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17歳でA24監督に抜擢——YouTube発「Backrooms」が示す映画の新しい登竜門

GadgetDrop 編集部8
17歳でA24監督に抜擢——YouTube発「Backrooms」が示す映画の新しい登竜門

17歳でA24長編監督に抜擢、原作ショートは8,000万弱の再生——YouTube発のホラー「Backrooms」が、A24配給の長編映画として劇場公開されました。監督は2022年に最初のショートで一躍話題となったKane Parsons氏。Adobe After EffectsとBlenderを独学した世代がスクリーンを獲る瞬間を、4K映画として体験できる作品です。Engadgetのレビュアー Devindra Hardawar 氏は、本作を「ハリウッドの登竜門がネットに移った瞬間」を象徴する一作と位置づけています。

17歳でA24に抜擢されたKane Parsons監督

「Backrooms」の制作背景は、映画そのものと同じくらい異色です。Kane Parsons氏は10代の頃に Adobe After Effects と Blender を独学で習得し、オンラインショート作品で経験を積んできました。最初の Backrooms ショートは、現在までに8,000万弱の再生数に達しているとされています。

その実績を受けて、17歳の時に A24 から長編版の監督を打診されました。Engadgetは、記事執筆時点でも Parsons 氏は飲酒可能な年齢にも達していないと紹介しており、その若さでの登用は極めて異例です。Hardawar 氏は「監督の若さに不釣り合いなほど、緊張感と恐怖の演出が巧みに作られている」と評価しています。

4chan発の都市伝説が4K映画になるまで

「Backrooms」は単なるYouTuberの実績披露ではなく、画像掲示板4chanで生まれたクリーピーパスタ(ネット発の怪談)を原作にしている点が特徴です。Engadgetは、最近ゲーム原作の映画化として公開された「Exit 8」と同様に、4chan発のコンセプトが映画スクリーンに進出した事例だと位置づけています。

部屋そのものが不気味であるという発想自体は、Bram Stoker の原作小説『Dracula』や『The Shining』にもみられるテーマです。一方で、オンラインコミュニティが広めた「リミナル・スペース」——一見普通の空間に漂う非現実感——という概念は、蛍光灯に照らされた巨大なオフィスや空き店舗だらけのモールといった、過去の時代のイコノグラフィに静かな恐怖を見出した点で新しい潮流を生みました。

劇中では Parsons 氏のYouTubeショートを思わせる、VHS風のノスタルジックな映像も部分的に取り入れられています。長編化により予算とスケールを得たことで、Blender のレンダリングだけではなく、生身の俳優が空間を探索する4K映像も実現しました。Hardawar 氏は「『Blair Witch』を思わせるアナログ的な質感が薄れたのは惜しい」と指摘しつつ、シャープな4Kでも十分に観客を怖がらせていると評しています。

インターネットが新しい「映画監督の登竜門」になる

Engadgetが本作で強調しているのは、「ハリウッドの未来はインターネットから来る才能にある」という見立てです。今回の「Backrooms」のほかにも、最近の話題作として以下の作品が挙げられています。

  • ホラースリラー「Obsession」
  • YouTuber Markiplier が自主リリースした「Iron Lung」
  • Philippou 兄弟による作品(Engadget記事では「Let Me In」「Bring Her Back」として紹介)

新しい監督が安価に撮影できる媒体から登場するのは、ハリウッドの歴史的なパターンでもあります。1940〜50年代のライブテレビ時代には、Sidney Lumet、Arthur Penn、John Frankenheimer らがそこから台頭しました。Steven Spielberg も「Night Gallery」「Columbo」のエピソードや、24歳で監督したテレビ映画「Duel」でキャリアを開始しています。1970〜80年代になると、Ridley Scott や David Fincher のようにCM・ミュージックビデオ出身の監督が増えました。インターネットは、その流れに続く「次の証明の場」だと位置づけられています。

Chiwetel Ejiofor 主演でも"キャラ描写は物足りない"——強み弱みを表で整理

「Backrooms」のストーリーは、離婚を経験した家具店オーナー(Chiwetel Ejiofor 氏)が、自分のビルの地下で「Backrooms」への入口を発見するところから始まります。建築家としての経歴を活かして空間をマッピングしようとする主人公に、行方不明となった患者を探す彼のセラピスト(Renate Reinsve 氏)が加わり、自身の喪失感とも向き合う構成です。共同脚本は Will Soodik 氏が務めています。

