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Flipper Zero開発元が「Flipper One」構想公開か——5G・衛星対応のLinuxサイバーデッキ、RK3576と8GB RAM搭載と報じられる

GadgetDrop 編集部9
Flipper Zero開発元が「Flipper One」構想公開か——5G・衛星対応のLinuxサイバーデッキ、RK3576と8GB RAM搭載と報じられる

ペンテスト界で名を馳せたあのFlipper Zeroの開発元が、ついに本格的なLinuxマシンへ踏み込みます。Android Authorityは2026年5月22日、Flipperが新たな完全Linuxコンピュータ「Flipper One」の構想を公開したと報じました。Rockchip RK3576を中心にRaspberry Pi RP2350を組み合わせたデュアルチップ構成で、5G・Wi-Fi・NTN衛星通信などIPベースのネットワークに広く対応する計画と伝えられています。つまりユーザーは、これまでのFlipper Zeroでは扱えなかった本格的なIPネットワークやポータブルLinux環境を、1台の手元デバイスで触れるようになる可能性があります。

RK3576+RP2350・8GB RAMで“ポータブルLinux”を狙う

Android Authorityによると、FlipperはFlipper OneについてFlipper Zeroの後継機ではないと位置づけていると報じられています。Flipper Zeroが赤外線・NFC・RFIDなど短距離通信を中心にアクセスのエミュレーションを担っていたのに対し、Flipper Oneは設計思想自体が異なります。狙うのはIPベースの任意のネットワークへの接続で、5G・Wi-Fi・Ethernetに加え、NTN(Non-Terrestrial Network)による衛星通信までを視野に入れたサイバーデッキ的な位置づけとされています。

加えてOSはオープンソースのLinuxベースで、一般的なコンピュータと同等の汎用性を持たせる計画と報じられています。Flipper Zeroの“尖った悪戯デバイス”的な立ち位置から、より本格的なポータブルLinuxマシンへと役割を広げる構想です。つまりユーザーから見れば、Flipper Zeroの周辺機器的な扱いから、汎用Linux PCに近い使い勝手へと舞台が広がるイメージになります。

ハードウェアはデュアルチップ構成

Flipper Oneは1つのSoCに集約するのではなく、コプロセッサ方式の2チップ構成を採用するとされています。報じられているスペックは以下の通りです。

区分チップ / 仕様
メインSoCRockchip RK3576(8コアCPU、Mali-G52 GPU、オンデバイスで小規模AIモデルを動かせるNPU)
メモリ8GB RAM
マイクロコントローラRaspberry Pi RP2350(デュアルコア)
MCU用フラッシュ16MB

Android Authorityによると、RP2350側はディスプレイ・ボタン・タッチパッド・LED・電源サブシステムの制御を担い、Flipperは単独でデバイスを動作させられるだけの処理性能があるとしていると伝えられています。NPUが扱えるのは小規模AIモデルとされており、いわゆる大型LLMをそのまま動かす用途ではない点には注意が必要です。つまり手元でちょっとした推論やセンサ処理を回すには十分ですが、ChatGPTクラスのモデルを動かすデバイスではないと読み解けます。

mainlineカーネル対応を掲げる「最も開かれたARMコンピュータ」

ソフトウェア面でFlipperは、Flipper Oneを世界で最もオープンかつ最も丁寧にドキュメント化されたARMコンピュータと位置づけているとされます。ベンダー固有のパッチやバイナリを必要とせず、フルのmainlineカーネルに対応する構想で、新しいLinuxカーネルがそのまま適用できる設計を目指していると報じられています。

ただし同社自身も「少なくとも理論上は」と但し書きを置いており、実装には相応の難しさがあると認めていると伝えられています。そのため開発者の協力を呼びかけており、ソフト・ハード・デザインなどを横断的に扱う「Developer Portal」を立ち上げ、デバイスに関するWiki的な拠点として整備していくとしています。つまりユーザー側から見れば、汎用Linux PCに近い柔軟性をARM機で得られる一方、初期はコミュニティの貢献量に体験が左右される段階になりそうです。

モジュラー拡張と「Zero似のフォルム」

ハードウェア拡張では標準のGPIOコネクタを介したモジュラーアタッチメントの利用を推奨し、3Dモデルも公開する計画とされています。これによりユーザーが自分の用途に合わせて筐体や周辺パーツをカスタマイズできる、いわば「ハッカー向けのLEGOセット」のような立て付けが想定されています。

デザインは「形状だけはFlipper Zeroと同じ」とされる一方で、実物はZeroよりかなり大きく重くなると報じられています。あくまで構想段階の説明であり、最終製品の外観・サイズは変動する可能性があります。つまり“ポケットに入るFlipper Zero”の感覚をそのまま期待するのは難しいと読み取れます。

