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Euro-OfficeがMicrosoftと戦うどころか問題を悪化させている——約7,000ページ仕様のOOXMLを既定採用する矛盾

GadgetDrop 編集部7
Euro-OfficeがMicrosoftと戦うどころか問題を悪化させている——約7,000ページ仕様のOOXMLを既定採用する矛盾

欧州が「デジタル主権」を掲げてオープンソースソフトへの移行を進めるなか、新興のオフィススイート「Euro-Office」が逆に問題を悪化させているとXDA Developersが報じました。最大の争点は、約7,000ページにも及ぶ仕様を持つMicrosoft管理下のOOXMLを、Euro-Officeがデフォルトの保存形式として採用している点です。オープンソースを名乗りながら事実上Microsoftの標準を温存しているとして、批判の的になっています。

OpenOfficeもLibreOfficeも怒っている

Euro-Officeは登場直後から波紋を呼びました。まずOpenOfficeが「Euro-Officeは自分たちのコードをライセンス無しで利用している」と非難。続いてLibreOfficeも公式に異議を唱え、Euro-Officeは「オープンソースとしての評価や利益だけを得ようとし、FOSS(フリー/オープンソースソフトウェア)の伝統を十分に踏襲していない」と批判しています。

ソースコードを開示しているという一点だけでEuro-Officeを「Microsoftに対抗する味方」と捉えるのは早計だ、というのが両プロジェクトの立場です。

問題は約7,000ページ仕様のOOXMLを既定採用したこと

LibreOfficeが最も強く問題視しているのは、Euro-Officeがドキュメントを既定でOOXML形式に保存する点です。OOXMLはMicrosoftが管理する仕様で、その仕様書は約7,000ページにも及びます。仕様が膨大であるがゆえに、他のアプリが正しく読み込み・解釈することが極めて難しくなっている、とLibreOfficeは指摘します。

LibreOfficeは、オープンソースであること自体はデジタル主権に向けた前進だとしながらも、OOXMLをデフォルトでサポートする限り、それは結果的にMicrosoftが築いた標準を強化することになり、デジタル主権の達成にはつながらないと述べています。本来であれば欧州の企業や行政機関がMicrosoftの支配から脱する受け皿になり得たはずが、逆にMicrosoftの土俵を温存する役割を果たしてしまっている、という指摘です。

互換性と既定形式は別問題

XDAは、LibreOffice自身も「オープンソースアプリがOOXMLと互換性を持つこと自体は否定していない」と整理しています。既存のWordファイルなどを開けないオフィススイートでは、ユーザーは結局プロプライエタリなソフトに縛られたままになるためです。

問題はあくまで「既定で何の形式に保存するか」です。Euro-OfficeがMicrosoftの作った形式を初期設定として採用している以上、デジタル主権を旗印に掲げながらMicrosoftが作り上げたエコシステムを再生産しているに過ぎない、というのが批判の骨子です。

「オープンソースだから善」とは限らない

XDAはFedoraとRed Hatの関係にも触れています。Fedoraは無償でオープンソースとして配布されている一方、所有元のRed Hatが同じ技術を企業向けに販売しているため、Red Hatのビジネスに抵抗感を持ち利用を避ける人もいるといいます。

オープンソースだからといって、その背後にいる開発者・組織が必ずしも利用者と同じ価値観を共有しているとは限らない——これがEuro-Officeの一件から読み取れる教訓だとXDAは結んでいます。

XDAによる比較の整理

XDAは別記事で「Euro-Officeはまだ動作させること自体に難があり、LibreOfficeが依然として越えるべき基準だ」と整理しています。オープンソースであることだけを基準にオフィススイートを選ぶと、結果的にOOXMLというMicrosoftの土俵に留まり続ける可能性があるという点が、今回の議論の核心です。

Euro-Office 1.0 の出自と狙い

Euro-Office 1.0 は 2026年6月9日にローンチされた、ONLYOFFICE をベースとする AGPL ライセンスのフォークです。プロジェクトには Nextcloud、IONOS、Proton が支援企業として参加しており、Microsoft 365 と Google Workspace の代替を狙う立て付けになっています。

公表されている主な特徴

  • ONLYOFFICE をベースとする AGPL ライセンスのフォークとして提供されています
  • Nextcloud、IONOS、Proton が支援企業として名を連ねています
  • エンドツーエンド暗号化とクラウド統合機能を備えています
  • Microsoft 365 および Google Workspace の代替を目指しています

ゼロから書き起こされたスイートではなく既存 OSS のフォークとして登場した点、そして Microsoft 365 / Google Workspace の代替を明確に標榜している点が、OOXML 既定採用をめぐる論争の出発点になっています。支援企業の顔ぶれと AGPL の選択は、欧州側で進む脱 Microsoft の議論と直接結びつく構図になっています。

ドイツのODF必須化とEU全体の文脈

Euro-Office 批判の背景には、欧州側で ODF(OpenDocument Format)を制度的に押し上げる動きが進んでいる事情があります。The Document Foundation が 2026年3月20日付のブログで発表したところによれば、ドイツの IT-Planungsrat が ODF を公式文書交換の必須形式とすることを正式決定しました。

Germany's IT-Planungsrat has made ODF mandatory, with the official decision published in March 2026. The German Deutschland-Stack has made it mandatory, and the EU Commission has approved it.

ODF は Deutschland-Stack の構成要素としても必須化され、EU 委員会もこの方針を承認しています。行政側が ODF を必須化していく流れのなかで、OOXML を既定とする Euro-Office の設計判断は、政策の進む方向と逆行しているとの批判を受けやすい状況になっています。

Q&A

Q. Euro-Officeはオープンソースなのに、なぜ問題視されているのですか? ソースコードを公開しているものの、ドキュメントの既定保存形式にMicrosoft管理のOOXMLを採用しているためです。LibreOfficeは、これではデジタル主権の達成につながらず、むしろMicrosoftの標準を強化していると批判しています。

Q. OOXMLとの互換性自体が悪いのですか? 互換性自体は否定されていません。既存ファイルを開けないと利用者がプロプライエタリ製品に縛られるため、読み込み対応は必要だとされています。問題視されているのは「既定で保存する形式」にOOXMLを選んでいる点です。

Q. Euro-Officeの今後について公表されている情報はありますか? 現時点で、デフォルト保存形式の変更やOpenOfficeとのライセンス問題への対応に関する具体的な方針は明らかにされていません。詳細は出典元を参照してください。

Q. 今すぐ業務で使うべきですか? XDAは別記事でEuro-Officeは動作させること自体に苦労する状況だと指摘しており、現時点で業務利用を急ぐ理由は乏しい状況です。XDAの整理では、LibreOfficeが依然として比較の基準として挙げられています。

出典

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