価格は上がったのに性能は下がった——そんな評価がRazerの新型フラッグシップに出ています。Razerが2026年3月のGDCで発表した「Razer Blade 16 (2026)」について、Hardware Canucksの実機テスト結果が報じられました。シャシーやデザインは2025年モデルを引き継ぎつつCPUをIntel Core Ultra 9 386Hへ刷新した最新フラッグシップですが、価格上昇にもかかわらずCPU・ゲーミング性能が2025年モデルを下回る可能性が指摘されています。NotebookCheckのFawad Murtaza氏が同テストを引用するかたちで報じました。
価格は上昇、しかし「アップグレードに見えない」との指摘
Razer Blade 16 (2026) は、薄型メタルシャシーを2025年モデルから継承し、240Hz OLEDパネルの輝度向上、RTX 5090 Laptop GPUのワット数引き上げといった改良を盛り込んだモデルです。ただしHardware Canucksは、CPUをAMD Ryzen AI 9 HX 370からIntel Core Ultra 9 386Hに変更した結果、肝心の性能面で2025年モデルを上回れていないと報告しています。
NotebookCheckは、Blade 16 2026は2025年モデルと比べてアップグレードに見えないという見解を示しており、価格が上がった一方で明確な性能上の利点が見いだせないという指摘が出ています。
CPU性能はマルチコアで8〜13%低下、ゲーミングも2025年モデルが優位
具体的な数値として、Hardware CanucksはBlenderとHoudiniのマルチコアワークロードで、Razer Blade 16 (2026) が2025年モデルに対し8〜13%の性能低下を示したと報告しています。動画編集アプリでは結果が分かれ、DaVinci Resolveでは2026年モデルが勝ったものの、Premiere Proでは2025年モデルが上回ったという結果で、どのアプリを使うかでアップグレードかどうかの評価が変わる構図です。
ゲーミング性能はさらに厳しい結果が報じられています。RTX 5090 Laptop GPUにより多くの電力を割り当てているにもかかわらず、1600p解像度のテストでは、テスト対象となったほとんどのタイトルで2025年モデルのほうが高速だったという報告があります。GPUに与える電力を増やしても、CPU側のボトルネックや熱設計の影響でゲーミング性能が伸び悩んでいる可能性があります。
電力プロファイルごとに挙動が分裂——温度とバッテリーは明暗
CPU動作温度についても興味深い傾向が示されています。「Custom」「Balanced」プロファイルでは、Razer Blade 16 (2026) のほうが2025年モデルより高温かつ騒音が大きいとの指摘があり、特に「Custom」プロファイルでは2026年モデルが69W、2025年モデルが75Wと、消費電力が低いにもかかわらず温度・騒音で劣る結果になっています。
一方で「Performance」プロファイルでは状況が逆転します。2026年モデルがCPU電力57Wに対し2025年モデルは74Wと大きく下回り、温度も75℃ vs 79℃と低く、ファン騒音もほぼ変わらないという結果です。さらにゲーミング時には2026年モデルのほうが冷えて静かだったという報告もあり、GPU主体の負荷では冷却が機能している一方、CPU側のチューニングに課題が残っているとの見方が示されています。
バッテリーは大きく改善された領域です。Hardware Canucksのウェブ閲覧テストでは17時間20分を記録し、これは前モデルから約70%の改善という結果です。なおテスト中にはアイドル時の消費電力バグが発生したという報告もあり、最終的なソフトウェア最適化の状況によって数値は変動し得る点には注意が必要です。
2025年モデルを待つべきか——現時点での購入判断
今回伝えられている情報は、Razer公式が発表したベンチマークではなく、Hardware Canucksによる第三者テストとNotebookCheckの報道に基づくものです。ファームウェアやドライバ更新で性能が変わる余地はあるため、CPU・ゲーミング性能の低下は「現時点での実機テスト結果」として受け止めるのが妥当です。
