NVIDIAがArmベースのPC向けSoC「RTX Spark」に搭載した20コアCPUのCortex-X925が、MediaTek Dimensity 9400をベースにしつつ、Dimensity 9500のC1-Ultraと同じ電源レール設計を取り込んでいることが、YouTubeチャンネル「Geekerwan」によるダイ解析で示されました。Wccftechは、Microsoftの「Surface Laptop Ultra」と110W TDPを例に挙げ、スマートフォン向けのコアをPC向けに作り変えるためにNVIDIAが施した改変について報じています。読者にとっては、RTX Spark搭載ノートの実機性能を読み解くうえで重要な前提情報となります。
2世代前のコアでどう戦うのか — NVIDIAの判断
RTX SparkのCPUは20コア構成ですが、ベースとなるCortex-X925はDimensity 9400に搭載されているコアで、Wccftechによれば2026年10月時点で2世代前のシリコンになる見込みです。Wccftechは、20コアCPUであっても現代のSoCには太刀打ちできず、Dimensity 9400そのままの設計ではPC用途で求められる性能を出し切れないと報じています。
PC向けデバイスとして競合を上回るパフォーマンスを示すには、スマートフォン用に最適化されたコアをそのまま流用するわけにはいかなかった、というのが今回の改変の背景です。読者にとっては「Arm系PC SoCは旧世代のスマホ向けコアを使い回しているだけではないか」という疑念への、NVIDIA側の回答を示す要素といえます。
電源レールはDimensity 9500から — 解析で判明した改変点
Geekerwanの解析によれば、RTX SparkのCortex-X925コアは、MediaTekの前世代シリコンに搭載されているものより物理的に小さいことが確認されています。そのうえで注目すべきは電源レール(power rail)の設計です。
- ベースコア: Dimensity 9400のCortex-X925を採用しつつ、PC向けに改変
- 電源レール設計: Dimensity 9500のC1-Ultraと同じ設計を採用
- 狙い: 高いCPU周波数を維持し、要求の厳しいマルチコアワークロードに対応
Geekerwanは、Dimensity 9400とDimensity 9500の双方から要素を取り込むことで、高い動作周波数を持続的に保てるよう設計されているのではないかと推測しています。Dimensity 9500譲りの効率的な電力分配とスケジューリングアルゴリズムにより、ArmベースのRTX SparkがPCプラットフォーム特有の重いマルチコア処理でもクロックを保てるとされています。つまり読者にとっては、ベンチマーク時のピーク値だけでなく持続性能にも期待が持てるという読み解きが可能です。
Surface Laptop Ultraと110W TDP、各社の追加クロック調整は未確認
改変されたCortex-X925コアは、サーマルリミットに引っかかることなく高い周波数で動作し続けられる点が利点とされています。Wccftechは、Microsoftの「Surface Laptop Ultra」と、その110W TDPであれば発熱を問題なく処理できる例として言及しています。スマートフォン向けSoCの常識から見ると相当に大きな電力枠であり、NVIDIAの改変が物理的な放熱余裕とセットで成立していることがうかがえます。
一方で、ノートPCメーカー各社がこのCortex-X925コアをさらに高いクロックで動作させられるかどうかについては、Wccftechは現時点で確認されておらず、ベンチマークの登場を待つ必要があると報じています。つまり読者にとっては、購入判断には実機レビューと第三者ベンチマークが揃うのを待つのが妥当という結論になります。
Q&A
Q. Dimensity 9400搭載スマホとRTX Sparkでは、同じCortex-X925でも性能は変わるのですか? Geekerwanのダイ解析によれば、RTX SparkのCortex-X925はDimensity 9400搭載品より物理的に小さく、電源レール設計はDimensity 9500のC1-Ultra相当に差し替えられています。Geekerwanは、この改変によって高クロックを持続的に維持しやすくなっていると推測しており、スマホ用そのままの挙動とは異なる可能性があります。
Q. なぜ電源レール設計をDimensity 9500から取り入れたのですか? Geekerwanは、Dimensity 9500のC1-Ultraが備える効率的な電力分配とスケジューリングが、高クロックを長時間維持するうえで有利だからではないかと推測しています。PCの重い処理ではクロック維持が性能に直結するため、この設計を流用する判断につながったと見られます。
Q. ノートPC各社はもっと高いクロックで動かせるのですか? Wccftechは、現時点で確認されていないと報じています。Surface Laptop Ultraの110W TDPであれば発熱を処理できる例として挙げられていますが、他メーカーがさらに高いクロックを引き出せるかはベンチマーク待ちです。