米国防総省が、中国軍と関連があると見なす企業のリストを更新し、新たにAlibaba(アリババ)とBaidu(バイドゥ)を追加しました。さらに最新版には、中国メモリチップメーカーのCXMTとYMTCも含まれています。このリストは2026年2月にも一度公表されましたが、5月のトランプ大統領による北京訪問前に取り下げられ、今回改めて再公表された経緯があります。トランプ大統領と習近平国家主席の会談後も、テック分野における米中の緊張は和らいでいないことを示す動きです。
Alibaba・Baiduがリスト入り——契約・調達面への影響
Engadgetの報道によれば、米国防総省が公表した更新版リストには、EコマースのAlibabaとインターネットサービス大手のBaiduが含まれています。CNBCを引用するかたちで伝えられているところによると、このリストに掲載されること自体は、米政府が両社に制裁を科すことを意味するものではありません。
ただし、米国防総省は今後、リスト掲載企業と直接契約を結ぶことができなくなるほか、第三者を介してそれらの製品やサービスを利用することもできなくなります。結果として、米国防総省と取引する米国企業がサプライヤーとしてのAlibabaやBaiduを切り離す可能性があり、両社にとって契約面での損失につながる可能性があると報じられています。
中国メモリ大手CXMT・YMTCも最新版に——5月の北京訪問前にはリスト撤回
米国防総省は2026年2月にも更新版リストを公表していたものの、2026年5月のトランプ大統領による北京訪問を前に、いったんそのリストを取り下げていたと報じられています。今回再アップロードされた最新版では、中国のメモリチップメーカーであるCXMTとYMTCも含まれています。
トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談を経てもなお、こうした更新が行われた事実は、特にテクノロジー分野における米中関係が実質的には改善していないことを示しています。
TSMC経由の抜け道封じへ——台湾も独自規制を検討
米上院では超党派の議員ペアが、トランプ政権に対して半導体製造に関する規制を一段と強化するよう求めています。具体的には、中国企業の海外子会社が、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.)のような受託製造企業にカスタムチップを発注できないようにする制限の導入を要請しています。
台湾側でも同様の枠組み導入を検討する動きがあります。Bloombergによると、台湾当局はHuaweiのように米国防総省のブラックリストに掲載された企業に限らず、すべての中国顧客に対するAIチップ販売を制限する案を検討しているとされています。仮にこの枠組みが採用されれば、処理性能の高いAIチップの中国顧客への販売が禁止されることになります。
制裁前夜の包囲網拡大——次の局面を読む節目に
今回の動きは制裁そのものではないものの、米国・台湾双方で半導体・AIチップを軸とした対中規制の包囲網が広がっていることを示しています。AlibabaやBaiduといったクラウド・AI領域の主要プレイヤーがリスト入りしたことは、米国企業との取引関係を見直す引き金になり得ます。現時点では制裁発動には至っておらず、台湾の規制案も検討段階にとどまっていますが、米中テック摩擦の次の局面を読むうえで重要な節目です。
Q&A
Q. このリストに載るとどうなりますか? 米政府による制裁ではありませんが、米国防総省はリスト掲載企業と直接契約を結ぶことができず、第三者を介した製品・サービスの利用もできなくなります。結果として米国防総省と取引する米国企業がサプライヤーから外す可能性があり、間接的な契約損失につながり得ると報じられています。
Q. 今回新たに追加された企業はどこですか? EコマースのAlibabaとインターネットサービスのBaiduが新たに追加されました。また、最新版には中国メモリチップメーカーのCXMTとYMTCも含まれています。
Q. AlibabaクラウドやBaiduの一般サービスは使えなくなりますか? 今回の措置は米国防総省が直接契約・第三者経由の利用を行わないというものであり、一般ユーザーの利用を直接禁じるものではありません。ただし、米国企業がサプライヤーから外す動きが広がれば、間接的にサービス提供体制に影響が出る可能性は否定できません。
Q. 台湾の規制案はどのような内容ですか? Bloombergによると、台湾当局はHuaweiのように米国防総省のブラックリストに掲載された企業に限らず、すべての中国顧客に対するAIチップ販売を制限する案を検討しているとされています。仮に採用されれば、処理性能の高いAIチップの中国顧客への販売が禁止されることになります。