「更新がインストール途中で失敗して前のバージョンに戻される」「適用後にインターネットが急に遅くなった」——Microsoftが2026年5月13日に配信したWindows 11向けPatch Tuesday更新「KB5089549」をめぐり、こうした症状の報告が複数のフォーラムで上がっています。Windows Centralは、現時点でMicrosoftがこの問題を公式に認めておらず、Windows リリース正常性ダッシュボードにも該当する既知の問題は掲載されていないと報じています。
KB5089549でロールバックが繰り返される報告
報告はWindows Update経由で更新が配信された直後から、RedditなどのフォーラムでNeowinが取り上げる形で広がりました。影響を受けたシステムでは、インストールが何度試行されても完了せず、前のバージョンへ自動的にロールバックされる現象が起きているとWindows Centralは報じています。
エラー画面には次のようなメッセージが表示されるといいます。
"Something didn't go as planned. No need to worry, undoing changes."
ロールバック自体は安全機構として働くため、デバイスが起動不能になったり、システムが破損したりする深刻な事象は確認されていません。一方でWindows Centralは、最近のPatch Tuesday更新で同様の失敗が繰り返されているという声も挙がっており、特定のハードウェア構成・ドライバー・サービシングコンポーネントとの互換性問題が潜んでいる可能性があると指摘しています。
ネットワーク速度低下の報告も——ただし件数は限定的
もう一つの問題として、Microsoftフォーラムを中心に、更新インストール直後からインターネット速度が低下したという声が出ています。ただし件数は前述のインストール失敗より少なく、ネットワーク機器側やPC側の別要因による可能性もあるため、広範なネットワーク不具合と断定できる証拠は現時点ではないとWindows Centralは伝えています。
主な報告内容は以下のとおりです。
| 報告内容 | 報告状況 | 補足 |
|---|---|---|
| インストール失敗・ロールバック | Redditなど複数フォーラムで報告 | 5月13日配信直後から発生 |
| インストール後の通信速度低下 | Microsoftフォーラムで散発的に報告 | 因果関係は未確定 |
| 起動不能・データ破損 | 報告なし | 重大事象は確認されていない |
繰り返し再試行は逆効果——次の累積更新を待つべき理由
KB5089549のインストールに失敗した場合、Windows 11は通常自動的に前バージョンへ戻ります。その後にWindows Updateから再実行することは可能ですが、Windows Centralの執筆者Mauro Huculak氏は、一度失敗した場合は再試行しても続けて失敗する傾向があると指摘しています。
試せる対処として挙げられているのは次のような手順です。
- SoftwareDistributionキャッシュをクリアする
- Windows Updateトラブルシューターを実行する
- 不要な周辺機器を一時的に取り外して再試行する
- 通信速度低下が見られる場合はネットワークアダプターの再起動やドライバーの再インストールを試す
それでも改善しない場合、Huculak氏は無理に切り分けを続けるよりも次の累積更新を待つ方が現実的だと述べています。またWindows Centralは、報告が広範に拡大しない限り、Microsoftがこの問題を正式に文書化しない可能性があるとの見方も示しています。
すでにKB5089549のインストールに失敗している環境では、無理に繰り返さず様子を見るのが現時点では合理的な判断と言えそうです。
KB5089549で追加された新機能——Xboxモードや2TB FAT32対応も
不具合報告の影に隠れがちですが、KB5089549は4月のオプションプレビューで先行公開された新機能を正式に取り込んだ、機能面でも比較的大きな更新です。KB5089549はXboxモード、File Explorerの改善、ハプティクス、AIタスクバーの監視機能、そして24H2/25H2向けの主要なセキュリティ修正を含みます。
主な新要素
- Xboxモード——PCでコンソール風のフルスクリーン体験を提供し、バックグラウンド処理を抑制
- FAT32フォーマット上限をコマンドライン経由で32GBから2TBへ拡張
- 音声入力UIの刷新——従来の全画面オーバーレイを廃し、ディクテーションキー上にアニメーションを表示
- 「Drag Tray」を「Drop Tray」に改名し、タスクバーにエージェント監視機能を追加
- Arabic 101 Legacyキーボードレイアウトを新規追加
インストールが正常に完了した環境では、これらの新機能が一斉に有効化される点も押さえておきたいところです。
5月更新の裏のミッション——6月のSecure Boot証明書失効への備え
KB5089549の意義は機能追加だけではありません。この更新で最も重要な要素の一つは、報告された失敗そのものではなく、更新が何に向けて準備しているかという点で、Microsoftは大半のWindowsデバイスで使われているSecure Boot証明書が2026年6月から失効し始めると警告しています。
2011年に発行され、2012年から2025年に製造された大半のWindowsデバイスで使われているオリジナルのSecure Boot証明書は2026年6月26日に失効し、期限までに更新証明書を受け取っていないデバイスは翌日からセキュリティ低下状態に入ります。
SecureBootフォルダにはデバイス群をまたいで更新を管理するIT専門家向けのサンプルスクリプトが含まれ、Active Directory環境で証明書更新状態の検出と段階的展開の自動化に利用できます。
KB5089549では、新しいSecure Boot証明書を自動受信できるデバイスのターゲティングデータが拡充され、十分な更新成功シグナルを示したデバイスから段階的に証明書が配信される仕組みです。インストール失敗が長引くと、この証明書ロールアウトから取り残されるリスクも生じます。
Q&A
Q. KB5089549のインストールに失敗するとPCは使えなくなりますか? 現時点では起動不能やシステム破損を引き起こすような深刻な事象は確認されていません。失敗した場合はWindows 11が自動的に前バージョンへロールバックするため、デバイスは引き続き使用できる状態に戻ります。
Q. Microsoftはこの問題を認めていますか? 本記事執筆時点でMicrosoftは公式に問題を認めておらず、Windows リリース正常性ダッシュボードにも関連する既知の問題は掲載されていないとWindows Centralは報じています。
Q. 一度失敗した場合はどうすればよいですか? Windows Centralは、一度失敗した環境で同じ累積更新を繰り返してもさらに失敗する傾向があるとし、次の累積更新の配信を待つことを推奨しています。それまでは無理に再試行せず、必要に応じて前述の切り分け手順を試すのが現実的とされています。
出典
- Windows Central — Windows 11’s May update is causing install failures and slow internet — here’s what we know
- Pureinfotech — KB5089549 (build 26200.8457) for Windows 11 drops as part of the May 2026 update
- The Cyber Express — Microsoft May 2026 Patch Tuesday Fixes 120 Flaws