短尺AIクリップの「続き」が作れるようになり、複数案を並行生成して比較できる——Google Vidsの動画制作体験を地味に、しかし確実に変える更新が届きます。Googleが動画制作ツール「Google Vids」に2つの新機能を追加しました。Veoで生成したクリップを延長する「Extend」と、複数クリップの同時生成です。Android Authorityが2026年6月18日付で報じています。
「Extend」でVeoクリップを継ぎ足し可能に
Google Vidsでは従来、Veoで生成できるクリップの長さに制限がありました。今回追加された「Extend」オプションを使うと、既存のクリップに続きを継ぎ足して、より長い動画を作成できるようになります。短尺のAI生成クリップを組み合わせる際に発生しがちな、カット間の不自然な切り替わりを抑えやすくなるという流れの一環です。
Google Vidsはここ数か月、AI機能の強化が段階的に続けられてきており、今回の更新もその延長線上にあるアップデートと位置づけられます。
複数クリップの同時生成で試行錯誤を高速化
もう1つの新機能は、複数クリップを同時に生成できるようになる点です。これまでは1つ目の生成が完了するまで次のリクエストを送れず、プロンプトの言い回しや構図の違いを試したいときに長い待ち時間が発生していました。同時生成に対応したことで、異なるプロンプトのバリエーションを並行して走らせ、結果を見比べながら採用するクリップを選ぶ運用がしやすくなります。なお、同時に生成できるクリップ数の上限については、公開情報の範囲では明示されていません。
管理者承認不要、対象プランなら即解禁
両機能は2026年6月18日付で展開が始まっています。対象は以下の通りです。
| 区分 | 対応プラン |
|---|---|
| ビジネス・教育向け | Business / Enterprise / Education Plus |
| 個人向け | Google AI Pro または Ultra サブスクリプション |
Googleは、ロールアウトは数日以内に完了する見込みだと説明しています。アカウントにまだ表示されていない場合は、もう少し待つ必要があります。
注目したいのは、Workspaceアカウント向けに管理者コントロールが用意されていない点です。IT管理者による有効化を待つ必要がなく、対象プランのユーザーは展開され次第すぐに利用できる設計になっているという意味合いが強いと言えます。社内ガバナンスの観点で生成AI機能の利用範囲を制御したい組織にとっては、運用ポリシーの再確認が必要になる可能性があります。
対象プランを契約しているユーザーは、数日以内にGoogle Vidsの画面に新機能が現れるはずです。届かない場合は、契約プランが対象に含まれているかを確認すると良いでしょう。
背景にあるVeo 3.1モデルファミリーの強化
「Extend」と同時生成は、基盤モデルであるVeo 3.1の継続的な強化と歩調を合わせる形で実装されています。Veo 3.1は前世代のVeo 3と比較して、8秒クリップにおけるフレーム一貫性が40〜60%向上しており、キャラクターや背景のちらつきが抑えられています。クリップを継ぎ足す「Extend」運用において、つなぎ目の違和感が出にくくなる土台が整えられています。
モデル側のラインナップは3階層に整理されています。
| モデル | 位置づけ |
|---|---|
| Veo 3.1 | 最高品質の標準モデル |
| Veo 3.1 Fast | 品質維持で高速生成 |
| Veo 3.1 Lite | 最もコスト効率の高い軽量版 |
いずれもネイティブ音声生成に対応しています。さらにVertex AI側では1080pおよび4Kへのアップスケーリング機能が提供されており、Veo以外のモデルで生成した動画や従来カメラの実写素材にも適用できる仕様となっています。短尺クリップの品質向上と高解像度化の両面から、最終アウトプットの完成度を底上げする構成になっています。
Google Vids全体のアップデート文脈
「Extend」と同時生成は単発の機能追加ではなく、2026年春以降に続くGoogle Vidsの大型刷新の流れの一部に位置づけられています。2026年4月の発表では、個人Googleアカウント向けに月10回のVeo 3.1生成が無償で開放され、試用のハードルが下がっています。
- AI音楽生成: Lyria 3を用いたカスタムBGMの作成に対応
- アバター拡張: 既定プリセットを23種類から53種類に増強し、Gemini Audioで駆動
- Chrome画面録画: ブラウザ内で直接レコーディングが可能
- YouTube直接公開: 編集後の動画を外部書き出しなしで投稿
動画素材だけでなく、BGM・ナレーション付きアバター・収録・配信先までを単一ツール内で完結させる方向に進化が進んでいます。「Extend」による尺の柔軟化と同時生成による試行回数の確保は、これら周辺機能と組み合わさることで、短時間で複数案を仕上げて投稿まで運ぶワークフローを支える要素として機能しています。
Q&A
Q. 既存のVeoクリップにも「Extend」を適用できますか? 公開情報の範囲では、Veoで生成したクリップを延長して、より長い動画を作成する機能だと説明されています。具体的な適用条件の詳細は明らかにされていません。
Q. 無料ユーザーでも使えますか? 個人向けではGoogle AI Pro または Ultra サブスクリプションが必要です。Business / Enterprise / Education Plus の各プランも対象に含まれます。
出典
- Android Authority — Google Vids is making it easier to create longer clips with Veo
- Google Cloud Blog — Veo 3.1 Lite and a new Veo upscaling capability on Vertex AI
- Google Blog — Google Vids updates include high-quality video generation at no cost and more