$200(約3万1千円)のGoogle AI Ultraで、全世界の加入者がStreet View連携のAI世界生成を試せる——Googleが実験的モデル「Project Genie」を更新し、複数の注目要素を一気に押し出してきました。ただし日本のユーザーにとって最大のポイントは、Street Viewの起点として選べる場所が米国内に限られること。見慣れた渋谷や京都を石器時代風に作り変える、といった使い方は現時点ではできません。
$200のAI Ultraで何ができる?——Street View連携の中身
Project Genieは、ユーザーのプロンプトからインタラクティブな仮想世界を生成できるGoogleの実験的AIモデルとされています。今回のアップデートでは、Project Genie内の「Mapsピン」をタップすることで、米国内の任意の場所を生成の出発点に指定できるようになったと報じられています。
操作の流れは次の通りです。
- Mapsピンから米国の場所を選ぶ
- 任意で世界観のスタイルを選択する(例として「Desert Sands」「Stone Age」が挙げられています)
- 探索するキャラクターの設定を記述する
これらの情報を元に、Project GenieはStreet Viewの実画像を起点とした想像上の世界を生成します。馴染みのある街並みを砂漠化したり、石器時代風に作り変えたりといった「現実をベースにした再構築」が、Webブラウザ上で完結する点が特徴とされています。
「日本の地点は対象外」——日本ユーザーが知るべき制約
Street View画像が利用できるのは現時点では米国内の場所に限られます。将来的な対応範囲の拡大については、具体的な国・時期は公表されていません。日本国内の地点を起点に世界を作り変える、という体感は今回のアップデートでは得られない点に注意が必要です。
今回のStreet View連携は、Project Genieが「インタラクティブな仮想世界の生成」という方向性を、現実の地点画像を素材として取り込む方向に広げた更新と位置付けられます。合成された3Dワールドだけでなく、Street Viewが捉えた実在の街並みを起点にできる点が、これまでの世界生成系AIとの差別化要素として強調されているかたちです。
全世界展開は「$200のAI Ultra」加入者が条件
Googleはこのアップデートに合わせて、Project Genie自体の提供範囲も拡大します。Street View機能を含むProject Genieは、$200のGoogle AI Ultraプランの加入者を対象に、米国外を含む全世界へ提供を拡大するとされています。
Project Genieは依然としてGoogle Labs内の実験的な研究プロトタイプという位置付けで、Googleはディテールの精度を高めるための改良を続けていると述べています。最新のAI機能をいち早く触りたい読者にとっては、AI Ultraプランの価値を判断する材料になり得る一方、$200(約3万1千円)という料金帯は決して低くなく、現時点では「実験段階の機能に対する3万円規模の投資をどう見るか」が試される更新だと言えます。
Street View連携が照らす本命用途——ロボティクスと自動運転シミュレーション
Project GenieのStreet View対応は単なる街並みの作り変えにとどまらず、ロボティクスや自動運転の訓練基盤としての側面が強調されています。Genie 3はすでにWaymoの自動運転シミュレーターに活用され、竜巻や象との遭遇といった稀少事象の訓練を支援していると報じられています。さらにロンドンに配備されるロボットが、稀な晴天時の光の反射にあらかじめ備える、といった用途も想定されています。
残された技術的課題
ただし完成度はまだ実験段階にあります。Genie 3は720p解像度で20〜24fpsで動作し、環境は数分間にわたり一貫性を保ち、過去1分程度の変化を記憶できるとされています。一方で物理法則を完全には理解しておらず、サボテンを走り抜けてしまうといった誤りが残っているとも報じられています。
$200プランの位置付けが変わった——AI Ultra料金体系の再編
今回のProject Genie拡大は、Google AI Ultraの料金改定とセットで理解する必要があります。I/O 2026でGoogleはAI Ultraを月額$100の新ティアから提供開始し、従来の最上位プランを$250から$200へ引き下げました。つまり「$200のAI Ultra」は値上げではなく、上位ティアの実質値下げ後の価格です。
| ティア | 月額 | Project Genie | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| AI Ultra(上位) | $200 | ○ | 最上位プラン |
| AI Ultra(新規) | $100 | × | 20TBストレージ、Gemini Spark、YouTube Premium |
| AI Pro | — | × | 基本機能中心 |
重要なのは、Project Genieへのアクセスには$200プランが必須である点です。あわせて課金体系も1日単位の上限から「コンピュート使用量」モデルへ移行し、5時間ごとに上限がリフレッシュされる仕組みに変わりました。Genieのようにリアルタイム世界生成を行う重い機能ほど、この新方式の影響を受けやすいと考えられます。
Q&A
Q. Project GenieのStreet View機能は日本からでも使えますか? $200のGoogle AI Ultraプランに加入していれば、全世界に拡大される提供範囲の対象になるとされています。ただし、Street View画像の起点として選べる場所は現時点で米国内に限られており、日本国内の地点は対象外です。
Q. Project Genieは具体的にどんなスタイルの世界を生成できますか? 公開情報の範囲では、世界観のスタイル例として「Desert Sands」「Stone Age」が挙げられています。これらに加えて、探索するキャラクター設定をプロンプトで記述することで、Street Viewの実画像を起点にした想像上の世界が生成されると報じられています。
出典
- Android Authority — Project Genie now lets you reimagine your favorite real-world spots with a creative twist
- TechCrunch — Google's Genie world model can now simulate real streets with Street View
- Google DeepMind — Genie 3