$50値上げで人声ノイズキャンセリング最大3倍——ゼンハイザーが約4年ぶりに刷新したワイヤレスフラグシップ「Momentum 5 Wireless」は、外観をほぼ据え置きにしながら、ANCマイクを片側4基に倍増し、aptX LosslessとHi-Res Audioに対応してきました。発売は2026年6月16日、価格は$400(約6万2千円)です。前モデル「Momentum 4」から内部刷新型のモデルチェンジとなります。
価格は$50アップ——Momentum 4から$400へ
新型Momentum 5 Wirelessは$400(約6万2千円)で、前モデルMomentum 4より$50高い設定です。発売は2026年6月16日、カラーはブラック・ホワイト・ブルーの3色展開となります。
外装デザインは前モデルとほぼ共通で、変更点のほとんどは内部に集約されていると報じられています。ゼンハイザーはサウンドとANCの両面で大幅なアップグレードをうたっていますが、スペックシート上にはいくつかの注意点もあります。
ロスレス・空間オーディオ・Hi-Res——音質3点盛りで何が変わるか
ドライバーはMomentum 4と同じ42mmトランスデューサーを継続採用しています。これは同社の名機HD 600シリーズに着想を得たユニットで、「フルボディなサウンド」と「ダイナミックな低音」を狙ったチューニングが施されています。
新世代モデルで追加された主なオーディオ機能は次のとおりです。
- Hi-Res Audio認証の取得
- Snapdragon Soundへの対応(最大aptX LosslessまでのBluetoothコーデックをサポート)
- 「Smart Control Plus」アプリの8バンドEQ・オーディオプリセット・サウンドパーソナライゼーション
- HDB 630と同時にデビューしたロスレスBluetoothドングル「BTD 700」との互換性
加えて、DSP(デジタル信号処理)周りのBluetoothアップデートも予告されています。発売初日の「day one update」でヘッドトラッキング付きDolby Atmosに対応する予定で、現時点では同機能はトラッキングなしのDolby Atmosのみのサポートにとどまります。出荷時のBluetoothは5.4ですが、ヘッドホン自体は来たるBluetooth 6.0を見据えた設計とされ、こちらもファームウェア更新で対応する見込みです。
ANCマイクを片側4基に倍増——人の声を最大3倍カットと主張
ANC性能を引き上げるため、Momentum 5では片側のマイクを2基追加し、合計で片耳あたり4基としています。ゼンハイザーはこの構成によって「全方位的な改善」を実現したとし、特に人の声に対しては最大3倍効果的なノイズキャンセリングを実現すると説明しています。さらに、追加されたマイクは通話時の音声品質をより自然にする効果もあると同社は述べています。
ノイズキャンセリングの強化は今回のアップデートの最大の焦点ですが、「up to three times(最大3倍)」というメーカー公称値はあくまで人の声を対象としたシナリオである点は押さえておきたいところです。低周波ノイズなどその他の音についての具体的な効果は公表されていません。
バッテリーは57時間に短縮——一方で700mAhのユーザー交換式に
スペック上の数少ない後退ポイントがバッテリー駆動時間です。Momentum 4はANC有効時で最大60時間でしたが、新型Momentum 5は最大57時間と、3時間ほど短くなっています。それでもワイヤレスヘッドホンとしては十分長い駆動時間で、実用上の影響は限定的でしょう。
充電周りには嬉しい強化もあります。
| 項目 | Momentum 5 Wireless |
|---|---|
| 連続再生(ANC有効) | 最大57時間 |
| クイック充電 | 5分の充電で最大3時間の再生 |
| バッテリー容量 | 700mAh |
| 交換可否 | ユーザー自身で交換可能(プラスドライバー1本でOK) |
700mAhのバッテリーはユーザー交換式で、ゼンハイザーによれば小型のプラスドライバー1本で交換できる設計とされています。長期利用を見据えるユーザーにとっては嬉しい仕様です。
発売は2026年6月16日、価格は$400(約6万2千円)で、ブラック・ホワイト・ブルーの3色展開となります。
競合フラグシップとの価格マップ——$400という設定の意味
Momentum 5 Wirelessが$400で投入される2026年のプレミアム無線ヘッドホン市場には、ライバル機が$449〜$549の価格帯で並んでいます。What Hi-Fi?が示す競合各機の定価は次のとおりです。
| 機種 | 米国定価 |
|---|---|
| Sennheiser Momentum 5 Wireless | $400 |
| Sony WH-1000XM6 | $450 |
| Bose QuietComfort Ultra (2nd Gen) | $449 |
| Bowers & Wilkins Px7 S3 | $499 |
| Apple AirPods Max 2 | $549 |
Sony WH-1000XM6は英国£400 / 豪AU$699でも展開されていると報じられています。$50の値上げを行ってもなお、Momentum 5はこの主要5機種のなかで最安に位置取りされています。Momentum 4の登場以降、競合にはSony WH-1000XM5/XM6、Bose QuietComfort Ultra Headphonesとその第2世代が相次いで投入されており、追い上げを受ける構図となっています。
aptX Lossless運用の要——別売「BTD 700」ドングルの実体
Hi-Res認証とaptX Lossless対応を活かすうえで鍵を握るのが、互換ドングルBTD 700です。Sennheiser販売チャネルで2025年6月3日から出荷が始まっており、フラッシュドライブより小さなUSB-Cドングルでノートパソコンやスマートフォンの無線オーディオを底上げする設計になっています。
- 出荷開始:2025年6月3日(Sennheiser販売チャネル)
- MSRP:$59.95 USD / $69.95 CAD
- サイズ:重量2.2g、長さ24mm
- 接続:USB-C(USB-A変換アダプタ同梱)
特に注目すべきは、iPhoneがネイティブにはaptXを扱えない(AppleはAACとSBCのみサポート)にもかかわらず、BTD 700がUSB DACとしてiPhoneから音声を受け取り、ヘッドホン側へaptX Adaptive / Losslessでエンコードして送出できる点です。Apple機ユーザーがMomentum 5の本領を引き出す実質的な必須アクセサリといえます。
Q&A
Q. Momentum 4ユーザーは買い替えるべきですか? ロスレス再生(aptX Lossless)やヘッドトラッキング付きDolby Atmos、人の声に対するANC強化に価値を感じるなら買い替えの候補となります。一方でバッテリー駆動時間は最大60時間から57時間へ短縮されているため、長時間駆動を最重視するユーザーは見送りも選択肢です。
Q. Momentum 4と比べてバッテリーは短くなりますか? はい。ANC有効時の連続再生時間は最大57時間で、Momentum 4の最大60時間から3時間短くなっています。一方でバッテリーは700mAhのユーザー交換式となり、プラスドライバー1本で交換できる設計に変わりました。
Q. Dolby Atmosのヘッドトラッキングは最初から使えますか? 出荷時点ではトラッキングなしのDolby Atmosのみ対応で、ヘッドトラッキング付きの再生は発売初日の「day one update」で追加される予定とされています。Bluetoothも出荷時は5.4で、Bluetooth 6.0は将来のファームウェア更新での対応となります。
出典
- Engadget — Sennheiser's Momentum 5 headphones are all about the audio and ANC upgrades
- What Hi-Fi? — Sennheiser Momentum 5 Wireless review
- Sennheiser Newsroom — Sennheiser BTD 700 Bluetooth dongle