Hardawar 氏の評価は強みと弱みに明確に分かれています。

観点レビュアーの評価
トーン・恐怖演出若い監督とは思えないほど巧み
映像4Kでも怖さを引き出すことに成功
キャラクター描写「トラウマのスケッチ」にとどまり、発展の余地あり
Backrooms の正体あえて説明しない判断を「賢明だ」と支持

映画は Backrooms の正体を説明しようとせず、現実が崩れていく感覚を観客の想像力に委ねている点が支持されています。Hardawar 氏は超満員のティーンエイジャーたちと観たことに触れ、影の中で何かが動くたびに観客が一斉に悲鳴を上げる体験こそが本作のベストな鑑賞方法だと記しています。

ネット怪談に親しんできた読者にこそ刺さる作品

クリーピーパスタやリミナル・スペースという「ネット発の恐怖文化」に親しんでいる読者にとって、本作は劇場で大人数と体験する価値が大きい一本です。一方でキャラクター描写には改善の余地が指摘されているため、ストーリーの深みを期待しすぎず、雰囲気と空間の不気味さを楽しむ姿勢で臨むのが妥当でしょう。Hardawar 氏は今後、スマートフォンだけで撮影・編集する短尺動画クリエイターからも長編監督が出てくる時代がやってくる可能性があるとし、映画の生き残りという観点からもこの流れを歓迎すると述べています。

A24史上最大級のオープニング——1,000万ドル予算が記録更新へ

「Backrooms」は2026年5月7日にロサンゼルスのAero Theatreでプレミア上映され、5月29日に北米で劇場公開されました。製作費はわずか1,000万ドル規模にとどまる一方、木曜のプレビュー上映だけで1,040万ドルを集めています。

指標数値
製作費約1,000万ドル
プレビュー興収1,040万ドル
オープニング週末予測7,600万〜7,900万ドル
従来のA24最高記録「Civil War」2,550万ドル

DeadlineやVarietyの試算によれば、オープニング予測はA24が過去に達成した最大のワイド公開——「Civil War」の2,550万ドル——を3倍以上塗り替える水準です。本作はA24とChernin Entertainmentが共同出資で製作しており、低予算ホラーが大規模ヒットへと跳ね上がる近年の潮流を象徴する案件となっています。

評論家89%スコアと、Parsons監督が描くシリーズ拡張構想

Rotten Tomatoesの批評家スコアは160レビューで89%、平均評価は7.6/10、Metacriticでも76を獲得しています。Tomatometerに掲載された批評家コンセンサスは、Parsons監督の演出を次のように評しています。

「Kane Parsons監督による驚くほど確信に満ちた長編デビュー作で、Backroomsは長年インターネットを取り憑いてきたリミナル・スペースを、魅惑的かつ恐怖に満ちたホラー映画へと昇華させている」

Parsons監督はVarietyの取材で、Backrooms宇宙を複数作品にまたがって拡張する構想を明言しました。続編は従来型のスタジオ製作モデルに縛られず、小規模なオンライン公開や実験的なチャプターを含む形で展開する可能性にも言及されており、ホラーの枠を越えて別ジャンルへ派生させる余地まで視野に入れているとされます。

Q&A

Q. Kane Parsons監督は何歳でA24と契約したのですか? 17歳の時点で、A24から長編版「Backrooms」の監督を打診されたとEngadgetは報じています。記事執筆時点でも飲酒可能な年齢には達していないと紹介されており、極めて異例の若さでの登用です。

Q. 「Backrooms」のYouTubeショートはどれくらい再生されたのですか? 最初の Backrooms ショートは、現在までに8,000万弱の再生数に達しているとされています。この実績がA24による長編化の起点となりました。

Q. なぜ4chan発のネット怪談が長編映画になり得たのでしょうか? Engadgetは、安価に撮影できる媒体から新しい監督が登場するのはハリウッドの歴史的パターンであり、インターネットが次の「証明の場」になっていると分析しています。Parsons 氏自身が原作ショートを自作してオンラインで評価を獲得した実績があったからこそ、A24による長編登用と映画化が現実のものとなりました。

Q. リミナル・スペースとは何ですか? オンラインコミュニティで広まった概念で、一見普通の空間に漂う非現実感を指します。蛍光灯に照らされた巨大なオフィスビルや、空き店舗だらけのモールといった「過去の時代のイコノグラフィ」に、静かな恐怖を見出す感覚が特徴的です。

出典

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GadgetDrop 編集部

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