GadgetDrop
ウェアラブル注目

2027年のApple WatchにLG Displayの新型OLED「HMO」採用か——LTPO後継で省電力化の可能性

GadgetDrop 編集部5
2027年のApple WatchにLG Displayの新型OLED「HMO」採用か——LTPO後継で省電力化の可能性

電子移動度を引き上げ、Apple Watchの省電力化につながり得る新型ディスプレイ基板が議論の俎上に上がっています。韓国メディアThe Elecによると、2027年のApple Watchに新型のOLED駆動基板技術が採用される可能性があると報じられています。LG Displayが開発を進めている「HMO(high-mobility oxide)」と呼ばれる酸化物TFT技術で、現行のLTPOに代わる省電力ディスプレイ基盤の候補と位置づけられているとされます。MacRumorsが同報道を取り上げました。

電子移動度の引き上げで、LTPOを置き換える新基板へ

HMOはLG Displayが第6世代の中小型OLED生産ラインに向けて開発している、高移動度の酸化物薄膜トランジスタ(TFT)技術です。Apple Watch・iPhoneの常時表示機能や可変リフレッシュレートを実現している現行のLTPO(低温多結晶酸化物)の後継として、Appleが次世代候補に位置づけていると報じられています。

カギを握るのは「電子移動度」の引き上げです。ざっくり言えば「電子が動きやすい=同じ明るさをより少ない電力で出せる」という指標で、電界をかけた際にトランジスタ材料中を電子がどれだけ滑らかに動くかを示します。OLEDパネルを低消費電力で駆動するうえで重要な性能です。

項目数値
現行の量産酸化物TFTの移動度10 cm²/Vs未満
次世代OLED向けの業界目標値30〜50 cm²/Vs

The Elecによれば、現行は10 cm²/Vs未満であり、業界は次世代OLED向けに30〜50 cm²/Vsを目標としているとされています。この差が実現すれば、同じ表示性能をより少ない電力で駆動できる可能性があります。ウェアラブルのようにバッテリー容量が限られる製品ほど、得られる恩恵は大きくなります。

LG Displayは「スパッタリング」、Samsungは「ALD」で別アプローチ

注目すべきは、サプライヤー2社が異なる製造手法を選んでいる点です。

  • LG Display: 既存ラインへの導入が容易とされる「スパッタリング」プロセスを採用
  • Samsung Display: 「ALD(原子層堆積)」と呼ばれる、原子層を1層ずつ積み上げる手法を追求

ALDは成膜が遅い一方で、HMOよりも精密に制御された酸化物トランジスタ層を作ることを狙っている可能性があるとThe Elecは伝えています。製造速度を取るか緻密さを取るか、サプライヤー2社の技術路線が分かれているかたちです。

2027年Apple Watchが「初採用」候補に

The Elecの報道では、LG DisplayのHMOを最初に搭載する製品として2027年のApple Watchが挙げられています。Appleは過去にも、新しいディスプレイ駆動技術をまずApple Watchで投入し、その後iPhoneのような大量生産品に拡大してきた経緯があり、今回も同じ流れになる可能性があります。

2027年の論点:駆動技術の世代交代

  • HMOによる電子移動度の引き上げで、省電力性が向上する可能性
  • LG Displayは量産化に向けて、移動度・均一性・信頼性・プロセス温度・歩留まりの検証を完了させる必要があり、商用採用は現時点では確定していない

2028年の論点:本体デザインの刷新

  • 今年のApple Watchラインナップに大幅なデザイン変更は含まれないと報じられている
  • 本体デザインの刷新は2028年より前には起こりにくいと伝えられている

これらの報道は、Apple Watchが2027年により省電力なOLED技術を採用する可能性を必ずしも排除するものではないと伝えられています。

現時点で分かっていること

現時点ではHMOの量産化検証が完了しておらず、Apple側の正式な採用判断も明らかになっていません。LG Displayは量産前に移動度・均一性・信頼性・プロセス温度・歩留まりの検証を完了させる必要があり、商用採用は保証されていないと報じられています。続報を待ちたいところです。

Q&A

Q. HMOが採用されるとApple Watchはどう変わる可能性がありますか? The Elecによれば、現行の量産酸化物TFTの移動度は10 cm²/Vs未満で、業界は次世代OLED向けに30〜50 cm²/Vsを目標としているとされています。引き上げが実現すれば、OLEDパネルをより低い電力で駆動できる可能性があり、常時表示や可変リフレッシュレートを使う際のバッテリー消費低減につながり得ます。

Q. 2027年モデルではデザインも刷新されますか? デザインの本格刷新は2028年より前には起こりにくいと報じられています。一方で、これらの報道はApple Watchが2027年により省電力なOLED技術を採用する可能性を必ずしも排除するものではないとされています。

Q. HMOの採用はどの段階で確定するのですか? The Elecによると、LG Displayが量産前に移動度・均一性・信頼性・プロセス温度・歩留まりの検証を完了させる必要があり、これらをクリアして初めて商用採用の判断材料が揃うとされています。Appleが過去に新しい駆動技術をまずApple Watchで投入してきた経緯を踏まえると、最終的な可否はサプライヤー側の量産検証完了とAppleの採用判断という二段階で固まっていく流れと読めます。現時点では商用採用は保証されていないと伝えられています。

出典

ポストLINEで送るはてブ
GD

GadgetDrop 編集部

スマホ・PC・AI・XRなど幅広いテクノロジーを、スペックの行間まで読む視点で解説します。速報から深掘り分析まで、テック選びと業界理解に役立つ情報をお届けしています。