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クマ襲撃で昨年13人死亡・目撃5万件の日本、4,000ドル超「モンスターウルフ」が年間生産量超え50台受注で供給追いつかず

GadgetDrop 編集部6
クマ襲撃で昨年13人死亡・目撃5万件の日本、4,000ドル超「モンスターウルフ」が年間生産量超え50台受注で供給追いつかず

クマによる死者が昨年13人、全国の目撃情報5万件という記録的水準に達した日本で、撃退用アニマトロニクスロボット「モンスターウルフ」の受注が殺到しています。価格4,000ドル超(約62万円)のこのロボットを製造する北海道のOhta Seikiは、AFPの取材に対し「製造が追いつかない」と回答しました。Tom's Hardwareが報じています。

年間生産量を上回る50台受注、納期は2〜3か月待ち

Ohta SeikiのYuji Ohta社長はAFPに対し「製造が追いつかない」と述べ、今年すでに50台の受注を抱えていることを明らかにしました。同社は北海道に拠点を置き、通常は年間でこれだけの台数のロボットウルフを製造することはないとされています。

現在、同社は顧客に「2〜3か月お待ちいただくよう」依頼している状況です。背景には、日本国内におけるクマ被害の急増があります。

  • クマによる死者:昨年13人(前年から2倍以上)
  • 全国でのクマ目撃情報:50,000件(過去最多を2倍以上更新)
  • 死亡事故以外にも、住宅侵入、学校周辺の出没、温泉宿の利用客への威嚇、スーパーマーケットでの暴れ回りなど被害は多岐に及ぶ

赤い目・50種類の咆哮・首振り——モンスターウルフの威嚇メカニズム

モンスターウルフは、野生のオオカミを模した外観に、強烈なLEDライトと大音量の音声で威嚇効果を高める設計となっています。製品ページでは「強烈なLEDライトと大音量を発する」ことで恐怖感を演出すると説明されています。

項目仕様
価格4,000ドル超(約62万円〜)
センサー赤外線センサーで野生動物を検知
音声パターン50種類
視覚効果赤く光る目、青いアンダーライト
動作首を左右に振る
電源12V車載バッテリー+オプションのソーラーパネル
走行機構車輪(オプション扱い)

設置型として赤外線センサーで対象を検知し、複数種類の威嚇音を組み合わせて野生動物を遠ざける仕組みです。

実際の動作はYouTubeで公開された動画で確認できます。

携帯版・ドローン・AIカメラ——複層化する獣害対策

AFPの報道によれば、Ohta Seikiは製品ラインの拡大も視野に入れています。ハイカー、釣り人、通学する子どもなどを想定した携帯版モンスターウルフの開発計画があるほか、AIカメラを活用した対クマ技術の高度化も検討しているとされています。

Tom's Hardwareはまた、今年初めに宮城県石巻市周辺で「クマの大量出没」への対策としてクマ撃退用ドローンが配備された事例にも触れています。設置型ロボットによる定点防御、携帯型デバイスによる個人の自衛、ドローンによる広域索敵——日本国内でハイテクを駆使した獣害対策が複層的に広がりつつある状況です。

導入を検討する自治体や事業者にとっては、現時点では2〜3か月の納期を見込んだ計画的な発注が必要となります。被害が深刻化する地域では、設置型のモンスターウルフを拠点防御に、ドローンを広域監視・追跡に、携帯版を個人の自衛にといった役割分担で複数のソリューションを組み合わせる運用が現実的な選択肢となりそうです。

自衛隊派遣と機動隊への射撃許可——政府主導の獣害対策が本格化

ロボットによる民間防衛と並行して、政府レベルでも異例の対応が進んでいます。防衛省と秋田県は協定を結び、自衛隊員が食料入りの箱罠の設置、地元ハンターの輸送、死亡したクマの処理を担う一方、銃器による駆除は行わないと定められました。

警察・ドローンを含む多層的な公的措置

国家警察庁は、秋田県と岩手県の住宅地でハンターが間に合わない場合に機動隊が銃で射撃することを認可しました。また岐阜県では、犬の吠え声や花火音を再生してクマを追い払うドローンの実証実験が行われています。政府はタスクフォースを立ち上げ、11月中旬までに正式な対クマ対応策をまとめる方針です。設置型ロボットによる民間の自衛と、自衛隊・警察・ドローンを含む公的部門の駆除・警報インフラが並走する段階に入っています。導入する自治体や事業者にとっては、地域ごとの公的対応との役割分担を踏まえた計画が求められます。

累計330台・海外からも引き合い——モンスターウルフ市場の広がり

受注急増の背景には、すでに形成されている運用実績の厚みがあります。現在、全国で約330台のモンスターウルフが稼働しており、ここ数か月で問い合わせは3倍に増えています。

  • 発注元は農家、ゴルフ場運営者、建設業など屋外作業に従事する人々が中心です
  • 音量は90デシベルで、最大1km先まで届くとされています
  • 海外からの問い合わせも約10件あり、インドからは象を追い払えるかという照会が寄せられています

一方、効果の持続性については慎重な見方もあります。専門家は、突発的な光や音は野生動物を驚かせるものの、多くの動物は学習し適応するため、実害がないと気づいた集団が一定数を超えると抑止効果は薄れる可能性があると指摘しています。

多くの動物は学習し適応するため、抑止効果は時間とともに減衰する可能性がある

導入側にとっては、設置位置の変更や音声パターンのランダム化といった運用上の工夫が長期効果のカギとなりそうです。

Q&A

Q. モンスターウルフはどこで作られているのですか? 北海道に拠点を置くOhta Seikiが製造しています。社長はYuji Ohta氏で、AFPの取材に応じています。

Q. 価格と納期はどれくらいですか? 価格は4,000ドル超(約62万円〜)で、現在は受注から2〜3か月の待ち時間が発生しています。今年すでに50台の受注があり、これは同社が通常1年間で製造する台数を上回る水準です。

Q. 個人でも購入できますか? 現行のモンスターウルフは設置型の業務用途が中心ですが、Ohta Seikiはハイカー・釣り人・子ども向けの携帯版を計画していると報じられています。具体的な発売時期や価格は現時点で公表されていません。

出典

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