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Microsoftが「Copilot Cowork」でDeepSeek V4採用を検討か——OpenAI・Anthropicの高騰コストから中国製モデルへ

GadgetDrop 編集部8
Microsoftが「Copilot Cowork」でDeepSeek V4採用を検討か——OpenAI・Anthropicの高騰コストから中国製モデルへ

Uberが2026年向けAI予算をわずか4カ月で使い切り、Anthropicでは「Max 5x/Max 20xプランで5時間のスプリント中に週次割当の15%を消費した」と訴える連邦集団訴訟まで起きるなか、Microsoftが企業向けエージェントAI基盤「Copilot Cowork」のモデル選定を抜本的に見直す可能性があると伝えられています。 候補に挙がっているのは、中国DeepSeekの「V4」を自社インフラ上でホストする構想です。OpenAIとAnthropicのトークン課金が高騰し続けるなか、米中対立の真っ只中で踏み込んだ判断となる可能性があります。Wccftechが、Axiosのスクープを引用するかたちで伝えています。

トークン課金の高騰で企業ユーザーが離反——OpenAI・Anthropicから「中国DeepSeek」の懐へ

Copilot Coworkは、Copilotの企業向け機能とOpenAI・Anthropicの先端モデルを組み合わせ、エージェント型ワークフローを動かすためのプラットフォームです。Microsoftはこのサービスを、定額制から「消費トークン量に応じた従量課金(metered architecture)」へ移行する方針を打ち出しており、これがモデル選定見直しの直接の引き金になったと伝えられています。

トークンとはAIモデルが処理するデータの最小単位で、おおむね4文字程度に相当します。入力プロンプトの理解にも出力生成にもトークンが消費され、モデルのコンテキストウィンドウ(作業メモリ)もすべてトークン単位で測られます。エージェント型ワークロードやコーディング用途ではその消費量が想定外に跳ね上がる傾向があるという指摘です。象徴的な事例として、Uberが従業員のAI利用を奨励した結果、2026年向けに確保していたAI予算をわずか4カ月で使い切ったという話も伝えられています。社員の間では、長文プロンプトとエージェントループを使って雑用までAIに任せ、社内のAI利用ランキングを上げる「tokenmaxxing」も広がっているとの情報です。

OpenAIとAnthropicは、エンタープライズプラン料金の引き上げに加え、消費可能なトークン総量に上限を設けるといった制限策も導入しており、企業ユーザーがコスト面で離反しつつあるという見方が示されています。Anthropicについては、Max 5xおよびMax 20xプランで「広告されている使用量を大きく下回る」として、わずか5時間のスプリントで週次割当の15%を消費したと主張するユーザーが2026年6月15日に連邦集団訴訟を提起したとの経緯も併せて取り上げられています(あくまで原告側の主張です)。

APIを叩かずモデルを自前運用——コスト削減とデータガバナンス両取りの構想

報じられている構想では、Microsoftはオープンソースアーキテクチャに基づくDeepSeek V4、あるいは同種のモデルを、自社インフラ上でホストして利用する可能性があるとされます。クラウド側でDeepSeekのAPIを直接叩くのではなく、モデルウェイトを自前環境に置いて運用するという点が重要で、データガバナンス上の懸念をある程度抑えながらコストを下げる狙いがあるとの見方も示されています。

ただし現時点ではあくまで「検討段階」であり、採用が確定したわけではない点には注意が必要です。Wccftechの記事も「possible development」「is considering」「might opt for」といった不確定表現を重ねており、最終的に別のモデルが選ばれる余地も残されているという扱いです。

ホワイトハウスの逆風——中国モデル採用が招きかねない政治リスク

オープンソースであっても、中国製の主要AIモデルを米国最大級のテック企業が基幹サービスに採り入れる動きは、ワシントンで歓迎されない可能性が高いと伝えられています。直近では、ホワイトハウスがAnthropicに対する輸出規制を発動するまでの24時間の間に、Amazon CEOのAndy Jassy氏がFableのジェイルブレイクに関する懸念をトランプ政権に提起し、その翌朝にSean Cairncross氏、Bessent氏、Susie氏らがホワイトハウスで議論を行ったとされています。これを受けてAnthropicはMythos級のFable 5モデルを米国市民以外の全ユーザーから引き上げるよう求められた、との情報です。

