「ショートカットで何をしたいですか?」——この一行に答えるだけで、これまで条件分岐やアクションのつなぎ込みに専門知識を要してきたShortcutsが、誰でも使えるツールへと変わる可能性があります。Bloombergが報じ、9to5Macが解説した次期Shortcutsアプリのテストバージョンは、自然言語の入力からシステムが自動でショートカットを構築・インストールする仕組みだと伝えられています。来月の WWDC 2026 での発表が見込まれる注目アップデートとして9to5Macが取り上げており、その内容を整理します。なお、これはあくまでBloombergの報道を9to5Macが解説したものであり、Appleの公式発表ではない点には留意が必要です。
Bloombergが伝えた「文章で書くだけ」のShortcuts
9to5Macが引用したBloombergのレポートでは、テスト中の新しいShortcutsアプリについて、次のように説明されています。
現在テスト中のバージョンでは、ユーザーがやりたいことを記述するだけでショートカットを作成できる。これまでユーザーはアプリ内で手動でショートカットを組み立てるか、Appleのギャラリーからダウンロードする必要があった。新バージョンでは、「ショートカットで何をしたいですか?」というプロンプトとテキストフィールドが表示され、ユーザーの記述に従ってシステムが自動的にショートカットを構築し、デバイスにインストールする。
ポイントは「What do you want your shortcut to do?」という一行のプロンプトと、平易な文章での入力です。9to5Macはこのプロンプトを紹介する際に「音声でも可」と括弧書きで触れており、これまで条件分岐やアクションのつなぎ込みに専門知識が必要だった作業を、システム側が裏側で肩代わりする設計だと報じています。なお、システムがどのようにショートカットを生成するかの技術的詳細はBloombergの引用部分では明示されておらず、9to5MacはAIが裏側で組み立てる方向性として解説しています。
日々のルーティンに何が起きるか
たとえば「毎朝7時に天気を読み上げて、通勤経路の交通情報をメッセージで送って、お気に入りのプレイリストを再生」といった複合的な動作も、従来は複数のアクションを順番に組み立てる必要がありました。新バージョンでは、こうした要望を文章で記述するだけで構築される可能性があると報じられています。9to5Macは、これにより「アプリ・ファイル・情報の橋渡し」をユーザー一人ひとりの状況に合わせてShortcutsが引き受けることになるとの見方を示しています。
Shortcutsがこれまで突破できなかった壁
Shortcutsの前身であるWorkflowをAppleが買収したのは 2017年、Shortcutsとして正式に登場したのは 2018年 です。macOSのAutomatorのような複雑さを抽象化しつつ、iPhone・iPad上でアプリ間連携を可能にする強力なツールでしたが、9to5Macは「Shortcutsの機能と恩恵は、これまで一部のユーザーに限られてきた」と指摘しています。
Federico Viticci氏やMacStoriesチーム、Stephen Robles氏のように、Shortcutsを極限まで活用できるユーザーは存在する一方、9to5Macは「一般ユーザーがあと一歩でShortcutsマスターになれるという見方は、ユーザーベース全体に当てはまったことはない」と率直に書いています。AI統合が進んだ近年でも、その壁は完全には崩れていないとの見方が示されています。
そこに「やりたいことを書くだけ」というUIが加わるなら、技術的習熟度に関係なく、ユーザー一人ひとりの状況に合わせた「アプリ・ファイル・情報の橋渡し」をShortcutsが引き受けることになる、と9to5Macは論じています。9to5Macはこの方向性を、Steve Jobsが WWDC 1997 で語った「カスタマー体験から始めて、そこからテクノロジーへと逆算しなければならない」という言葉と重ね、これが実現すれば「Shortcutsをよく知るユーザーにとっての天井もさらに高くなる」と評しています。つまり、初心者の入口が低くなるだけでなく、上級者の表現の幅も広がるという二段構えの変化が起きうるとの見方が示されています。
WWDC 2026を前にした注意点
期待は大きいものの、現段階で公開されているのはBloombergの報道を9to5Macが伝えている情報であり、Appleは新Shortcutsを公式に発表していません。9to5Macも「Appleがこれをうまく実装すれば」という条件付きの書き方をしており、対応デバイス・対応言語・オンデバイス処理の有無・利用できるアクションの範囲などは現時点では公表されていません。
