Android Authorityの寄稿者Karandeep Singh氏が、SpotifyやApple Musicを試したうえで「欠点を理解しつつもYouTube Musicに戻ってきてしまう」と語った記事を公開しました。投稿に併設された読者投票では、音楽アプリで重視する要素として「楽曲数と発見性」が最多の48%を集めています。レビューの中身を整理します。
投票では「楽曲数と発見性」が最多の48%
記事に併設された読者投票「音楽ストリーミングアプリで何を重視するか」では、42票のうち以下のような分布になっています。
| 重視する要素 | 票の割合 |
|---|---|
| 楽曲数と発見性(Music catalog and discoverability) | 48% |
| 機能とエコシステム(Features and ecosystem) | 29% |
| 音質(Audio quality) | 24% |
| ソーシャル機能(Social features) | 0% |
母数は42票と小規模ですが、Singh氏自身の主張──「機能より楽曲の網羅性が重要」──と読者の関心が重なる結果となっています。ソーシャル機能が0%という点も、音楽アプリにおける優先順位を示唆する数字として注目できます。
YouTube Musicの弱点は寄稿者自身も認めている
Singh氏は、YouTube Musicが完璧なサービスではない点を率直に列挙しています。
- ネイティブのデスクトップアプリが存在しない:Macで作業中にストリーミングするため、Web版を
Flotatoでラップして使う回避策に頼っていると説明されています。ネイティブ手段がないため、楽曲のオフラインダウンロードも事実上できないと指摘されています。 - Spotify Connect相当の機能がない:手元のどの画面からでも別デバイスの再生を操作できるSpotify Connectの利便性は、GoogleがGoogle TV・Homeスピーカー・Google Castなど多くのプラットフォームを保有しているにもかかわらず追いつけていないと評価されています。
- ロスレス音源の予定がない:SpotifyがApple Musicに続いてロスレスを提供している一方、YouTube Musicは現時点でロスレスの計画自体が存在しないと述べられています。
「これらの機能はYouTube Musicに欲しい」と前置きしつつも、Singh氏はそれでも乗り換えない理由を別にあげています。
決め手は「Spotifyから消えた楽曲」と圧倒的なカタログ
Singh氏がSpotifyから離れた直接的なきっかけは、ライセンスの問題でお気に入りの楽曲が周期的にグレーアウトして再生できなくなる事象が頻発したことだとされています。1〜2年ほどSpotifyを専用で使っていた期間に、ライブラリ内の曲が入れ替わるようにして「利用不可」表示になっていったと振り返られています。
YouTube Musicは最もおしゃれな選択肢ではないが、「自分が聴きたい音楽がすべて揃っている、それ以上のものまである」という、最も重要な一点を満たしている
YouTube本体に存在する非公式のジャムセッション、インディーズの掘り出し物、古い音楽動画なども連動して聴ける点が、メインストリームのポップスから地下系の音源まで含めた幅広い発見性につながっているとも述べられています。YouTubeとYouTube Musicの体験を分けたい人向けの設定手段も用意されているため、強制感はないとされています。
見落とされがちなクラウドアップロードとYouTube Premium同梱
機能面で見落とされがちな利点として、Singh氏はクラウドアップロード機能にも触れています。ローカルの音声ファイルをクラウドに保存し、別デバイスからストリーミングできる仕組みです。
加えて、YouTube MusicはYouTube Premiumのサブスクリプションに同梱されているため、結果的にコストパフォーマンスの高い選択肢になっているとも指摘されています。広告回避目的でYouTube Premiumに加入する人にとっては、追加課金なしで利用できる点が見逃せない要素です。
「結局は好みの問題」——両刀使いの提案も
