『Hokum』で話題のダミアン・マッカーシー監督の前作『Oddity』が、低予算ホラーの傑作として再注目されています。The Vergeは2026年5月17日掲載のレビューで、木製ゴーレムの造形美と巧みな緊張構築を高く評価しました。「一秒でも気を抜いてみろ」と挑発するように動かず凝視を続ける木製ゴーレム——98分のランタイムのほとんどを観客に正視させ続けるその存在感こそが、本作の核心にあるとO'Brien氏は記しています。
『Hokum』好調を受けて前作『Oddity』に再注目
The Vergeのウィークエンドエディター、Terrence O'Brien氏のコラムによると、現在劇場公開中のAdam Scott主演ホラー『Hokum』が興行予想を上回る成績を上げているとされ、これを機に同じくダミアン・マッカーシー監督の前作『Oddity』を観るべきだと推奨しています。『Hokum』はキューブリック作品を参照した幽霊ホテルもので、両作はアイルランドの広大な田舎を舞台とする点でも共通しています。
『Oddity』は現在、Hoopla、Kanopy、Hulu、Shudderで配信中です。
500万ドルと75万ドル——超低予算で生まれた恐怖
両作の共通点は舞台設定だけではありません。呪われた物品、オカルト、孤立した環境、社会の規範から外れて生きる怪しい男たち、そして「真の悪は女性を犠牲にする一見まっとうな男」という主題まで重なります。
予算面でも両作は極めて低コストで制作されており、その対比は以下の通りです。
| 作品 | 予算 |
|---|---|
| Hokum | 500万ドル |
| Oddity | 低い場合で75万ドル程度との報道あり(確認困難) |
『Oddity』の予算については確定情報の確認が難しく、The Vergeは「低い場合で75万ドルという報道もある(as low as $750,000)」とした上で、ザラついた質感と暗さを湛えた仕上がりに限られた予算が賢く投じられていると評しています。
木製ゴーレムの造形が生む持続する恐怖
The Vergeのレビューが特に絶賛しているのが、本作の中心に据えられた木製ゴーレムの造形です。多くのホラー映画では怪物や呪物は見続けるほど怖さが薄れるものですが、『Oddity』のゴーレムは画面に映る時間が長くなっても恐ろしさを失わないと評価されています。
- 精緻に刻まれた皺
- 永遠に叫び続けるように凍りついた口
- 虚ろな眼窩
これらが組み合わさり、98分のランタイムのかなりの時間、ほぼ動かないまま正面を見据え続けるゴーレムを観客は凝視させられることになります。
ジャンプスケアと復讐劇——緊張構築の妙
ジャンプスケアの使い方についても、安易ではないと評価されています。何度も「来そうで来ない」と観客を油断させ、最も予期しないタイミングで仕掛けてくる手法で、再鑑賞でタイミングを把握していてもなお身体が反応してしまうとO'Brien氏は述べています。
物語の核は復讐劇です。主要人物の関係を整理すると以下のようになります。
- Darcy Odello:盲目の霊能者。物語の主人公で、双子の妹Daniを殺害した犯人への復讐を企てる
- Dani:Darcyの双子の妹。殺害された被害者で、作中では幽霊として繰り返し現れる
- Ted:Daniの夫(widower)。事件後、新しい恋人Yanaと暮らしている
- Yana:Tedの現在の恋人。Darcyの調査により、Tedとの関係が事件以前から始まっていた可能性が示唆される
加えて、殺害容疑をかけられた男は実は無実だった可能性がDarcyの調査で示されます。Tedの家のダイニングテーブルに据えられる木製のゴーレムが中心的な恐怖となる一方で、Daniの幽霊が繰り返し現れる場面、足を貪るカニバル、そして携帯電話の電波が一切入らないという定番の孤立演出も組み合わされ、息継ぎを許さない構成になっているとされています。
Hulu・Shudderで今すぐ観られる
『Hokum』をきっかけにマッカーシー作品に触れた人には、前作『Oddity』を観る価値が十分にあるというのがThe Vergeの結論です。Hoopla、Kanopy、Hulu、Shudderの4つの配信プラットフォームが用意されているため、加入中のサービスで視聴可能か確認してみるのがよいでしょう。
『Hokum』の製作背景とNeon配給による全米拡大公開
『Hokum』は元記事で触れられたヒット状況の裏に、配給戦略の転換があります。本作は2026年のSouth by Southwest Film & TV Festivalで3月14日にプレミア上映され、Neonが2026年5月1日に米国劇場公開しました。製作面ではアイルランドとアラブ首長国連邦の国際共同製作で、主要撮影は2025年2月から3月にかけてアイルランドのCounty Corkで行われています。
興行と監督キャリアにおける節目
米国・カナダ公開初日には1,860館で約260万ドルを稼ぎ出しました。IndieWireのレビューによれば、本作はマッカーシー監督にとってNeonとの初のコラボレーションであると同時に、ハリウッド俳優との初仕事にもあたると指摘されています。低予算インディーから出発した監督が、Neonという有力配給と組んで全米ワイド公開に到達した点が、『Oddity』との大きな違いとして浮かび上がります。アイルランド・UAE共同製作という座組も、地元資本中心だった前作との対比で、製作規模の拡大を示しています。
『Oddity』が積み上げた受賞・配信ヒットという実績
元記事は配信プラットフォームの一覧に触れていますが、その評価の土台となった実績も見逃せません。『Oddity』はSXSW 2024でミッドナイター部門の観客賞を受賞し、さらにOverlook映画祭でも観客賞を獲得しました。Saturn Awardsでは最優秀国際映画賞にノミネートされています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| Rotten Tomatoes批評家スコア | 96%(132レビュー) |
| Metacritic | 78点 |
| 米国劇場興収 | 約140万ドル |
米国劇場興収は140万ドルにとどまりましたが、その後ストリーミングで大きな反響を獲得しています。制作面でも工夫があり、等身大の木製ゴーレムは特殊効果アーティストのPaul McDonnellが手がけました。撮影はマッカーシー監督の前作『Caveat』と同じCounty Corkの納屋セットを転用して行われており、限られたリソースを最大限活用する作家性が裏付けられています。劇場での控えめなスタートから配信で巻き返した経緯は、『Hokum』のワイド公開という飛躍と対照的な軌跡を描いています。
Q&A
Q. 『Oddity』はどこで観られますか? The Vergeのレビューによると、Hoopla、Kanopy、Hulu、Shudderの4サービスでストリーミング配信されています。
Q. 『Oddity』と『Hokum』はどちらを先に観るべきですか? The Vergeは『Hokum』からマッカーシー監督を知った人に対し『Oddity』も観ることを推奨しており、視聴順については特に指定していません。ただしレビュー内には『Oddity』のネタバレが含まれる旨の警告があり、未鑑賞ならば「予備知識なしで観るのが理想」とも記されています。
Q. 予算75万ドルという数字は確定情報ですか? 確定していません。The Vergeは『Oddity』の予算は確認が難しいとした上で、「低い場合で75万ドルとの報道もある(as low as $750,000)」と記述しています。一方『Hokum』の500万ドルという数字は明示されています。
出典
- The Verge — Oddity is masterfully tense horror from the director of Hokum
- Wikipedia — [Hokum (film)](https://en.wikipedia.org/wiki/Hokum_(film)
- Wikipedia — [Oddity (film)](https://en.wikipedia.org/wiki/Oddity_(film)