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TSMCがCoWoS向けガラス基板を本格検討——反り16%・熱膨張19%減でシリコン並みの熱特性、量産は依然先か

GadgetDrop 編集部6
TSMCがCoWoS向けガラス基板を本格検討——反り16%・熱膨張19%減でシリコン並みの熱特性、量産は依然先か

反り16%減・熱膨張19%減——TSMCがCoWoSの次世代版でガラス基板採用へ動いていると、DigiTimesが具体的な測定値とともに報じました。サプライヤーのInnoluxおよびIbidenと連携し、CoPoS(chip-on-panel-on-substrate)技術の供給網構築を進めている段階だとされています。HPCチップの性能に影響しうる熱管理・信号伝送・反りといった課題への取り組みとして位置づけられており、シリコンに迫る熱特性が示された点が注目を集めています。

ガラス基板で反り16%・熱膨張19%減という測定値

TSMCがガラス基板に強い関心を寄せる決め手となったのが、パッケージの反り(warpage)を測定する指標です。DigiTimesは、ガラス基板の採用により以下のような改善が確認されたと報じています。

  • 反り(warpage)指標: 16%低下
  • 熱膨張: 19%低下
  • 抵抗: 27%低下
  • インダクタンス: 42%低下

これらの数値は、HPC(高性能コンピューティング)チップの将来的な性能に影響しうる熱管理・信号伝送・反りといった課題に対する有意な改善を示すものとされています。とくに熱効率の向上は、ガラスがシリコンに近い熱特性を示すことを意味しており、有機基板とシリコンの間にある熱特性のギャップを埋められる可能性があるとされています。

最初のターゲットはRubin/Blackwell世代のAI GPU

情報源によると、ガラス基板の最初のターゲットは、NVIDIAのRubinやBlackwellといったハイエンドAI GPU向けのCoWoSパッケージです。TSMCの試作品はガラスコアを採用した基板で、歩留まりに影響するような反りや剥離は確認されなかったと伝えられています。

ただし、課題も残っています。ガラスは導体ではないため、電流を通すために「via(ビア)」と呼ばれる垂直方向の導電経路を埋め込む必要があり、この点が製造上のハードルになっていると指摘されています。TSMCのパートナーとされるInnoluxとIbidenは、それぞれパネル材とABF(Ajinomoto Buildup Film)の供給元として既知の取引先で、今回の検討はそのつながりを軸に進んでいるとされます。

CoWoSは当面主力——量産化はまだ先との見方

優位性が示される一方で、ガラス基板の量産化はまだ先になるという見方もサプライチェーン筋から伝えられています。Tom's Hardwareは、TSMCの欧州シンポジウムでKevin Zhang氏が、幾何学的な複雑性などの制約から、CoWoSが当面AIチップ向けパッケージングの主軸であり続けると述べたと報じました。

つまり、ガラス基板はあくまでCoWoSの先端バージョンの中で部分的に取り入れられる存在として位置づけられており、パネルレベル技術が主流になるにはまだ時間が必要との含みが残されています。Rubin世代・Blackwell世代の現実的な選択肢として浮上するか、それともCoPoS本格展開とともに登場するかは、現時点では明らかにされていません。

性能指標と用途のシナリオは示されたものの、量産時期は明確に語られていません。続報を待ちつつ、CoPoSロードマップとの関係を見ていくのが妥当でしょう。

TSMCのCoPoSロードマップとIbidenの巨額投資

TSMCのガラス基板移行は、具体的なタイムラインとサプライチェーン投資によって裏付けられつつあります。CoPoSは円形ウェハーから750×620mmの矩形パネルへと基板形状を切り替える方向性が示されており、より大面積のAIチップ実装に向けた基盤づくりとして位置づけられています。

項目時期・規模
VisEraミニ生産ライン設立2026年
少量試作開始2027年
量産到達目標2028〜2029年
Ibiden基板投資額約5,000億円(2026〜2028年)

TSMCはVisEraで2026年中にミニ生産ラインを立ち上げ、2027年に少量試作、2028年から2029年にかけて量産化を目指す計画とされています。サプライヤーであるIbidenは2026年2月、AIサーバおよび先端データセンター向けの高性能IC基板能力を拡張するため、2026年から2028年にかけて約5,000億円を投じる方針を公表しており、ガラス基板採用に向けた供給体制の整備が並行して進められています。パネル化と投資の両輪で、CoPoS移行の現実味が高まってきています。

Intel・Samsungのガラス基板実証データと量産スケジュール

ガラス基板を巡る競争はTSMCだけにとどまらず、IntelとSamsung陣営も具体的な実証データと量産計画で並走しています。

  • Intel(反り実証): 2026年2月時点で100mmスパンあたり反り20μm未満を実証し、有機基板の50μm超を大きく下回る水準を達成したと報じられています。
  • Intel(EMIB統合): 2026年1月のNEPCON Japanで、EMIBとガラスコア基板を組み合わせた初サンプルを公開しています。
  • Samsung Electro-Mechanics: 2025年にミニ生産ラインを設立済みで、2026年にハイエンドSiP向け生産を開始し、2027年の量産化を予定しています。

Intelが先行して反り指標の優位性を実数で示し、Samsung Electro-Mechanicsが2025年のミニライン設立から2027年量産までの段階的なスケジュールを敷くという構図になっています。TSMCがVisEraで2026年にミニラインを立ち上げる動きと比較すると、各社の量産到達タイミングは2027年から2029年にかけて重なっており、ガラス基板パッケージングの実用化が同時期に集中して進んでいくことが見て取れます。

Q&A

Q. なぜシリコンではなくガラスなのか? 有機基板はシリコンと熱特性のギャップが大きく、HPCチップで反りや熱膨張が課題になりやすいとされています。ガラスはシリコンに近い熱挙動を示すため、ダイと基板の間の熱ミスマッチを抑えやすく、反りや信号品質の劣化を減らせる可能性があると報じられています。

Q. CoPoSとCoWoSは何が違うのですか? CoWoS(chip-on-wafer-on-substrate)はウェハーを介してチップを基板に実装する現行の先端パッケージング技術で、当面はAIチップの主軸とされています。CoPoS(chip-on-panel-on-substrate)はパネルレベルでの実装を前提とした次世代の方向性で、ガラス基板の採用はこのCoPoSに向けた供給網整備の第一歩と位置づけられていると伝えられています。

出典

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