1983年に当時の価格で9,995ドル(現在換算で約34,000ドル)という高値で発売され、商業的には失敗に終わったApple Lisaが、FPGAボードによって現代に蘇ろうとしています。YouTuberのAlex Anderson-McLeod氏が開発した「LisaFPGA」は、オリジナルを忠実に再現しながら現代のハードウェアで大幅に使いやすくした意欲作です。Tom's Hardwareが伝えています。
LisaFPGAとは何か——HDMI出力・USB対応・75MHz相当で動く現代版Lisa
Anderson-McLeod氏が設計したLisaFPGAは、Artix 7-100T FPGAをコアに据え、2MBのSRAMとエミュレートされたハードドライブ・フロッピー・シリアルポートを搭載した一枚基板のシステムです。
オリジナルのLisaはMotorola 68000の5MHzバリアントを採用しており、ソフトウェア設計の選択も相まって当時でも動作が遅いと評されていました。LisaFPGAではこの点を踏まえ、物理スイッチでオンザフライに切り替えられる2段階のオーバークロック機能を搭載。最大で75MHz相当まで引き上げることが可能です。
映像出力はHDMIにネイティブ対応しており、ビデオコンバーターが不要です。スキャンラインオプションも用意され、2つのメインビデオモードはオンザフライで切り替えられます。入力デバイスについては、オリジナル仕様のコネクタを備えつつUSBポートも搭載しているため、現代のキーボードやマウスをそのまま使えます。シリアルポートはUSBハブを介してUSB-Cコネクタにリダイレクト可能で、かさばるDB25コネクタやUSB-シリアル変換アダプターを用意する必要がありません。フロッピーイメージはSDカード、PC直接接続、またはオリジナルのフロッピードライブから読み込めます。
9,995ドルで失敗した伝説機——なぜLisaはMacより重要なのか
多くの人がAppleのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の歴史はMacintoshから始まったと思いがちですが、実際には1983年のLisaが先駆けです。ウィンドウシステムとマウス操作を一般向けに提供した最初のコンピュータであり、当時の価格9,995ドルは現在換算で約34,000ドルに相当します。
ただし、その価格と限られたソフトウェアの選択肢から商業的には失敗とみなされ、売れ残った2,700台がユタ州ローガンに廃棄されるという不名誉な最期を迎えました。翌1984年に登場した2,459ドルのMacintoshがGUIを世界に広めることになりますが、LisaはそのMacintoshの礎を築いた存在です。
なお、GUIもマウスも発明したのはAppleではありません。GUIはXeroxのPARC研究所が開発し、マウスは1963年にスタンフォード研究所で設計されたものです。GUIとマウスを両方搭載した最初のコンピュータは、1981年に16,595ドル(現在換算で約60,000ドル)で販売されたXerox Star 8010ワークステーションです。
オープンソース公開と販売を検討中——今月のイベントでも発表予定
動画で紹介されているのはバージョン2ですが、Anderson-McLeod氏はいくつかの修正を加えたバージョン3を近日中にリリースする予定だと述べています。プロジェクトは準備が整い次第GitHubで完全オープンソース化される予定であり、クローンの販売も検討中だとTom's Hardwareは報じています。また、今月後半に開催されるVintage Computer Festival Southwestでこのプロジェクトについて発表を行う予定です。
Q&A
Q. LisaFPGAはいつ入手できますか? 現時点では、Anderson-McLeod氏がGitHubでのオープンソース公開を準備中であり、クローンの販売も検討中と報じられています。具体的な時期は明らかにされていませんが、バージョン3のリリースが近日中に予定されており、その後に公開される見込みです。
Q. 既存のApple Lisaエミュレーターとの違いは何ですか? LisaFPGAはソフトウェアエミュレーターではなく、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を使ったハードウェアレベルの再現です。HDMI出力のネイティブ対応、USB接続のキーボード・マウスサポート、SDカードからのフロッピーイメージ読み込み、そして最大75MHz相当のオーバークロック機能など、実機を超えた現代的な利便性を備えています。
Q. Apple LisaはMacintoshとどう違うのですか? LisaはMacintoshより1年早い1983年に発売されたGUI搭載コンピュータですが、9,995ドルという高価格とソフトウェア不足から商業的に失敗しました。翌1984年に2,459ドルで登場したMacintoshがGUIを世界に普及させることになります。