発売わずか4日前——2026年5月27日のローンチを目前に、『007 First Light』にIO Interactiveが論争のDRM「Denuvo」を追加したと報じられ、Steamでは返金要求が続出しています。「ウィッシュリストから外す」と表明するユーザーも現れ、予約購入後にDRMが追加される慣行への不満が再燃しています。本記事では報じられている事実関係と論点を整理し、購入判断に必要な視点をまとめます。
性能への影響の可能性・SteamOS制限——Denuvoが嫌われる2つの理由
Notebookcheckの報道として、IO Interactiveが2026年5月27日発売予定の『007 First Light』にDenuvo DRMを追加したとTechRadarは伝えています。Steamフォーラムでは多数のユーザーが不満を表明し、返金リクエストの動きが始まっていると報じられています。なおDenuvoの追加自体はIO Interactiveによる対応であり、Notebookcheckはそれを最初に報じた媒体として位置付けられています。
あるユーザーはフォーラムで次のように投稿しています。
「Off the wishlist it comes(ウィッシュリストから外す)。Denuvoは発売初日かそれより早くバイパスされるだろうし、第三者サイトで大幅値引きされるまで待つ。本来なら来週の発売日に飛びつくつもりだった作品なのに」
Denuvoが嫌われる理由は、報道のなかで主に2点に整理されています。
- ① ゲーム性能への影響の可能性: ゲーム体験を損なう可能性があるDRMだとTechRadarは指摘しています(具体的な計測指標についてはTechRadar・Notebookcheckいずれも明言していません)。
- ② SteamOS環境での制限: 特にSteamOSユーザーがProtonのバージョンを切り替える際に制限が生じる点が、報道のなかで具体的に挙げられています。
加えてTechRadarは、Denuvoがkernelレベル(カーネルレベル)のアクセス権を持つ点にも触れ、これがシステム上で事実上最高位の権限である以上、ユーザーのPCに対する長期的影響への懸念があると報じています。なお『007 First Light』固有の性能データが計測された結果ではなく、あくまでDenuvo全般に対する報じられている懸念である点には留意が必要です。
予約後にDRM追加という慣行——率直さを欠く業界姿勢
事前予約を受け付けた後にDenuvoが追加される動きは、近年複数のパブリッシャーで見られる傾向だとされています。TechRadarはこの点について、パブリッシャー側が事前にDRMの追加を明示しない姿勢を「forthcoming(率直)ではない」と表現し、業界全体の慣行に対する懸念を示しています。
海賊版対策としての有効性にも疑問符
Denuvoは海賊版対策として導入されることが多く、過去数年にわたり一定の効果を上げてきたとされています。しかしTechRadarは、その有効性が以前ほどではなくなっていると報じています。
具体的には、「Hypervisor crack」と呼ばれる手法を通じて多くのゲームの非正規版が出回っており、公式発売前にプレイ可能なビルドが流出するケースも増えていると指摘されています。つまり、ユーザー側に制限を課す一方で、本来の目的である海賊版抑制の効果が薄れているという構図です。
TechRadarは関連報道として、『Resident Evil Requiem』の非正規版が公式版より高性能というわけではないものの、DRMに起因する問題は依然として存在すると伝えており、Denuvoをめぐる議論は『007 First Light』に限った話ではないと報じています。
発売直前の撤回は期待薄——購入を検討するなら確認すべき視点
TechRadarは、消費者にとってDenuvoはメリットよりデメリットの方が大きいとの見方を示したうえで、『007 First Light』からの撤回が現時点で実現する可能性は低い(unlikely)と分析しています。発売まで残された期間が短いことに加え、IO Interactive側からの公式な対応に関する情報は現時点では明らかにされていません。
購入を検討しているユーザーにとっては、以下の選択肢が現実的と考えられます。
- 発売後のレビュー・ベンチマークでDenuvoの性能影響を確認してから判断する
- SteamOS/Steam Deck環境で遊ぶ場合は、Protonバージョン切替の制限に関する報告を待つ
- 既に予約済みでDRM追加に納得できない場合は、Steamの返金ポリシーの範囲内で対応を検討する
Q&A
Q. Nintendo Switch 2版はどうなりますか? TechRadarの関連報道によると、Nintendo Switch 2版は「later this summer(今夏後半)」へ延期されたと伝えられています。Denuvo追加の影響範囲がコンソール版にも及ぶかどうかは、現時点では明らかにされていません。
Q. 他のIO Interactive作品でも同様の対応が起きる可能性はありますか? 公開情報の範囲では、今回の対応が他タイトルへ波及するかは明らかにされていません。ただしTechRadarは、予約受付後にDenuvoを追加する動きが業界全体で見られる傾向だと報じており、IO Interactive以外のパブリッシャー作品でも同様の事態が起きる可能性は否定できない状況です。
Q. Hypervisor crackとは何ですか? TechRadarは、Denuvoを回避する手法のひとつとして「Hypervisor crack」に言及しており、これによって多くのゲームの非正規版が出回り、公式発売前にプレイ可能なビルドが流出するケースが増えていると報じています。技術的詳細は公表されていません。