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Google検索のAI Overviewsが「disregard」で誤作動——単語の定義をプロンプト指示と誤解する不具合

GadgetDrop 編集部7
Google検索のAI Overviewsが「disregard」で誤作動——単語の定義をプロンプト指示と誤解する不具合

Google検索で「disregard」と入力すると、辞書定義の代わりに「Understood! I'll ignore the previous prompt and start fresh.(承知しました。直前のプロンプトを無視して最初からやり直します)」という応答が返ってくる——AI Overviewsで報告されている不具合の中身です。Android Authorityが2026年5月22日に報じたところによれば、計6つの英単語がチャットボットへの指示として誤読されており、Googleも同日「認識して修正に取り組んでいる」と回答しています。

生成AIをユーザー入力の最前線に置く検索体験ならではの構造的な弱点が露出した格好で、業務で生成AI検索を活用する読者にとっては「自分が打ち込んだ言葉がプロンプトとして解釈され得る」リスクを実感させる事例と言えます。

「disregard」と検索すると定義ではなく謝罪が返る

Google検索には以前から、単語を入力すると検索結果の最上部に辞書定義のボックスを表示する機能が組み込まれており、現在はAI Overviewsがその役割を引き継いでいます。ところが現時点では、特定の単語に対してこの仕組みが正常に機能していません。

Xユーザーの@ariadotwav氏が指摘した事例では、「disregard」(無視する)と検索したところ、AI Overviewsは定義を返す代わりに次のように応答したとされています。

Understood! I'll ignore the previous prompt and start fresh. (承知しました。直前のプロンプトを無視して最初からやり直します)

ユーザーが単語の意味を調べているのか、それともチャットボットに対して指示を出しているのか——AI Overviewsはその区別がついていない状態です。

https://x.com/ariadotwav/status/x.com

影響するのは「disregard」だけではない

Android Authorityによる検証では、誤作動を起こす単語は「disregard」だけにとどまりません。同記事では以下の単語でも同様の現象が確認されたと報告されています。

  • remember(覚えておく)
  • start(始める)
  • finished(終わった)
  • ignore(無視する)
  • forget(忘れる)

いずれも、AIアシスタントへの命令文として日常的に使われやすい単語です。検索クエリに「definition(定義)」という語を併記しても改善しなかったと同記事は伝えており、AI Overviews側がクエリの意図を判定する段階でつまずいている可能性が指摘されています。

誤作動はあくまで一部の単語に限定されており、それ以外のほとんどの単語については従来通り定義が表示されると説明されています。

Googleも「動作関連クエリ」の誤読を認識——修正時期は未定

Android Authorityの問い合わせに対し、Googleの広報担当者は次のように回答したと報じられています。

We're aware that AI Overviews are misinterpreting some action-related queries, and we're working on a fix, which will roll out soon. (AI Overviewsが一部の動作関連クエリを誤って解釈していることは認識しており、近く展開予定の修正に取り組んでいます)

「action-related queries(動作に関するクエリ)」という表現からは、Google側も「命令動詞として読まれやすい単語」が引き金になっていると把握している様子がうかがえます。一方で、修正の具体的なロールアウト時期や、検索全体のクエリ解釈ロジックに踏み込む変更になるのかは現時点で明らかにされていません。

英単語の意味を素早く確認したい場面では、AI Overviewsの応答を鵜呑みにせず、検索結果ページの他のソースや専用の辞書サービスを併用するのが当面の妥当な判断と言えそうです。修正の展開状況については続報を待ちましょう。

検索AIに迫るプロンプトインジェクションという構造的弱点

今回の不具合は悪意ある攻撃ではなく単語解釈の混乱ですが、背景として浮上しているのが「プロンプトインジェクション」です。間接プロンプトインジェクションは、AIシステムが処理する外部データに悪意ある指示を埋め込む手法とされ、WorkspaceのGeminiなどが対象になり得ると報告されています。

  • Googleの調査では、悪意あるプロンプトインジェクションの試みが2025年11月から2026年2月にかけて32%増加しています
  • OWASPは2026年、プロンプトインジェクションを「LLM01」としてAIセキュリティの最重要リスクに位置付けています
  • 英NCSCは2025年12月、この問題はLLMが言語を解釈する仕組みに起因するため「完全には解決されない問題」と警告しています

検索バーに打ち込んだ単語が「命令」として誤読される今回の事象は、悪意の有無を問わずユーザー入力がそのままモデルへの指示として作用し得るという、構造的課題の延長線上にあります。業務でAI検索を活用する読者にとっては、攻撃事例だけでなく日常的な検索クエリ自体が脆弱性のトリガーになり得る点を踏まえた利用設計が求められています。

ハルシネーションは依然として残る——主要モデルの改善幅

定義表示の誤作動とは別軸ですが、生成AIが「もっともらしい誤答」を返すハルシネーションそのものも依然として課題です。2026年に入ってもAIチャットボットの応答には誤回答が残存しており、確信を持って誤情報を提示する傾向が報告されています。

モデルハルシネーション率
Gemini 3.1 Pro Preview(2026年2月)50%
Gemini 3 Pro(前世代)88%

Gemini 3.1 Pro Previewでは、前世代のGemini 3 Proで88%だったハルシネーション率が50%まで低下しており、世代間で大幅な改善が確認されています。一方でユーザー側の体感は依然厳しく、300万件規模のモバイルアプリレビューを対象とした研究では、ユーザーからの苦情のうち約1.75%がハルシネーション関連のエラーに分類されたと報告されています。モデル単体の精度指標が改善しても、利用現場ではなお無視できない比率で誤回答に起因する不満が観測されており、検索結果や回答をそのまま受け取らず別ソースで裏取りする姿勢が当面は欠かせない状況となっています。

Q&A

Q. どんな単語で不具合が起きていますか? Android Authorityが報告したのは「disregard」「ignore」「remember」「start」「finished」「forget」の6語です。いずれもチャットボットへの指示として読み取りやすい英単語に集中しています。

Q. すべてのユーザーで再現しますか? 誤作動は上記6語など一部の単語に限定して発生しており、それ以外の多くの単語ではAI Overviewsは従来通り定義を表示すると説明されています。同じ単語を検索すれば、ユーザーの環境を問わず同様の応答が観測される可能性が高い性質の不具合です。

Q. いつ修正されますか? Googleは「近く展開する修正に取り組んでいる」と回答していますが、具体的な提供時期は公表されていません。

出典

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