55年以上前に設計されたソ連製の輸送機が、ロシアのシャヘドドローンをすでに222機撃墜しています。製造コスト3万〜5万ドルとされるシャヘドに対し、わずか数千ドル規模のコストで迎撃できる可能性があるこのプラットフォームは、高価な防空ミサイルシステムに依存せずに脅威へ対処する手段として注目されています。TechRadarが伝えました。
ウクライナが、製造から55年以上が経過したソ連設計の双発ターボプロップ機「Antonov An-28」を、ロシアのシャヘドドローンを迎撃するための空中プラットフォームとして改造・運用しています。
輸送機からドローンハンターへ——改造の詳細
An-28はもともと、短距離の貨物・旅客輸送を目的に設計された機体で、戦闘用途は想定されていませんでした。しかしその短距離離着陸(STOL)能力が、前線近くの簡易滑走路からの運用を可能にしています。
改造されたAn-28には、以下の装備が搭載されています。
- 6バレル式M134ミニガン:A-10 Thunderbolt IIにも例えられるガトリング系機関銃で、低速飛行するドローンを連続射撃で破壊できます
- 翼下搭載の迎撃ドローン:自律または遠隔操縦でシャヘドに向かって飛行します
- 赤外線カメラ・暗視ゴーグル・VRヘッドセット:主に夜間に飛行するシャヘドを捕捉するための夜間ターゲティングシステムです
この機体を運用するウクライナ人パイロットのTymur Fatkullin氏は、An-28の武装搭載映像をいち早く公開した人物です。クルーは航空管制官の誘導を受けてシャヘドが活動するエリアへ向かい、赤外線カメラと暗視ゴーグルを使って主に夜間飛行するターゲットを捕捉します。Fatkullin氏は、ガトリングガンのみによる射撃でシャヘドドローンを222機撃墜したと報告しています。
「安価な空対空ミサイル」——2種類の迎撃ドローン
ガトリングガンは効果的である一方、1回の射撃で対処できるのは1機のみという制約があります。さらに、ミニガンによる迎撃にはAn-28がターゲットの目視圏内まで接近する必要があります。ロシアのシャヘドは群れをなして飛来することが多いため、ウクライナのクルーは翼下搭載の迎撃ドローンという別のアプローチも採用しました。
これらのドローンは機体から発射され、ターゲットへ向かって自律または遠隔操縦で飛行します。機体から発射することでターゲットに近い位置まで迎撃ドローンを運べるため応答時間が短縮され、高度からの発射により射程と運動エネルギーも増します。また、ロシアの飛行ルートが予測できる場合には上空での待機パトロール体制を組むことも可能です。
搭載される迎撃ドローンは2種類です。
- SkyFall P1-Sun:モジュール式の3Dプリント製機体を採用し、最大280マイル/時(約450km/h)の速度に達するとされています
- Merops AS-3 Surveyor:近接信管による爆発式弾頭を搭載しています
Fatkullin氏はこの迎撃ドローンについて、「安価な空対空ミサイルと呼べるものだ」と述べています。
シャヘド1機最大5万ドルに対し、3,000〜5,000ドルで迎撃できる可能性——コストと今後の課題
この改造機の最大の強みはコスト面にあります。ロシアのシャヘドドローン1機の製造コストは推定3万〜5万ドルとされています。一方、米陸軍の情報によると、Merops AS-3 Surveyorの現在のコストは約1万5,000ドルで、量産体制が整えば3,000〜5,000ドル(米ドル)まで低下する可能性があるとされています。ガトリングガンによる通常弾薬での迎撃は、さらに低コストな手段です。
ただし、TechRadarはリスクについても指摘しています。ロシアが電子戦装備を展開したり、An-28の現行構成では対処できない高速ドローンを投入したりした場合、この旧式ターボプロップ機の有用性は急速に失われる可能性があります。このソリューションの真の試練は、今日の撃墜数ではなく、ロシアがどれほど迅速にこの即興的な解決策に適応するかにかかっている、とTechRadarは伝えています。
Q&A
Q. An-28にVRヘッドセットを搭載する理由は何ですか? シャヘドドローンは主に夜間に飛行します。VRヘッドセットは赤外線カメラや暗視ゴーグルと組み合わせて、夜間ターゲティングを補助するために使用されています。
Q. 迎撃ドローンを地上から発射せず航空機から発射する利点は何ですか? 機体から発射することで、迎撃ドローンをターゲットに近い位置まで運べるため応答時間が短縮されます。また高度からの発射により迎撃ドローンの射程と運動エネルギーが増し、予測されるロシアの飛行ルート上での待機パトロールも可能になります。