英国の子ども向けゲーム機市場で、XboxやPlayStationがOnline Safety Act 2023への対応に追われる中、初日から安全設計を打ち出す新興プレイヤーが英国に上陸します。子ども向けゲーム機「Nex Playground」が2026年5月18日に予約を開始しました。価格は£269(約5万2千円)で、Amazon・Argos・Smyths Toysで取り扱われます。Nexは「コンプライアンス対応ではなく、業界をリードする側」と明言しており、規制対応を後追いする他社との立ち位置の違いを鮮明にしています。
£269(約5万2千円)で英国上陸——AIカメラはオンデバイス処理
Nex Playgroundは、元Appleデザイナーで現CEOのDavid Lee氏率いるチームによる、3〜12歳の子どもを主な対象とするゲーム機です。本体に搭載されたAIカメラがプレイヤーの動きを読み取り、野球ゲームや人気モバイルゲームの移植版「Fruit Ninja」などを身体を使って遊べます。
Lee氏はプライバシーを「最優先事項」と位置付け、カメラの映像はクラウドに送信されず、内蔵のNPU(Neural Processing Unit)でデバイス上で処理されると語ります。OSはAndroid Open Source Project(AOSP)ベースのカスタム仕様ですが、完全にロックダウンされており、サードパーティ製アプリのインストールは許可されていません。
英国での予約開始は5月18日、価格は£269(約5万2千円)。販売チャネルはAmazon、Argos、Smyths Toysの3社です。
「私たちはコンプライアンス組織ではなく、リーディング組織だ」——Trust and Safety責任者を採用中
社長兼国際部門責任者のTom Kang氏は、英国市場での発売を前にTechRadarの取材に対し、Trust and Safety(信頼と安全)を会社の「基盤」と位置付けていると強調します。
「We're not a complaint organization, we're a leading organization」
Kang氏はTrust and Safety領域の業界リーダー人材を採用中で、すでに数か月にわたり助言を受けていると語ります。同氏はその人物に研究やリード業務を任せ、「the gold standard(最高水準)」となるTrust and Safetyのモデルを作りたいと話します。
事後対応の難しさについても、同氏は次のように指摘します。
「It's difficult to retrofit your business backwards, if you open the Pandora's box and if you create all those loopholes」
最初からバケツに穴を開けない設計にする——というメッセージで、競合へのけん制とも読める発言です。
UK Online Safety Act 2023を意識——XboxやPlayStationも対応中
今回の英国発売は、ゲーム業界全体がOnline Safety Act 2023への対応に追われているタイミングと重なります。同法は幅広い「ユーザー間サービス」の運営者に注意義務を課しており、特に「子どもがアクセスしやすい」サービスには追加の措置が求められます。
報じられている同業他社の動きは以下の通りです。
| 企業 | 対応内容 |
|---|---|
| Microsoft(Xbox) | 英国ユーザー向けに年齢確認システムを導入。ボイス・テキスト通信などソーシャル機能を使うには一度の確認が必要 |
| Sony(PlayStation) | 独自の年齢確認システムを展開し始めており、通信機能の利用には2026年後半に年齢確認が必須化される見込みと報じられています |
これらの大手プラットフォームが「既存サービスへの後付け対応」を進める中、Nexは「初日から(from day one)」の設計を強調することで差別化を図っています。
オンラインプレイは「相互同意」モデル——映像・音声・テキストなし
Nexは年内に一部のオンラインプレイ機能を展開する計画とされており、Lee氏はこの機能が「対称的でソーシャルな同意(symmetric, social consent)」モデルに基づいて設計されていると語ります。
具体的には、接続したい2人のプレイヤーが互いに固有のコードを入力し合う必要があります。
「No stranger can actually do that. Even after that, there's no video or sound or text」
つまり、見知らぬ相手とつながる経路がそもそも存在せず、接続が成立しても映像・音声・テキストのやり取りは行わない設計です。子ども向けゲーム機に付き物の「ボイスチャットで何が起きるか」という懸念を、機能自体を持たないことで回避するアプローチと言えます。
TechRadarの関連記事のタイトルでは、Nex Playgroundの社長がRobloxを「『安全でない代表例(poster child for unsafe)』のような存在」と評したとされており、Nexが安全性を明確な競争軸として打ち出していることがうかがえます(同表現は本記事の元となるインタビュー本文ではなく、TechRadarの関連記事タイトルで紹介されています)。
購入を検討する際のポイント
3〜12歳の子どもがいて、英国の販売地域で購入できる家庭にとっては、サードパーティアプリ非対応・カメラ映像のオンデバイス処理・知らない相手と接続できないオンライン設計といった点が、設計思想として一貫しているかが判断のポイントになります。現時点で公表されている販売チャネルはAmazon・Argos・Smyths Toysの英国3社で、その他の地域での展開やオンライン機能の具体的なロードマップについては明らかにされていません。
Q&A
Q. Nex Playgroundはどこで買えますか?価格は? 英国では2026年5月18日から予約が開始され、£269(約5万2千円)でAmazon、Argos、Smyths Toysが取り扱います。
Q. カメラ映像はクラウドに送信されますか? 送信されません。本体内蔵のNPUでオンデバイス処理されると、CEOのDavid Lee氏が説明しています。
Q. オンラインで知らない人とつながる心配はありますか? プレイヤー同士が互いの固有コードを入力し合う「相互同意」モデルで、接続後も映像・音声・テキストのやり取りは行わない設計だと説明されています。