それでも、価格が上がった一方でCPUとゲーミング性能が2025年モデルに届かない可能性が指摘されている以上、Razer Blade 16をすぐに更新する強い動機があるユーザーは限られそうです。バッテリー駆動時間の大幅な改善や、Premiere Pro以外のクリエイティブ用途で勝てるシーンを重視する層には選択肢になり得ますが、ゲーミング性能を最優先するなら現時点では2025年モデルの在庫や値下げを待つ判断、もしくはファームウェア更新後の追加検証を待つ判断が現実的でしょう。続報を待ちましょう。
Core Ultra 9 386Hとプラットフォーム周辺の仕様アップデート
性能評価とは別に、プラットフォーム側のアップデートは多岐にわたっています。Core Ultra 9 386Hは4つのPコア・8つのEコア・4つの低消費電力コアからなる16コア構成で、最大ターボは4.9GHz、前世代AMD Ryzen AI 9比で33%多いコア数を持ち、内蔵NPUは最大50 TOPSのAIアクセラレーションを提供します。この50 TOPSという数値はCopilot+ PCの基準となる40 TOPSを快適に上回るものです。
接続性も世代を更新しています。
- Thunderbolt 5:最大120Gbpsの高速転送とマルチモニター接続に対応
- Wi-Fi 7とBluetooth 6.0:低遅延と安定性を高めた最新無線規格
- RTX 5090 Laptop GPUは薄型筐体ながら最大165W TGPまで引き上げ
- ディスプレイ輝度は2026年モデルでSTD最大500nit/HDR最大1100nit(2025年モデルはSTD 400nit/HDR 500nit)
メモリは最大64GBのLPDDR5X-9600で基板に直付けされ、購入時に構成を確定する必要がある一方、ストレージはM.2スロットによる増設に対応します。
価格構成と地域別の販売状況
価格レンジは構成によって大きく振れる設計になっています。米国ではRTX 5080・32GB RAM・1TB SSDのベース構成が$3,999からで、RTX 5090にアップグレードすると$4,899(32GB/2TB SSD)、64GB RAM構成では$5,599まで上昇します。
| 構成 | 米国 | 英国 | 欧州 |
|---|---|---|---|
| RTX 5080 / 32GB | $3,999 | £3,599 / €4,399 | 同左 |
| RTX 5090 / 32GB | $4,899 | £4,399 / €5,499 | 同左 |
| RTX 5090 / 64GB | $5,599 | £4,999 / €6,299 | 同左 |
販売チャネルと出荷状況にも地域差があります。米Razerは2種類のRTX 5090モデルの在庫を確保している一方で欧州では入手性が限られており、64GB RAM構成は5月15日、32GB RAM構成はそれより約1週間早く出荷を開始する見込みです。欧州ではRTX 5070 Ti搭載のエントリー構成が約2,400ユーロから用意されており、上位構成との価格差を踏まえた選択肢の幅も広がっています。
Q&A
Q. Razer Blade 16 (2026) は2025年モデルより本当に遅いのですか? Hardware Canucksの実機テストに基づく報告では、BlenderやHoudiniなどマルチコアCPUワークロードで8〜13%の性能低下、1600pゲーミングではテスト対象の多くのタイトルで2025年モデルが上回ったという結果です。ただしDaVinci Resolveでは2026年モデルが勝つなど用途によって差があり、ファームウェア・ドライバ更新で改善する可能性も残されています。
Q. どんな使い方なら買いで、どんな場合は待つべきですか? バッテリー駆動時間の大幅改善(ウェブ閲覧で17時間20分・約70%向上)を重視する層や、DaVinci Resolveを中心とした映像制作ワークフローを持つ層には選択肢になり得ます。一方、Blender・Houdiniなどマルチコア中心のクリエイティブ作業や、1600pゲーミング性能を最優先する用途では2025年モデルが優位とされており、現時点では2025年モデルの在庫・値下げを待つか、ファームウェア更新後の追加レビューを待つ判断が現実的でしょう。