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Bastl Kalimbaは「親指ピアノの形をしたシンセ」——Kickstarterで70万ドル超を集めた異色の電子楽器

GadgetDrop 編集部6
Bastl Kalimbaは「親指ピアノの形をしたシンセ」——Kickstarterで70万ドル超を集めた異色の電子楽器

Kickstarterで70万ドル超を調達、開発期間3年以上——音楽機材メーカーBastl Instrumentsが手がける「Bastl Kalimba」は、親指ピアノ「カリンバ」の形をしたシンセサイザーという、ジャンルに収めにくい異色の電子楽器です。「弾く・触れる・叩く・傾ける」という4つの操作で音を操れる、実験的な一台が登場しました。

見た目はカリンバ、中身は本格シンセ

Bastl Kalimbaは外観こそアフリカ発祥の親指ピアノ「カリンバ」そのものですが、音を出しているのはタイン(金属棒)ではなくシンセエンジンです。タイン自体はほとんど音を発さず、内部マイクで生音をわずかにブレンドできる程度。実際にはタッチとベロシティに反応するトリガーとして機能し、物理モデリングとFMを組み合わせた音源を駆動します。

カリンバらしいプラッキー(弦をはじいたような硬めのアタック)な音色も再現できますが、シンセならではのパッドサウンド(持続的で柔らかい音色)まで幅広くカバーします。生楽器のフリをした電子楽器、というよりは「カリンバ型のインターフェースを持つ実験的なシンセ」と捉えたほうが正確です。

タッチパッドと加速度センサーで音色を操る

本機の最大の特徴は、本体前面のタッチパッドと上面のプログラマブルタッチポイントによる音色コントロールです。

  • ノートグライド:タッチパッドで音程を滑らかに変化させる
  • SoilとWind:Bastlが独自に名付けたエフェクトで、本体の加速度センサーと連動して音色を変化させる
  • プログラマブルタッチポイント:上面の2つのタッチポイントに、ピッチベンドからリバーブのサイズまで、ほぼ任意のパラメーターを割り当て可能

エフェクト類も充実しています。ディレイ・リバーブといった空間系に加え、ディストーション、ビットクラッシャー(音をデジタル的に荒らす効果)、テープエミュレーションまで内蔵。マルチモードのハイ/ローパスフィルターと簡易アルペジエーターも搭載されています。

ルーパーも単なる録音再生ではなく、タイムストレッチ、リバース、エフェクトを通した再録音による破壊的加工に対応しています。

Kickstarterで70万ドル超——量産前の需要調査の可能性も

Bastl Instrumentsは現在、Kalimbaの初回ロット向けにKickstarterキャンペーンを実施中で、すでに70万ドル以上を集めています。

クラウドファンディング製品には「届かないリスク」が付きものですが、The Vergeによれば、Bastl Instrumentsは風変わりな音楽機材を量産規模で出荷してきた実績のある企業です。同社はKalimbaを「これまでで最も困難な製品の1つ」と表現しており、開発には3年以上を費やしたとされています。The Vergeは、本格量産に踏み切る前に需要を見極めている可能性もあると報じています。なお、The VergeはBastlにコメントを求めていますが、現時点で回答は得られていません。

シンセ好き・実験音楽好きにとっては、形状からして他に類を見ない一台です。「親指ピアノのフリをしたシンセ」という発想自体に惹かれる人は、まずはKickstarterのキャンペーンページで最新の出荷予定や支援プランを確認してみてはいかがでしょうか。

スペック詳細と出荷スケジュール——初回1,500台、2026年12月から

Kickstarterのリターン構成と出荷計画が、複数の海外メディアで報じられています。

項目内容
Kickstarter期間2026年5月7日〜6月6日
価格(出資)スーパーアーリーバード389ユーロ〜
小売価格(予定)550ユーロ以上に上昇予定
初回ロット1,500台、2026年12月出荷予定。需要超過時は2027年初頭に最大750台の追加ロット
本体サイズ・重量144×95×50mm、310g

音源部は12本のベロシティ/タッチ対応タインが、内蔵の6ボイス・シンセエンジンを駆動する構成です。接続面ではステレオ3.5mm出力(チャンネル当たり150mW)、TRS MIDI入出力(Type A)、アナログクロック入出力、USB-C MIDIを搭載しており、充電池駆動で内蔵スピーカーも備えています。携帯性と入出力の充実度を両立させたハンドヘルド設計といえます。

Superbooth 2026とBastl Instrumentsという会社

Bastl Kalimbaは、ベルリンで開催されるシンセの祭典Superbooth 2026の会場、ブースO385で実機デモが行われています。

類似コンセプトの先行例

2026年初頭には、KORG BerlinのTatsuya Takahashi氏が開発した「Phase8」もカリンバ型アコースティックシンセとして登場しています。

カリンバの形状をシンセに取り込むアプローチは、Kalimba単独のものではなく、複数のメーカーが模索している領域だと位置づけられます。

Bastl Instruments自体については、チェコ・ブルノを拠点とする電子楽器メーカーで、2013年にVáclav PeloušekとOndřej Mertaによって設立されました。これまでにKastle、Softpop 2、Thyme+、Kastle 2 Alchemistといった製品をリリースしてきた背景があり、ポータブルシンセやモジュラー系の領域で独自の存在感を築いてきたメーカーです。

Q&A

Q. Bastl Kalimbaは本物のカリンバとして演奏できますか? タイン自体はほとんど音を出さず、内部マイクで生音を少しブレンドできる程度です。基本的にはタインをタッチ&ベロシティ対応のトリガーとして使い、内蔵シンセエンジンが音を生成します。

Q. どんな音が出せますか? 物理モデリングとFMを組み合わせた音源により、プラック系(はじくような音)からパッド系(持続音)まで幅広い音色をカバーします。ディレイ・リバーブ・ディストーション・ビットクラッシャー・テープエミュレーション、フィルター、アルペジエーター、タイムストレッチ対応のルーパーも内蔵しています。

Q. いつ手に入りますか? 具体的な出荷時期はソース記事には明記されていません。現時点ではKickstarterで初回ロットを募集中のため、最新の出荷予定や支援条件はKickstarterのキャンペーンページで直接確認することをおすすめします。

出典

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