • アナリストの観測:中信証券Yu Fangbo氏の主張も、Huawei・SMICの公式コメントを伴うものではありません

Wccftech自身も、今回のポストは「rife with ambiguity(曖昧さに満ちている)」と評しており、テスト方法・電力drawの双方が明示されていない点を問題視していると伝えています。

リーク系の情報は最終製品で仕様や性能が変化することが珍しくありません。Kirin 9050の実際の性能は、Mate 90シリーズが市場に登場し、第三者ベンチマークで検証される段階で初めて確定すると考えられます。現時点では「Huaweiがプロセス制約を3D積層とLogicFoldingで補おうとしている方向性」までを報道ベースの事実として受け止め、A18 Proを上回るかどうかの結論は続報を待つのが妥当でしょう。

Mate 90シリーズの発表時期とラインアップが鮮明化

Huaweiの半導体事業責任者He Tingbo氏は、上海で開催された2026 International Symposium on Circuits and Systems (ISCAS 2026)で、LogicFolding技術を初採用したKirinチップを2026年秋に投入すると明言しています。この技術は従来の単層レイアウトを越え、ロジック構造を2層に積み重ねる設計でトランジスタ密度とエネルギー効率を高めるアプローチとされています。

ラインアップ面では、Mate 90シリーズの発表は2026年9月に前倒しされ、standard・Pro・Pro Max・RS Master Editionの4モデルが揃ってKirin 9050を搭載すると報じられています。さらにKirin 9050 Pro変種を搭載する三つ折り機Mate XT 2が同じステージでデビューする見通しです。

  • 発表時期:2026年9月(Mate 80のNovember 25, 2025発売から約2か月前倒し)
  • モデル数:4機種+Mate XT 2
  • OS:HarmonyOS 7を全機種に搭載

中国半導体エコシステム全体の拡大と装置国産化

Kirin 9050を支える製造基盤の整備も同時に進んでいます。SMICは2025年以降、次世代の5nmノードに焦点を移し、現在パイロットランを実施しながら2026年の量産を目指しており、これはHuaweiやAlibabaの次世代AIプロセッサに用いられる予定です。コスト面ではSMICの5nmチップ生産コストはEUVを用いるTSMCの5nmより50%高いと外部から推定されており、商業的なハードルが残っています。

装置内製化と生産能力の拡大

国家レベルの政策では、SMICが7nm相当の量産経験を活かして「5nm相当」の技術を開発する一方、これまで成熟ノード中心だったHua Hong Semiconductorも中央・地方政府の後押しを受けて先端ノードに参入しています。露光装置の独自開発も加速しており、Huaweiと密接な関係を持つSiCarrierが28億ドルの資金を確保し、ASMLに対抗する国産EUV装置の供給を目指している状況です。さらに中国は自国製EUV装置の試験生産を2025年第3四半期に開始すると報じられており、3D積層とLogicFoldingという回避策と並行して、装置レイヤーでの自立も追求されています。

Q&A

Q. Kirin 9050はどの製品に搭載される見込みですか? Huaweiの次期フラッグシップ「Mate 90シリーズ」に搭載される可能性が高いと報じられています。発売時期は現時点では公表されていません。

Q. なぜHuaweiは3nmではなく7nmや積層技術に頼るのですか? Wccftechによれば、製造パートナーのSMICがEUV露光装置を入手できておらず、5nm以下のプロセスを量産できない状況のためとされています。5nmの開発自体は成功していると報じられていますが、歩留まりとコストの問題で量産には至っておらず、引き続き7nmが主力となっていると伝えられています。

Q. A18 Proを上回ったというテスト結果は信頼できますか? 現時点では信頼性を判断するのが難しい状況です。テストに使われたベンチマーク・電力条件が公表されておらず、SNS投稿者発のリーク情報として扱うのが妥当です。

出典

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