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InnoGritがPCIe Gen6 SSDコントローラ「IG5686」を披露——最大256TB・28GB/s、2028年には1億IOPSへ

GadgetDrop 編集部7
InnoGritがPCIe Gen6 SSDコントローラ「IG5686」を披露——最大256TB・28GB/s、2028年には1億IOPSへ

中国のSSDコントローラメーカーInnoGrit(YingRen Technology)が、Computex 2026で初のPCIe Gen6 SSDコントローラ「IG5686(コードネーム: Crestone)」を披露しました。最大256TBの容量・28GB/sの読み込み速度・700万IOPSを掲げ、エンタープライズおよびAIインフラ市場での次世代スペック競争に名乗りを上げた格好です。AIサーバー世代交代の主導権を巡る競争に中国勢が本格参入したことを示す動きであり、生成AIの学習基盤を支えるストレージ層がどう変わるかを占う上で見逃せない発表と言えます。さらに同社は、2028年には最大1億IOPSを実現する次世代SSDも視野に入れていると伝えられています。

IG5686「Crestone」の主要スペック

新型コントローラ「IG5686」はエンタープライズ、ハイエンドデータセンター、AIユースケースを主なターゲットとしています。PCIe Gen6x4とNVMe 2.3に対応し、フォームファクタはE1.SとE3.Sが中心になる見込みです。公表されている主なスペックは以下の通りです。

項目スペック
インターフェースPCIe Gen6x4 / NVMe 2.3
最大容量最大256TB
読み込み速度最大28GB/s
書き込み速度最大22GB/s
ランダム読み込み最大700万IOPS
ランダム書き込み最大500万IOPS
対応NANDSLC / MLC / TLC / QLC、およびSCM NAND
NAND転送速度最大4800 MT/s

注目すべきは、シーケンシャル性能だけでなくランダム性能でも700万IOPS(読み込み)・500万IOPS(書き込み)という高い水準を掲げている点です。AIの学習や推論では細粒度の小さなI/Oが膨大に発生するため、こうした高IOPSはGPUがデータ待ちで遊んでしまう時間を短縮し、大規模モデルの学習効率を底上げする効果が期待できます。

CXL 3.1対応のCascade「IG5676」も同時投入

InnoGritはIG5686に加え、もうひとつのコントローラ「IG5676(コードネーム: Cascade)」も投入します。こちらはCXL 3.1のType-3デバイスに準拠した製品で、高速・低レイテンシのXL-FLASHをSCM(Storage Class Memory)として活用できる点が特徴です。

  • 容量は最大2TB
  • 用途はコスト効率を重視したソリューション

IG5686がスケールアウト型のAIストレージを狙う一方、IG5676はCXL 3.1 Type-3デバイスとしてSCM領域を担う位置づけであり、両者で異なる市場をカバーする構成となっています。

2027年は25〜50M IOPS、2028年は100M IOPSへ

InnoGritはComputex 2026の場で、Gen6以降のロードマップにも触れました。

  • 2027年: PCIe Gen6 / CXL標準への深い統合・最適化により、2,500万〜5,000万IOPSを実現する見込みと説明されています。狙いは大規模な推論クラスタやロングコンテキスト処理の支援です。
  • 2028年: 最大1億IOPS(100M IOPS)へ引き上げ、「AI-Nativeストレージ」アーキテクチャを大規模に駆動することを目標に掲げています。

ただし、PCIe Gen6どころかGen7についても、クライアント/コンシューマ環境への到達は当面先になります。Gen6 SSDがクライアント向けプラットフォームに登場するのは2029〜2030年ごろが見込まれており、それまでに大きな更新は予定されていないと伝えられています。

中国勢がAIインフラ向けGen6戦線に参入

InnoGritは2023年に初のGen5 SSDコントローラを投入し、中国ブランドとして現行世代SSDセグメントに本格参入したメーカーです。今回のGen6コントローラ発表は、同社が次世代AIインフラ向けストレージの提案に踏み込んだことを示すもので、いきなり最大256TB・28GB/s・700万IOPSというフラッグシップ級のスペックを掲げた点が目を引きます。AIインフラ向けSSDの世代交代戦が一段と過熱しそうな展開です。

現時点ではIG5686の量産時期や採用先パートナーは明らかにされていません。実際にAIデータセンターに届くタイミングや、対抗ソリューションとの性能差は、続報を待って判断するのが妥当です。

競合PhisonとSilicon MotionもGen6コントローラを同時期に披露

PCIe Gen6 SSDコントローラ市場では同時期に競合製品の発表が相次いでおり、IG5686の立ち位置がより鮮明になっています。Phisonの「PS5303-X3」は16チャネルNAND構成で、シーケンシャル28GB/s・ランダム最大680万IOPSに加え、ドライブ容量で最大2PB(ペタバイト)規模を視野に入れていると公表されています。NVMe 2.3とOCP Datacenter NVMe SSD Specification 2.6の双方に対応し、ピーク約7W(4GB/s per wattを目標)に抑える電力効率も売りです。

コントローラ最大容量量産・投入時期
Phison PS5303-X3最大2PBサンプル2026年12月、量産2027年中ごろ
Silicon Motion SM8466最大512TBエンタープライズ向け2026年後半

各社とも公称帯域はほぼ横並びで、容量上限・電力効率・市場投入タイミングが差別化軸になりつつあります。

サムスンは512TB Gen6 SSDを2027年に投入予定

NAND/ドライブ側でもロードマップが具体化しており、エンタープライズ向けGen6 SSDの実機が出そろう時期が明確になってきました。サムスンは256TBクラスのPCIe Gen6 SSDを2026年に、512TBモデルを2027年に投入する計画で、フォームファクタにはデータセンター専用のEDSFF 1Tを採用するとされています。

「PM1763」の電力効率

公表中のフラッグシップ「PM1763」は現行ドライブの2倍の性能を25Wで実現する設計で、世代間で60%のエネルギー効率改善を主張しています。

加えてSolidigm、SanDisk、SK hynix、Kioxiaも同じタイミングでGen6 SSDの市場投入を準備していると報じられており、AI向け超大容量ストレージ層では複数ベンダーが一斉に揃う競争環境が形成されつつあります。コントローラ側のIG5686に呼応する形で、NAND/SSD完成品側の足並みも急ピッチでそろい始めている構図です。

Q&A

Q. IG5686はコンシューマ向けSSDにも搭載されますか? いいえ、IG5686はエンタープライズ・ハイエンドデータセンター・AIユースケース向けに設計された製品です。PCIe Gen6 SSD自体がクライアント環境に届くのは2029〜2030年ごろと見込まれており、当面はサーバー領域での展開が中心となります。

Q. IG5686とIG5676の違いは何ですか? IG5686(Crestone)はPCIe Gen6x4・NVMe 2.3対応の大容量SSD向けコントローラで、最大256TB・28GB/sを狙うハイエンド製品です。一方IG5676(Cascade)はCXL 3.1 Type-3対応のコントローラで、XL-FLASHをSCMとして扱う最大2TBのコスト効率重視ソリューションと位置づけられています。

Q. 実機のリリース時期や日本での入手性はどうなりますか? 量産開始時期や採用パートナー、地域別の提供計画については現時点では明らかにされていません。本コントローラはエンタープライズ/データセンター向けであるため、一般ユーザーが店頭で直接購入する性質の製品ではなく、サーバーやストレージアプライアンスのコンポーネントとして組み込まれる形が中心となる見込みです。

出典

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