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Samsung半導体労組が新賃金合意を承認——一部社員に最大$416,000の特別賞与、18日間スト回避

GadgetDrop 編集部7
Samsung半導体労組が新賃金合意を承認——一部社員に最大$416,000の特別賞与、18日間スト回避

Samsungの半導体部門社員の一部に、最大$416,000(約6,400万円/1ドル約155円換算)の特別賞与が支給される見通しとなりました。同社史上最大規模となる見込みだった18日間のストライキを回避し、半導体事業の営業利益10.5%を特別賞与として分配する新賃金合意が、組合員投票で74%の賛成多数により承認されたという内容です。

営業利益10.5%を特別賞与に——74%の賛成で可決

GSMArenaによると、Samsungのデバイスソリューション部門(メモリ、チップセット、ファブ)の従業員が、ライバルのSK Hynixと比較して賞与額が低いことに不満を持ち、同社史上最大規模のストライキを計画していました。

政府が介入する形で、労働組合は当初予定されていた18日間のストライキを一時中断し、2026年5月22日から27日にかけて交渉が行われたとされています。その結果まとまったのが、半導体事業の営業利益のうち10.5%を特別賞与として従業員に分配する内容の合意です。

組合員投票では74%の賛成多数で可決されました。これにより、メモリ部門の一部社員には今年、最大$416,000(約6,400万円)の賞与が支給されることになります。韓国の平均年収が約$32,000(約500万円)である点を踏まえ、GSMArenaは「absolutely massive(極めて大規模)」な水準と報じています。残る2つの半導体部門の社員も大型の賞与を受け取る見通しですが、メモリ部門ほどの額には届かないとされています。

※本記事内の円換算はいずれも1ドル約155円を基準とした概算であり、実際の為替レートにより変動します。

韓国経済への影響——首相が示した「1兆ウォン」の試算

Samsungは韓国の輸出の約4分の1を占める巨大企業であり、メモリ事業は世界の電子機器産業にとっても欠かせない存在です。

韓国の首相は、もし18日間のストライキが実際に行われていた場合、その損失は1兆ウォン(およそ$660 million、約1,020億円)に達すると試算していました。この規模感が、政府が早期に介入した背景にあるとの見方もできます。

項目内容
合意内容半導体事業の営業利益10.5%を特別賞与に
投票結果賛成74%
最大賞与額$416,000(約6,400万円)※メモリ部門の一部
韓国平均年収約$32,000(約500万円)
ストライキ予定18日間(実施されず)
想定損失KRW 1 trillion / 約$660 million(約1,020億円)

株主と他部門社員の不満——電子部門組合は法廷闘争へ

合意成立で「一件落着」とは言い切れない状況も残っています。

  • 株主の不満:今回の合意は株主総会で承認されたものではなく、しかも株主への配当原資を減らす方向に働くため、株主側は不満を示しています。
  • 電子部門の組合:半導体部門の組合が要求を通した一方で、Samsungの電子部門を代表する組合は意見の不一致から交渉のテーブルを離れ、今回の投票自体を差し止めるよう裁判所に申し立てる動きを見せています。電子部門の従業員は今回の投票には参加していません。
  • 他部門との格差:Samsungグループの他部門で働く従業員は、半導体部門の同僚と比べてはるかに小さい賞与しか受け取れないことになります。

つまり、半導体部門のスト回避と引き換えに、グループ内の別の摩擦が表面化しつつある構図です。電子部門の差し止め申し立てが認められれば、合意の履行プロセスにも影響が及ぶ可能性があります。

次の論点——電子部門の差し止め申し立てと株主の反発

操業停止リスクが回避されたこと自体は、世界の電子機器産業にとってメモリ事業を担うSamsungにとって好材料です。一方で、株主側の反発と電子部門組合の法的措置が今後どこまで具体化するかが次の焦点と言えます。

特に、電子部門組合による投票差し止めの申し立てが裁判所に認められた場合、今回の合意の履行プロセスそのものに影響が及ぶ可能性があります。半導体部門と電子部門、さらに株主という3者の利害が交錯する状況で、Samsungが追加でどのような調整を行うかが続報のポイントとなります。

合意の詳細スキーム——10年プログラムと5兆ウォン基金

今回の特別賞与には、単なる現金一括支給ではない複雑な仕組みが組み込まれています。

株式払い・営業利益目標の達成条件

特別賞与は営業利益の10.5%相当を上限なしで割り当てるもので、自社株により10年以上にわたって支払われ、半導体部門が2026〜2028年は年間200兆ウォン超、2029〜2035年は100兆ウォン超の営業利益目標を達成することが条件となっています。さらに株式ベースの10.5%に加え、現金で追加の1.5%が支給される設計です。賞与プールの配分も決まっており、全体の40%が部門全体に、残る60%が個別事業ユニットに割り当てられます。

5兆ウォンの共生ファンド設立

合意成立後、Samsungの経営陣は公衆・株主・顧客・従業員に懸念を与えたとして共同声明で謝罪し、労使関係と経営慣行を見直すと表明、今後5年間で5兆ウォン(約33億ドル)の基金を設立し、共生成長・健全な生態系・人材育成を支援すると発表しました。批判への対応色が濃い施策と位置付けられています。なお投票には対象者65,593人のうち95.5%が参加し、73.7%が賛成しました。

マクロ経済への波及——Bloomberg試算と人材流出リスク

今回の合意は半導体労使の枠を超え、韓国経済全体に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

項目数値
賞与総額(2026年)4兆ウォン
同(2028年見通し)30兆ウォン
Samsung営業利益見通し330兆ウォン
SK hynix営業利益見通し250兆ウォン
両社合計の対韓国GDP比約22%

Bloomberg Economicsは、両社の現金化可能な業績賞与が2026年の4兆ウォンから2028年に30兆ウォンへ膨張すると予測しています。両社の今年の営業利益見通しは合計で韓国GDPの22%に達する規模です。

人材面では、SK hynixが2026年2月に基本給の2,964%相当・1人平均約10万ドルの賞与を初支給した結果、Samsung従業員約200人がSK hynixへ転職したとされます。SK hynixはNVIDIAのHBM4オーダーの約70%を確保し、HBM市場で約54%のシェアを握っており、賞与制度の差が人材流出を加速させる構図となっています。

Q&A

Q. メモリ部門の社員は全員が$416,000(約6,400万円)の賞与を受け取れるのですか? いいえ。「メモリ部門の一部の社員が最大で$416,000を受け取る可能性がある」と報じられています。半導体3部門のうち残る2部門の社員も大型賞与を受け取りますが、メモリ部門ほどの額ではないとされています。

Q. なぜ株主が不満を示しているのですか? 今回の合意が株主総会で承認されたものではなく、かつ営業利益の10.5%を従業員賞与に回す内容のため、株主への配当原資が減る方向に働くためです。

Q. 電子部門組合の差し止め申し立てが認められた場合、どうなりますか? 電子部門を代表する組合は今回の投票自体の差し止めを裁判所に求めており、電子部門の従業員は投票に参加していません。仮に申し立てが認められれば、半導体部門で承認された合意の履行プロセスにも影響が及ぶ可能性があります。

出典

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