専用NASを買わなくても、自宅のWi-FiルーterにUSBポートが付いているなら、余ったUSBドライブを挿すだけで家庭内のファイル共有環境が作れます。Brian Burgess氏が、$230(約3万5千円)のTP-Link Archer AX80を例に、具体的な手順を紹介しています。サーバーを立てたり古いPCをNAS化したりするより手軽で、メンテナンスも楽だと述べられています。
NAS購入前にまず試したい選択肢——ルーターのUSBポート活用
紹介されているのは、Wi-FiルーターのUSBポートにUSBドライブを挿し、ネットワーク経由で共有ストレージとして使う方法です。ネットワーク越しにファイルへアクセスする手段として、ドライブを共有したりLinuxディストロでサーバーやNASを構築したりする選択肢が一般的ですが、ルーターのUSBポートを使う方法は見落とされがちだと指摘されています。
デモではサムドライブが使われていますが、電力が足りる範囲であれば任意のサイズのUSBドライブが利用可能で、Burgess氏は電源付きのWestern Digital My Bookのような大型ドライブを接続した経験もあると述べています。同氏はこの方式について、フル機能のNASシステムにお金をかけたり古いPCをサーバーに転用したりするより優れているケースがあると評価しており、メンテナンスも容易だとしています。
ルーター管理画面での設定手順
セットアップは「挿すだけ」では完結せず、ルーター側でいくつかの設定が必要です。手順はメーカーごとに異なりますが、流れは共通しています。
- USBドライブをルーターの空きポートに接続する
- PCのブラウザから
192.168.1.1または192.168.0.1にアクセスしてログインする(ルーターによってはhttp://tplinkwifi.netやhttps://routername.localのようなURLでもアクセス可能) - 「USB」「Storage」「File Sharing」「Network Storage」のいずれかのセクションを開く
- 「Samba sharing」「Network Neighborhood」「Windows File Sharing」など、ルーターによって名称が異なるローカル共有オプションを有効化する
- 必要に応じてLocal FTPも有効化する
Burgess氏はリモートアクセス用のInternet FTPについて、自宅外から使う場面がなければセキュリティ上オフにしておくことを推奨しています。共有ドライブ名は今回のTP-Linkルーターでは初期値が「TP-Share」でしたが、任意の名前に変更可能です。後でMacやPCからアクセスする際にドライブの認証情報が必要になる点にも触れられています。
デモで使われたのはTP-Link Archer AX80(Wi-Fi 6対応、Amazon・B&H・Neweggで$230、約3万5千円)です。
WindowsとMacからのアクセス方法
設定が済めば、あとはOS側からアクセスするだけです。
| OS | アクセス方法 | 入力するパス |
|---|---|---|
| Windows | File Explorerのアドレスバー | \\192.168.1.1\ShareName\[USB] |
| Mac | FinderとSMBプロトコル | 詳細は出典元を参照 |
Windows側ではパスワードを保存しておけば毎回入力する必要がなくなります。ドライブのマッピングも可能ですが、Burgess氏はWindowsのFile Explorerはネットワークドライブとの相性が悪く、しばしばマッピングしたドライブが消えてしまうと指摘しています。
Mac側ではFinderとServer Message Block(SMB)プロトコルを使ってアクセスする方式が紹介されており、macOSとLinuxで利用される共通のプロトコルだと説明されています。具体的にはFinderの「移動」→「サーバへ接続」からルーターのIPアドレスとドライブ名を指定する流れが示されていますが、入力例の詳細は出典元を参照してください。
どんなユーザーに向いているか
この方式は本格的なNASの代替を狙ったものではなく、家庭内の数台のマシン間でファイルをやり取りする程度の軽負荷用途であれば、わざわざNASを購入したり古いPCをサーバー化したりするより手軽でメンテナンスも楽だとされています。
すでにUSBポート付きのWi-Fiルーターと使っていないUSBドライブが手元にあるなら、まずはこの方式で家庭内ファイル共有を始めてみるのが妥当な判断です。
Archer AX80のファームウェア更新とUSB共有性能
TP-Link Archer AX80 V1向けには、USB共有の使い勝手と速度を底上げするファームウェア更新が継続して提供されています。
- 1.1.1/2 Build 20231201: USB読み書き性能の改善が含まれ、ファイル転送の高速化と安定性向上が図られています
- 1.3.1 Build 20250718: 2025年10月23日に公式版として公開され、DoH/DoT対応、APモードでのEasyMesh、Satellite Router Management、ECO Modeなどの新機能が追加されています
性能面では、2.5G LANポート経由でUSB SSDを共有した場合、シーケンシャル読み込みで最大290MB/s、書き込みで約120MB/s前後というテスト結果が報告されています。家庭内ファイル共有用途であれば、サムドライブから外付けSSDまで現実的な速度で利用できる水準と言えます。導入前に最新ファームウェアへ更新しておくことが推奨されます。
ルーターUSB共有を使う際のセキュリティ留意点
消費者向けルーターはメディアサーバーやUSB共有、クラウドサービスといった機能を多く搭載しており、エンタープライズ機器に比べて攻撃面が広いと指摘されています。
ルーターのUSB共有で広く使われるSambaプロトコルについては、設計上の欠陥に起因するリモートコード実行の脆弱性が報告されており、悪意ある攻撃者がファイルをアップロードして実行させる手口が懸念されています。2026年3月にはFCCが国家安全保障上のリスクを理由に、海外製造の家庭用ルーター新規モデルへのFCC機器認証を禁止する措置も取っています。家庭内のみでファイル共有を行う用途であっても、ルーター本体とファームウェアを最新版に保ち、Internet FTPなど外部公開系の機能は必要時以外オフにしておくことが安全な運用のポイントとなります。
Q&A
Q. この方法は本物のNASの代わりになりますか? Burgess氏はこの方式を、家庭内の軽いファイル共有用途に向いた簡易的な仕組みと位置づけています。フルNASを購入したり古いPCを再利用したりするより手軽でメンテナンスも楽だと評価しています。
Q. どんなUSBドライブが使えますか? ルーターのUSBポートから供給される電力で動作する範囲であればサムドライブから利用可能です。Burgess氏は外部電源を備えたWestern Digital My Bookのような大型HDDを接続した経験もあると紹介しています。
Q. 外出先からアクセスできますか? ルーター側でInternet FTPを有効化すればリモートアクセスも可能ですが、Burgess氏はローカル利用のみの場合はセキュリティ上Internet FTPをオフにしておくことを推奨しています。