FHD 1000Hz・0.8ms GtG、そしてOLEDの0.03ms GtG——Computex 2026で中国HKC傘下のAntGamerが披露したスペックは、これまでのゲーミングモニターの常識を一段押し上げる数字が並びました。フラッグシップは同社にとって初となるFHD 1000Hz対応の「ANT25ASF」で、姉妹ブランドKOORUIからもRGB Mini LEDや量子ドット、OLEDの新モデルが登場しています。
リフレッシュレート1000Hzは、240Hz・360Hz級でも残る微細な残像感をさらに削るレンジで、競技FPSプレイヤーが体感できる滑らかさの上限を押し上げる水準です。Wccftechが報じた内容をもとに、各機種のスペックを整理します。
フラッグシップ「ANT25ASF」——FHD 1000Hz・0.8ms GtGのFAST TNパネル
AntGamerの目玉は、同社初のFHD 1000Hzモニター「ANT25ASF」です。数か月前に発表されていたモデルで、製品化を進めている間に他社からも1000Hz FHDモデルが相次いで発表されていましたが、ようやく市場投入となります。
主なスペックは以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| パネル | 24.1インチ FAST TN |
| 解像度 / リフレッシュレート | FHD / ネイティブ最大1000Hz |
| 応答速度 | 0.8ms GtG |
| 接続端子 | HDMI 2.1、DP 2.1 |
| HDR認証 | DisplayHDR 400 |
HDMI 2.1とDP 2.1により、FHD@1000Hzを非圧縮で出力できる点が競技用途を意識した設計です。0.8ms GtGの応答速度と組み合わさることで、フレーム遷移の残像をほぼ知覚できないレベルに近づける構成と言えます。
RGB Mini LED「HKC 27U165D」——4K/165Hz、DisplayHDR 1000対応
HKCブランドの「HKC 27U165D」は、同社が「初のRGB Mini LEDモニター」とうたうモデルです。ただしWccftechによれば、Hisenseが先に同種モデルを投入しているため厳密には初ではなく、初期勢のひとつにあたります。
- 解像度: 4K
- リフレッシュレート: 165Hz
- 応答速度: 1ms GtG
- 色域: sRGB 100%、DCI-P3 99.9%、Adobe RGB 99.9%、BT.2020 95%
- HDR認証: VESA DisplayHDR 1000
DCI-P3 99.9%・Adobe RGB 99.9%という高い色域カバー率は、ゲーミング用途に加えて写真・動画編集などのクリエイティブ用途も十分こなせる水準です。
量子ドット搭載Mini LED「KOORUI S2471LM」——UHD@160Hz / FHD@320Hzのデュアルモード
もう一つのMini LEDモデル「KOORUI S2471LM」は量子ドット層を搭載し、輝度と画質の向上を図ったモデルです。UHD@160HzとFHD@320Hzのデュアルモード構成で、解像度を取るかフレームレートを取るかをタイトルに応じて切り替えられます。応答速度は1ms GtG、色域や接続性もHKC 27U165Dと同等水準とされています。
KOORUI製OLED 2機種——0.03ms GtG・1.5M:1コントラスト
KOORUIからは27インチと32インチのOLEDモニター2機種が登場しました。両モデルとも最大240Hzのリフレッシュレートに対応します。
- KOORUI S2722XO: 27インチ / 2K
- KOORUI S3241XO: 32インチ / 4K
両モデルとも、コントラスト比1,500,000:1、真の10bitカラー、広色域、そして0.03ms GtGという極めて高速な応答速度を備えます。0.03ms GtGは液晶系パネルでは到達が難しい領域で、動きの速いシーンでも残像をほとんど感じさせない仕上がりが期待できます。
どれを選ぶべきか——用途別の早見表
価格・発売時期は現時点では明らかにされていません。今回のラインナップを用途別に当てはめると、おおむね以下のような整理になります。
- 競技FPSで残像と入力遅延を極限まで削りたい → ANT25ASF(FHD 1000Hz / 0.8ms GtG)