それでも、自然言語からショートカットを組み立てる方向性が事実なら、9to5Macが指摘するように、これまでShortcutsに挫折してきた層にとっての敷居が一気に下がる可能性があります。一方で、すでにShortcutsを使いこなしてきたユーザーにとっては「天井」がさらに高くなる、つまり手動で組む高度なワークフローと自動生成のショートカットを併用できる余地が広がるとの見方も示されています。
Shortcutsの今後を見極めるうえでは、現時点ではBloombergの報道として受け止め、WWDC 2026 での正式発表を待つのが妥当です。続報を待ちましょう。
前提となるiOS 26時点のShortcuts×Apple Intelligence
「やりたいことを書くだけ」という新UIの議論を理解するうえで、現行のiOS 26時点でShortcutsがどこまで進化しているかを押さえておくと、変化の幅が見えやすくなります。
Intelligent ActionsとUse Modelの現状
iOS 26ではShortcutsの中でApple Intelligenceモデル(オンデバイスまたはPrivate Cloud Compute)あるいはChatGPTを使い、シンプルな処理から複雑な処理までを扱う独自ショートカットを作成でき、モデルにアクションの入力を渡したり出力を解析したりできます。この「Use Model」アクションでは、ユーザーがどのAIモデルを使うかを指定でき、On Deviceを選ぶとiPhone・iPad・Mac本体のApple Intelligence LLMだけで処理されます。一方でApple Intelligence対応のショートカット作成は、iPhone 15 Pro以降のデバイスに限定されています。またApple IntelligenceセクションにはMorning Summary、Leftover Recipes、Document review、Summarise PDFなど既製アクションも追加されており、自然言語生成UIはこれらの土台の上に乗る形になります。
WWDC 2026の文脈:Siri刷新とAIの大方針
Shortcutsの新UIは、WWDC 2026全体のAI方針の中に位置づけて見ると意図が読みやすくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催期間 | 2026年6月8日〜12日 |
| キーノート | 6月8日午前10時PT開始 |
| 中心テーマ | Siriのチャットボット化が主役の控えめな構成 |
| AI基盤 | Apple Foundation modelsの次世代基盤としてGoogle Geminiを採用する取り決め |
Bloombergのマーク・ガーマン氏は、AppleがSiriをChatGPTのようなチャットボットに刷新し、iMessage風UIで過去の会話に戻って続きから話せる専用Siriアプリを用意すると報じています。加えてLiquid Glassの透明感・反射などの強度をシステム全体で調整できるスライダーの追加も取り沙汰されており、iOS 27全体としては品質と基盤性能の改善、肥大化したコードの削減やバグ除去に重きが置かれる見通しです。Shortcutsの自然言語化も、この「会話で操作する」流れの一部として位置づけられそうです。
Q&A
Q. 日本語などの多言語には対応するのでしょうか? 9to5MacとBloombergの引用範囲では、対応言語は明示されていません。9to5Macは「対応デバイス・対応言語・利用できるアクションの範囲などは公表されていない」と注記しており、現時点では明らかにされていません。WWDC 2026での発表を待つ必要があります。
Q. これまでに作成済みのショートカットはどうなりますか? 既存ショートカットの扱いについても、Bloombergの引用部分や9to5Macの記事では具体的な言及はありません。9to5Macは「すでにShortcutsを使いこなしてきたユーザーにとっては天井がさらに高くなる」とし、手動で組むワークフローと自動生成のショートカットを併用できる余地が広がるとの見方を示しています。
Q. いつ発表されますか? 9to5Macは「来月のWWDC」を念頭に置いた書き方をしており、WWDC 2026での発表が見込まれます。ただし搭載される機能の最終仕様、対応デバイス、対応言語などは現時点では公表されていません。