製品未完成のまま公表、狙いは“開発資金集め”との見方

価格や発売時期について、Flipperからは現時点でコメントが出ていないと報じられています。製品自体がまだ完成していないことが理由とされています。今回の公表は、オープンなDebianベースOSを備えたデバイスを実現するため、開発資金を集める狙いがあるとの見方もあると伝えられています。

リーク情報やダミー機を踏まえた解析記事ではなく、メーカー自身による構想公開という性格上、確定情報は限定的と読めます。スペックや方針は今後の開発過程で更新される可能性があり、現時点では「Flipper Zeroの世界観を、汎用Linuxマシンとしてスケールアップさせる構想が明らかになった」という段階で受け止めるのが妥当でしょう。次に注目すべきは、Developer Portalの動向と、価格・発売時期に関する続報の有無です。

ネットワークと映像出力——“ポケットに入るLinux PC”の入出力詳細

Flipper Oneは通信と拡張の幅で本格的なミニPCに迫る入出力を備えています。ネットワーク側は2基のGigabit Ethernet、MediaTek MT7921AUNを採用しmonitor modeとパケットインジェクションに対応するWi-Fi 6E、USB-C経由で5GbpsのUSB Ethernet、Nano SIMとeSIMに両対応するM.2セルラーモデムスロットが並びます。映像面はHDMI 2.1で4K/120Hz出力とCECに対応し、USB-C DisplayPort 1.4 Alt Modeで充電と周辺機器接続を1本のケーブルにまとめられます。

  • 高速バス: PCIe・USB 3.0・SATA・M.2に対応
  • 想定アドオン: SDRラジオ・SSD・セルラーモデムなど高速モジュール
  • M.2スロット: Key-Bで2242・3042・3052の各サイズに対応
  • 想定用途: ルーター・VPNゲートウェイ・パケットアナライザ・モバイルLinuxワークステーション

NFC・RFID・Sub-GHz・赤外線などFlipper Zeroが持っていた無線は搭載されず、必要な機能はモジュラー拡張で補う設計に置き換えられています。

Collabora提携と「Flipper OS」——ソフトウェア面の現在地

ソフトウェア戦略の核はCollaboraとの提携で、Rockchip RK3576のmainlineカーネル対応をupstreamで進め、kernel.orgのカーネルを直接ブートできる状態を目標としています。現時点でmainlineは主要機能の大半で動作する一方、電源管理、USB DP Alt-mode、NPU、ビデオアクセラレーション、DDRトレーナーblobが未解決の課題として残っています。

Flipper OSとFlipCTL、NPU活用の構想

OS層はDebianベースで、用途別環境のスナップショットをSDカード差し替えなしに切り替えられるプロファイル機構が示されています。小型LCD向けにはnmap・ping・tracerouteをDパッドで操作できるメニューフレームワーク「FlipCTL」が用意され、内蔵NPUによるオフラインLLMアシスタントで設定生成や操作補助を行う構想も挙がっています。開発者ポータルはHardware、Mechanics、Linux、UI、Firmware、Documentation、Testingの6サブプロジェクトで貢献を募集しています。

Q&A

Q. Flipper Zeroユーザーは買い替えるべきですか? Android Authorityの報道では、Flipper OneはFlipper Zeroの後継機ではないと位置づけられています。短距離通信中心のFlipper Zeroと、IPネットワーク・Linux汎用機を目指すFlipper Oneは役割が異なるため、買い替えというより役割の異なるデバイスとして捉えるのが妥当と読めます。

Q. どのようなチップを搭載していますか? メインSoCにRockchip RK3576(8コアCPU、Mali-G52 GPU、小規模AIモデル向けNPU)と8GB RAM、サブにRaspberry Pi RP2350デュアルコアマイコン(16MBフラッシュ)を組み合わせるデュアルチップ構成と報じられています。RP2350側は単独でデバイスを動かせる程度の処理性能があるとされています。

Q. ペンテスト以外にも使えますか? Linuxベースの汎用ARMコンピュータとして設計される構想であり、5G・Wi-Fi・NTN衛星通信などにも対応する計画とされていることから、ポータブルLinux機としての利用も視野に入ると読み解けます。具体的なユースケースの詳細は、公開された範囲では限定的です。

Q. 発売時期や価格、日本での技適対応はわかっていますか? 現時点では発売時期・価格ともに公表されていないとされています。日本での技適対応については、公開された情報の範囲では言及されていません。Flipperは製品がまだ完成していないとしており、今回の公表自体が開発資金を集める目的を兼ねていると伝えられています。

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GadgetDrop 編集部

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