- 4Kの高画質とHDR表現を両立したい / クリエイティブ兼用 → HKC 27U165D(4K 165Hz / DisplayHDR 1000)
- 解像度とフレームレートを切り替えて使いたい → KOORUI S2471LM(UHD@160Hz / FHD@320Hz)
- 動きの滑らかさとコントラストを最優先したい → KOORUI S2722XO / S3241XO(OLED 240Hz / 0.03ms GtG)
リフレッシュレート・解像度・応答速度のどれを最優先するかを先に決めてから比較するのが、後悔の少ない選び方になりそうです。
発売スケジュールと競合の動向——LG「UltraGear 25G590B」との競争
ANT25ASFの市場投入時期は、TFTCentralによれば中国でQ3 2026、グローバル展開はおおむねQ1 2027頃と見込まれています。米国向け価格は現時点でTBCのままです。
一方、競合のLGは2026年5月19日に「UltraGear 25G590B」を発表しました。24.5インチでネイティブ1000Hz FHDを謳い、Tom's Hardwareによれば2026年下半期に一部市場から順次投入される予定です。
1000Hz FHD競争の主要プレイヤー
| 製品 | サイズ | 投入時期 |
|---|---|---|
| AntGamer ANT25ASF | 24.1インチ | 中国Q3 2026 / グローバルQ1 2027 |
| LG UltraGear 25G590B | 24.5インチ | 2026年下半期 |
AntGamerのラインナップにはこのほか、24.1インチFast TN・FHDでネイティブ750HzのANT257PFも含まれます。同モデルはすでに中国で販売されており、米国ではQ4 2026に投入される予定です。1000Hz級のフラッグシップが上市されるまでの「中間解」として、750Hz帯の選択肢が先行して整いつつあります。
パネル業界の地殻変動——Samsung DisplayとTandem WOLEDの最新動向
OLED側でも大きな動きがあります。Samsung Displayは31.5インチで4K・ネイティブ360Hzを実現したQD-OLEDパネルを開発し、Computex 2026で初公開しました。
デュアルモードによりFHD解像度では最大680Hzまで対応し、DisplayHDR True Black 600認証を取得しています。(Samsung Display公式発表より)
量産は2026年下半期に開始予定で、すでに10社のディスプレイメーカーと供給交渉が進行中と報じられています。4Kと高リフレッシュレートを両立できるパネルが供給段階に入ることで、来年以降のハイエンドOLEDモニター市場は一段と競争が激化しそうです。
- パネルサイズ: 31.5インチ
- ネイティブ: 4K 360Hz / デュアルモード: FHD 680Hz
- HDR認証: DisplayHDR True Black 600
AntGamer陣営でも、同じCOMPUTEX 2026で26.5インチWQHDのTandem WOLED機「ANT275ZQE」が披露され、第4世代Tandem WOLEDによりネイティブ540Hz、デュアルモード時には720pで720Hzに到達するとされています。OLEDの高速化競争は、もはや240Hz帯では止まらない局面に入っています。
Q&A
Q. ANT25ASFは「世界初」の1000Hzモニターですか? Wccftechによれば、ANT25ASFは「AntGamerにとっての初」の1000Hz FHDモニターであり、発売前に他社からも1000Hz FHDモデルが発表されていたとされています。
Q. FHDで1000Hzに意味はあるのですか? ANT25ASFは24.1インチFAST TN・0.8ms GtG・HDMI 2.1 / DP 2.1という構成で、FHD@1000Hzを非圧縮で出力できる設計とされています。高フレームレートを安定して描画しやすいFHD解像度と組み合わせることで、競技FPSなどフレーム遷移の速さが直接プレイ精度に効くジャンルでの活用が想定されます。
Q. 日本での価格や発売時期はわかっていますか? 現時点では明らかにされていません。Computex 2026での発表段階の情報となります。