Amazon CEOのAndy Jassy氏が、Anthropicの「Claude Fable 5」モデルに関するセキュリティ上の懸念を米政府高官に伝えた可能性があるとWSJが報じています。この報告を契機に、米政府はAnthropicの2つのAIモデルに輸出規制を課し、Anthropicはその後、世界向けのアクセスを停止しました。
AnthropicがFable 5とMythos 5へのアクセスを世界規模で停止
米政府は、AnthropicのAIモデル「Claude Fable 5」および「Mythos 5」に対して輸出規制の禁止措置を発動した。これを受けてAnthropicは、この2モデルへの世界向けアクセスを停止している。
Amazonの広報担当者は声明の中で、「政府が潜在的なセキュリティリスクについて当社に助言を求めることは珍しくない」としつつも、「そうした議論の詳細は公開しない」と述べている。また同社は、AWSがこのモデル停止の影響を受けているとも説明した。
Jassy CEOがサイバー攻撃悪用リスクを政府高官に報告か
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、Jassy CEOが財務長官のScott Bessent氏をはじめとする政府関係者に対し、「Amazonの研究者がClaude Fable 5を利用してサイバー攻撃に使用可能な情報を取得した」と伝えたとされる。
The InformationとReutersも同様に、大手Anthropic投資家であるAmazonがAnthropicのモデルのセキュリティについて懸念を政府に伝えたと報じている。ただし、ソース記事の見出しにある「reportedly(報道によると)」が示す通り、Jassy氏が懸念情報の発端であることはあくまで報道ベースの情報であり、Amazonが直接確認したものではない。
トランプ前政権のAI担当者が「ジェイルブレイク拒否」の経緯を独自説明
この問題に関し、元ホワイトハウスAIアドバイザーでトランプ大統領科学技術諮問評議会の共同議長を務めるDavid Sacks氏が独自の説明を行っている。
Sacks氏は「Anthropicと米政府(USG)双方の高い信頼を持つパートナーがジェイルブレイクを報告してきた」と述べたうえで、「政権はAnthropicのCEO Dario Amodei氏に対し、ジェイルブレイクを修正するかモデルの公開を停止するかを求めたが、Dario(Amodei氏)は拒否した」と主張している。
これはSacks氏による一個人の説明であり、Anthropic側の公式見解とは必ずしも一致しない点に注意が必要だ。
Anthropicの反論——問題の能力は他のモデルでも利用可能
Anthropicはブログ投稿の中で、政府が懸念しているとみられるモデルの能力は「すでに一般に公開されている他のモデルでも利用可能だ」と反論している。輸出規制の対象となったFable 5とMythos 5に限った問題ではないとの立場を示しており、今回の措置の実効性に疑問を呈するかたちだ。
今回のアクセス停止はAWSにも影響が及んでいることが確認されており、Amazon・Anthropic間の大型投資関係にあるにもかかわらず、セキュリティ懸念が対外的な規制問題に発展した経緯は、今後のAI安全保障をめぐる議論に大きな示唆を与えている。
現時点では、AnthropicがFable 5・Mythos 5のアクセス再開を予定しているかどうかは明らかになっていない。続報を待ちたい。
Q&A
Q. 今回アクセス停止になったのはどのモデルですか? 「Claude Fable 5」と「Mythos 5」の2モデルです。米政府の輸出規制措置を受け、Anthropicが世界向けのアクセスを停止しました。
Q. AmazonはAnthropicへの投資家であるにもかかわらず、なぜ政府に懸念を報告したのですか? ソース記事ではその理由について詳細は説明されていません。AmazonがAnthropicの主要投資家であることは事実ですが、Amazonの広報担当者は「議論の詳細は公開しない」とのみ述べており、関与の動機や具体的な経緯は確認されていません。