Microsoftが米国時間2026年6月10日、Windows 11の月例更新KB5094126(OSビルド26200.8655および26100.8655)を配信しました。今回はスタートメニューや検索の起動を高速化する「低遅延プロファイル」の導入、Windows Storeのダウンロード改善、そして206件におよぶ脆弱性修正と、近年でも特にボリュームの大きな更新です。
低遅延プロファイルでシェル要素の起動を高速化
目玉となるのは新しい低遅延プロファイル(low-latency profile)です。スタートメニュー、アクションセンター、検索、アプリ起動といったコアなシェル要素を開く際にCPUを瞬間的に最大クロックまで引き上げ、1〜3秒程度維持してから元の状態へ戻すという仕組みです。従来は負荷の上昇に合わせてCPUがランプアップしていたため、起動のもたつきが目立つことがあったと報じられています。
ただし、6月のセキュリティ更新に同梱されているものの、配信直後から全ユーザーで有効化されるわけではありません。動作確認はタスクマネージャーのCPUクロックライブビュー、あるいはHWiNFO64などのサードパーティツールでCPUの瞬間的なスパイクを観察することで可能です。
スタートメニュー周りの改善はここ数か月続いてきた取り組みの集大成的な位置付けで、Engadgetの記事執筆者であるMax Miller氏は「以前は開くのに数秒待つことがあったが、最近はずっとレスポンシブになっている」と評価しています。さらにNeowinの報道として、将来の公開ビルドではスタートメニューの各セクションを個別に追加・削除できる機能や、すべて非表示にした場合に「All Start sections are turned off.」と表示される選択肢も予定されていると伝えられています。
6月更新で導入された主な改善点
長年指摘されてきた他の不満点にもメスが入りました。今回の更新で導入・強化された主なポイントは以下の通りです。
- 低遅延プロファイル: スタートメニュー・アクションセンター・検索・アプリ起動時にCPUを瞬間的に最大クロックへ引き上げ、もたつきを解消
- Windows Storeのダウンロード高速化: これまで不可解なほど遅いことがあったアプリ・システムコンポーネントの更新が大幅にスピードアップ
- Windows Searchの応答改善: 入力2文字目の時点で検索結果の表示を開始し、Startキーから直接アプリ名を打って起動するユーザーに体感差の大きい変更
- マルチアプリカメラ対応: Zoom通話中にセルフィー撮影を同時に行えるなど、複数アプリで同時にカメラを利用可能
- Shared Audio: Bluetooth LE対応のヘッドホンやイヤホン2台に対して同時に音声をブロードキャスト
- ユーザーフォルダ名のカスタマイズ: 新規インストール時にユーザーフォルダ名を任意で指定可能
- NPUモニタリングツール: タスクマネージャーで専用AIチップ搭載PCのNPU稼働状況を確認可能
加えてMicrosoftはCopilotボタンの削除を進めており、長らく放置されていたUXとパフォーマンスの領域に再び手を入れている姿勢が見て取れます。
206件の脆弱性を修正——CVE-2026-45657はスコア9.8
ユーザーが目にすることはありませんが、もっとも重要なのはセキュリティ修正です。今回の更新ではcritical/severe評価を含む合計206件の脆弱性が修正されました。権限昇格、リモートコード実行、情報漏えい、なりすましなど多岐にわたる脅威が対象です。
中でも CVE-2026-45657 はカーネルレベルのリモートコード実行脆弱性で、脅威スコアは9.8と特に深刻なものです。Microsoftは5月のブログ投稿で、AIによって脆弱性発見が加速していると指摘し、ホワイトハット・ブラックハットの双方が人間離れしたスケールでペネトレーションテストを実行できるようになっており、Windowsの安全性を保つにはこの軍拡競争で先行し続ける必要があると述べています。
セキュリティ修正のボリュームを踏まえると、本更新はすべての環境で速やかに適用すべき内容と言えます。低遅延プロファイルの有効化は段階的ですが、Windows Searchの2文字応答やWindows Storeの高速化はインストール直後から体感できる可能性が高い改善点です。
Q&A
Q. KB5094126はどこから入手できますか? Windows Updateから配信されており、対象ビルドは26200.8655および26100.8655です。Patch Tuesday扱いの月例更新として通常の手順で適用できます。
Q. 低遅延プロファイルは適用後すぐ有効になりますか? 更新には同梱されていますが、配信直後から全ユーザーで有効化されるわけではありません。タスクマネージャーやHWiNFO64でスタートメニュー等を開いた際のCPUクロックの瞬間的なスパイクを観察することで、有効になっているかを確認できます。
Q. セキュリティ的に急いで適用すべきですか? CVE-2026-45657(脅威スコア9.8、カーネルレベルのリモートコード実行)を含む206件の脆弱性が修正されているため、適用は急ぐべき更新と位置付けられます。