一方で、米国モデルの「蒸留(distillation)」を磨き上げてきた中国側プレイヤーから見れば、米メガテックがDeepSeekを正面から採用することは「蒸留元」を絶たれる動きにもなり得る、との見方も示されています。

読者にとっての示唆

Copilot Coworkの利用を検討している企業や、既にMicrosoft 365上でエージェント機能を試している現場にとっては、課金体系の従量化は体感コストに直結します。定額前提で組んでいた月額予算が、トークン消費の多いエージェント用途では一気に跳ね上がる可能性があり、Uberが4カ月で年間予算を蒸発させた事例は他人事ではありません。基盤モデルが自社ホストのDeepSeek V4へ切り替わる場合、ユーザー側から見れば応答スタイルや得意領域が変わる可能性もあり、業務プロンプトの再チューニングが必要になり得ます。現時点ではあくまで報道ベースの「検討」段階であり、Microsoftの公式発表ではない点を踏まえ、続報を待つのが妥当と判断できます。

DeepSeek V4の実力——1Mコンテキストと推論効率がコスト議論を後押し

候補に挙がるDeepSeek V4は、2026年4月24日に公開されたモデル群です。V4-Proは総パラメータ1.6T/アクティブ49B、V4-Flashは総284B/アクティブ13Bという構成で、両モデルとも1Mトークンのコンテキストウィンドウを備えています。ベンチマークと推論効率は次のとおりです。

指標
LiveCodeBench(V4 Pro)93.5
Codeforces ELO(V4 Pro)3206(GPT-5.5は3168)
SWE-bench Verified80.6(Claude Opus 4.7は80.8)
1Mコンテキスト時のFLOPs比(対V3.2)27%
1Mコンテキスト時のKVキャッシュ比(対V3.2)10%
V4 Flash出力スループット100.7 tokens/秒(TTFT 1.42秒)

長文コンテキスト処理時の計算コストとメモリ帯域が大幅に圧縮されている点が、Microsoftがホスティングコスト削減の手段として注目する背景の一つになっています。

Copilot Cowork GA版の中身——Edgeブラウザ操作と管理者ガードレール

Copilot Coworkは2026年6月16日にMicrosoft 365 Copilotテナント向けに全世界で一般提供が開始されました。GA版ではモデル選定とは別軸で、エージェントの実行環境と管理機能が大きく強化されています。

  • Edge経由のブラウザ自動化: エージェントがMicrosoft Edge上でWebサイトをナビゲートし、オンライン情報の収集や反復作業を代行します。
  • 画像生成の委任: 委任プロジェクト内でカスタム画像生成も実行できます。
  • 隔離コンテナ実行: ユーザー個人のブラウザプロファイルに触れない専用コンテナで動作し、通信はテナントが構成したMicrosoft Defender for Cloudポリシー経由でルーティングされます。
  • 管理者ガードレール: IT管理者は支出上限の設定、利用可能モデルの制限、エージェントの全アクションの監査が可能です。
  • 第三者プラグイン: Miro、Monday.com、金融データプラットフォーム等への接続が用意されています。

クローズドベータには200超の組織が参加し、78%のユーザーが週5時間以上、42%が週10時間以上の時間削減を報告したとされています。

Q&A

Q. Microsoftは本当にOpenAI・Anthropicの利用をやめるのですか? 伝えられているのは、Copilot Cowork向けにDeepSeek V4などを自社ホストで採用する「選択肢を検討している」段階であり、OpenAI・Anthropicからの全面撤退が決まったわけではありません。

Q. Copilot Coworkの課金は具体的にどう変わるのですか? 定額制から、消費トークン量に応じて支払う従量課金(metered architecture)へ移行する方針だとされています。エージェント用途やコーディングでトークン消費が想定外に膨らみやすい点を踏まえると、利用パターンによって請求額の振れ幅が大きくなり得ると読み取れます。

Q. 政治的に問題にはならないのですか? ワシントンでは反発が予想されるという見方が報じられています。直近ではAnthropicがFable 5モデルを米国市民以外から引き上げるよう求められたとされており、中国モデルの採用は規制当局との緊張を高める可能性があります。

出典

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