記事の結論は、Android対iPhoneの議論と同じく、優劣ではなく好みの問題に帰着するというものです。マルチプラットフォーム対応やソーシャル性を重視するならSpotify、Appleエコシステムとの統合や友人・家族の利用状況を重視するならApple Music、そして「埋もれた楽曲を発掘する楽しみ」を優先するならYouTube Music、という整理が示されています。
YouTube MusicがYouTube Premiumに同梱されている点を活かして、コミュニティ機能やプラットフォーム網羅性のためにSpotifyにも別途課金する「両刀使い」も選択肢として提示されています。プレイリストをサービス横断で同期できるツールもあるため、二重管理の手間はある程度緩和できると述べられています。
主軸を1本に絞るなら、ネイティブアプリの充実度・機器連携・音質を重視するか、楽曲の網羅性と発見性を重視するかが判断軸になります。読者投票で48%が後者を選んだ結果を踏まえると、YouTube Musicを再評価する余地は意外と大きいかもしれません。
2026年のYouTube Musicは画面刷新とAI機能で機能差を縮小
YouTube Musicは2026年に入り、長年指摘されてきた機能面のキャッチアップを進めています。2026年4月にはAndroidとiOS向けに新しいNow Playing画面の段階展開を開始し、テキストラベルがアイコンに置き換えられ、カバーアートが拡大されました。画面下部の「Lyrics」「Related」は移動され、下部はUp Nextキューに専有されています。
2026年に追加・展開中の主な機能
- AI Playlist:テキストプロンプトからプレイリストを自動生成(Premium向け)
- Taste Match:iOSアプリ向けに追加された好み合致機能
- プレイリストの並び替え:タイトル・アーティスト・アルバムの3軸が選択可能に
- Station(テスト中):アーティスト単位で24時間ライブストリームを流す仕組み
ネイティブのデスクトップアプリやSpotify Connect相当の機能には依然として届いていませんが、発見性の強化とAI生成プレイリストの領域では着実に拡張が進んでいます。
世界の音楽ストリーミング市場シェアで見るYouTube Musicの位置
2026年時点の世界の音楽ストリーミング市場では、Spotifyが圧倒的なシェアを維持しています。
| サービス | 世界シェア | 有料会員数 |
|---|---|---|
| Spotify | 31.7% | 約2億9,000万人 |
| Apple Music | 12.6% | 約1億人 |
| YouTube Music | 9.7% | 約1億2,500万人以上 |
Spotifyは月間アクティブユーザー数が7億5,100万人に達しており、3強の中で規模面では抜きん出た存在です。一方、1ストリームあたりのアーティストへの支払いには差があり、Spotifyが0.003〜0.005ドル、YouTube Musicが0.001〜0.002ドル、Apple Musicが0.007〜0.01ドル、Tidalが0.013〜0.015ドルとされています。YouTube Musicは支払い単価が最も低い水準にある一方、Premium同梱経由の押し上げで、純粋な音楽サービスとしてのApple Musicを契約数で上回る規模にまで到達しています。
Q&A
Q. YouTube MusicはSpotifyやApple Musicと比べて何が弱いのですか? ネイティブのデスクトップアプリがなく、結果としてネイティブ手段でのオフラインダウンロードができない点、Spotify Connectのようなデバイス間操作の仕組みが弱い点、そしてロスレス音源の提供計画が現時点で存在しない点が指摘されています。
Q. それでも著者がYouTube Musicを選ぶ最大の理由は? Spotifyを使っていた時期に、ライセンスの問題でお気に入り曲がグレーアウトして再生不可になる事象が頻発したことが直接のきっかけで、YouTube Musicに乗り換えたところ「聴きたい曲がすべて揃っており、さらにYouTube上のインディーズや古い音源にもアクセスできた」点が決め手だと述べられています。
Q. 価格面でのメリットはありますか? YouTube MusicはYouTube Premiumのサブスクリプションに同梱されているため、広告回避目的でYouTube Premiumに加入していれば追加コストなしで利用できる点が、最もコストパフォーマンスの高い音楽サービスの1つになっていると評価されています。