ニュースレタープラットフォームの先駆けとして知られるSubstackから、人気書き手の流出が加速しています。年間プラットフォーム費用を$4,968から$2,052へと半減させ、購読者を22%伸ばした事例も報じられており、移行先となっているのはGhostやBeehiivなど、一般読者にはまだなじみの薄いプラットフォームです。
「Substack税」とは何か——人気パブリケーションの離脱が相次ぐ
The Vergeによれば、Substack上で人気を集めていたThe Anklerが先月、より自社サイトのコントロール権を得られるプラットフォームへ移行しました。同様の動きはここ1年で複数確認されており、書き手たちが共通して挙げる不満は次の2点です。
- プラットフォームがソーシャル機能の強化に傾斜していること
- 収益を圧迫する料金モデル(書き手の間で「Substack税」と呼ばれている構造)
Substackは2024年にも、ナチス系ニュースレターをプラットフォーム上で容認する姿勢を巡って書き手の流出に直面しました。The Vergeは、今回の動きについてはヘイトスピーチへの方針だけが理由ではなく、料金モデルとソーシャル機能偏重を含むプラットフォーム戦略への不満が複合的に絡んでおり、新たな離脱の波の背景にあると伝えています。
年間コストが半減した事例——The Rose Garden Reportのケース
NBA関連のニュースレターThe Rose Garden Reportを運営するSean Highkin氏は、昨年4月にSubstackからGhostへ移行しました。同氏はThe Vergeに対し、移行後に「大幅に収益が増えた」と語っています。
| 項目 | Substack時代 | Ghost + Outpost |
|---|---|---|
| 年間プラットフォーム費用 | $4,968 | $2,052 |
費用面に加え、購読者ベースも2024年末から22%増えたとHighkin氏は説明しています。Substack時代の経験については、次のように振り返っています。
参加した当初、Substackは私を大きく後押ししてフィーチャーし、多くのトラフィックを送ってくれた。それが順調な成長につながった。しかし「新しく獲得した目玉タレント」ではなくなった途端、フィーチャーされなくなり、成長は停滞した。
プラットフォーム側のプロモーションに依存した成長モデルが続かないという構造的な課題が浮かび上がっています。
Beehiivへの移行組も——Extra Pointsの事例
Beehiivへ移った書き手も同様の傾向を示しています。購読者71,000人を抱えるExtra Pointsの運営者Matt Brown氏は、2021年にSubstackを離脱し、最終的にBeehiivに落ち着きました。同氏は移行によって年間で数千ドル単位のコストを節約していると報じられていますが、具体的な金額はソース記事では明示されていません。
GhostやBeehiivは、Substackほどブランド認知は高くないものの、収益の取り分や運営の自由度を重視する書き手にとって現実的な選択肢になりつつあると報じられています。
プラットフォーム依存は危険か
The Vergeの報道で浮かび上がるのは、プラットフォームのプロモーション露出に依存した成長は、運営側の方針転換やフィーチャー終了で簡単に止まってしまう可能性があるという点です。Highkin氏の証言も、まさにその構造を裏付けています。
書き手にとっては、購読者基盤を築いたあとに料金モデルや運営方針が変わるリスクと、移行コストとを天秤にかけることが現実的な検討事項になりつつあるといえそうです。
移行先Beehiivの2026年新機能——ウェビナー・ポッドキャスト対応で「全部入り」化
Beehiivは2026年4月、書き手の活動領域を一気に広げる新機能群を発表しました。新機能にはウェビナー、ポッドキャスト向けAI分析、メータード・ペイウォール、有料トライアルが含まれます。
主な追加機能
- ウェビナー: 最大1,000人までのライブイベントをBeehiiv内で直接開催でき、動画・画面共有・チャットに対応。複数通貨で課金するか、無料提供でオーディエンス拡大に使うことも可能です。
- メータード・ペイウォール: サブスク勧誘前に公開する記事数(1本〜10本など)を設定でき、リセット周期も日次・週次・月次・年次・なしから選択できます。
- ポッドキャスト: 2026年4月にネイティブのポッドキャストホスティングを開始し、クリエイター収益から0%しか徴収しません。Patreonの8〜12%、Substackの10%(音声コンテンツ含む)に対する直接的な競合となります。
導入効果も出ており、既存ユーザーの50%が既存ポッドキャストをBeehiivへ移行し、25%が新規ポッドキャストを立ち上げたと報告されています。
Ghostの料金体系と技術的トレードオフ——「0%手数料」の裏側
Ghostへの移行で年間費用が半減した事例は印象的ですが、料金プランと運用上の前提条件も理解しておく価値があります。利用者にはThe Lever、404 Media、Platformerなどの著名パブリケーションが名を連ねています。
| プラン | 月額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Self-hosted | 無料 | MITライセンスのオープンソース |
| Starter | $9 | 500メンバーまで |
| Creator | $25 | カスタムテーマ・1,000メンバー |
| Team | $50 | 複数スタッフ対応 |
| Business | $199 | 大規模向け |
ただし注意点もあります。セルフホストの場合はMailgunなどメール配信を自前で設定する必要があり、到達率も自己責任になります。決済面でもメンバーシップはすべてStripe経由で処理されるため、Stripeが使えない国のクリエイターは利用が制限されます。テーマやレイアウト変更にはHTML・CSS・Handlebarsテンプレートの知識が必要になります。0%手数料という魅力の裏で、技術的な参入障壁が残っているのが実情です。
Q&A
Q. 「Substack税」とは具体的に何を指しますか? 書き手の間で使われている呼称で、Substackの料金モデルがクリエイターの収益を圧迫している状況を指します。報道では、GhostやBeehiivへ移行することで年間コストを半分以下に抑えた事例が紹介されています。
Q. GhostとBeehiivはどちらが良いのですか? 今回の報道では両プラットフォームの直接比較はされていません。Sean Highkin氏はGhost+Outpostで年間$2,052、Matt Brown氏はBeehiivで運用しており、いずれもSubstackより低コストで運営できていると報じられています。
Q. Substackは今後どうなりそうですか? 現時点で公表されている情報の範囲では、Substackの今後の方針変更は確認されていません。本稿はThe Vergeの報道時点の情報に基づくものであり、詳細は出典元を参照してください。