Xbox生みの親Seamus Blackley氏が「彼女の仕事はXboxを静かに看取る緩和ケア医のようなものになるだろう」と評した新CEO Asha Sharma氏。その就任から最初の100日が経過し、いまCompulsion・Double Fine・Ninja Theoryを含む複数スタジオがシャットダウン回避のためバイアウト交渉中と報じられ、さらなる大規模レイオフが迫っています。アナリストJoost van Dreunen氏は「これこそ彼女が雇われた本当の仕事だ」と指摘。Wccftechが2026年6月16日付で報じました。
「次の100日はXboxを鍛え直すこと」——van Dreunen氏の見立て
業界ベテランのアナリストJoost van Dreunen氏は、自身のニュースレター「SuperJoost Playlist」の最新号『Sharma's next 100 days』で、就任から最初の100日を経たSharma氏の今後の役割を率直に評しています。Wccftechは、van Dreunen氏が「Xboxが大きくなりすぎたため、それを小さくすること(making Xbox smaller, as it had grown too much)」がSharma氏の本来の任務だと位置づけている、と地の文で整理しています。
van Dreunen氏自身の引用は次の通りです。
「最初の100日を経て、Sharmaはいま本当に雇われた仕事に取り掛かろうとしている。それはXboxを鍛え直すこと(whip Xbox back into shape)だ」
van Dreunen氏は現在のゲーム業界を「コンテンツサイクル」ではなく「ディスラプション(破壊)サイクル」にあると位置づけています。前者がヒット作を生む企業を報いるのに対し、後者は製品や開発プロセスをより安価かつアクセスしやすくできる企業に有利だという見立てです。その文脈で、ここ数年にわたり定期的に繰り返されている大規模レイオフは避けて通れないと整理しています。
「Phil Spencer時代と変わらない」——ファンの評価が反転
Sharma氏は就任直後の最初の100日で、Game Passの値下げ、コンソールハードウェアの再強化、独占タイトルの回帰など矢継ぎ早に動き、その透明性と決断の早さで一度はXboxファンから称賛されました。
しかし複数スタジオの閉鎖が報じられ、さらなる大規模レイオフが迫る現状では、前任Phil Spencer氏の時代と変わらないとの見方が広がっています。Wccftechの関連報道では、Compulsion・Double Fine・Ninja Theoryをはじめとする「複数のスタジオ」がシャットダウン回避のためのバイアウト交渉を行っていると報じられています。
Xbox生みの親であるSeamus Blackley氏は、Sharma氏のCEO就任が発表された際、その役割を次のように表現していました。
「彼女の仕事は、Xboxを静かに看取る緩和ケア医のようなものになるだろう」
最初の100日はこうした懸念を払拭するためのものだった——しかし今回のレイオフはその努力に冷や水を浴びせる結果になった、とWccftechは整理しています。
So What? Xboxユーザーへの含意
今回の動きは、Game Pass値下げや独占回帰といったユーザー寄りの施策と、コスト圧縮・組織縮小という事業側の要請が同じ経営の表裏であることを示しています。バイアウト交渉中とされるCompulsion・Double Fine・Ninja Theoryなどのスタジオの去就は、今後の独占タイトル供給に直結し得る論点であり、Game Pass値下げを支える原資や、ハード戦略の優先順位にも影響する可能性があります。いずれも現時点では報道ベースの観測であり、確定情報ではありません。
Microsoftの方針:「25年投資した、次は自立する番」
Sharma氏自身、Xbox部門全体に宛てた最近のメッセージで、Xboxビジネスが健全な状態にないことを率直に認めています。一方で、Microsoftほどの規模の企業がキャッシュに困っていると信じる人はいないだろうとWccftechは指摘しています。経営陣がその気になれば全員を雇用し続けることもでき、それでもXboxはMicrosoft全体の営業予算にほとんど影響しない規模にとどまるとされています。
ただし、Microsoft CEOのSatya Nadella氏は方針を明確にしています。Xbox部門の最初の25年間で親会社は十分に投資してきた、これからは自立して持続可能な事業にならなければならない、という立場です。
なお、ゲームを実際に作る才能ある人材を失うことは、Microsoftが掲げる「Xboxの長期的成功」への道とは言えない、とWccftechは記事末尾で示唆しています(原文は文の途中で途切れており、結論は明示されていません)。
続報の見方
スタジオ閉鎖やバイアウト交渉については現時点で報道ベースの情報であり、Microsoftからの公式確定はありません。van Dreunen氏の見立てもアナリストの分析であり、Sharma氏が「次の100日」で実際にどのような施策を打つかは公式発表を待つ必要があります。
バイアウト交渉中スタジオの個別事情——Ninja Theoryは閉鎖通告済み
報じられている3スタジオは状況が一様ではなく、温度差があります。
- Ninja Theory: Xbox Games Showcaseで新作を発表してから9日後に閉鎖を通告されており、ショーケース直後のタイミングで開発陣への情報共有のあり方をめぐる議論にもつながっています。
- Double Fine: Microsoftから独立して運営を続けるため、マネジメントバイアウト(経営陣による買収)を通じた離脱の道を模索していると報じられています。
- Compulsion Games: Double Fineと同様に独立スタジオとしてスピンオフする方向で交渉が進められているとされています。
Wccftechは2026年6月16日について、Xboxファーストパーティ史上「最も集中した単日の縮小」と位置づけています。ショーケースで新作を披露した直後の閉鎖通告という流れは、買い手探しのタイムラインが極めて短いことも意味しており、3スタジオの独立後の体力やIP継承条件が今後の焦点となります。
Game Pass値下げの背景——50%値上げと数百万人離脱
Sharma氏が打ち出したGame Pass Ultimateの値下げは、その前段にある急激な値上げと加入者離脱を踏まえたものです。経緯を整理すると次の通りです。
| 時期 | Game Pass Ultimate月額 | 出来事 |
|---|---|---|
| 2025年10月以前 | $19.99 | 既存価格 |
| 2025年10月 | $29.99 | 50%値上げ、強い反発を招く |
| 2026年(Sharma氏就任後) | $22.99 | 値下げと同時に今後のCall of Duty新作のday-oneアクセスを除外 |
値上げ後に「数百万人」のサブスクライバーが離脱したことを、XboxのCSOが公式に認めています。Sharma氏は値下げ施策と引き換えに、今後のCall of Duty新作のday-oneアクセスを対象外とする線引きを行い、原資面の調整を図っています。値下げ後についてSharma氏は5月に「acquisitionsは成長し、retentionも改善している」とコメントしており、短期的には反転の兆しが出ているとされています。
Q&A
Q. なぜアナリストはレイオフを「Sharma氏が雇われた本当の仕事」と表現するのですか? van Dreunen氏は、業界がヒット作を競う「コンテンツサイクル」から、より安価でアクセスしやすい製品・プロセスを作れる企業が報われる「ディスラプションサイクル」に移行していると分析しています。その文脈で、肥大化したXboxを縮小し鍛え直すことが、もともとSharma氏に期待された役割だという見立てです。
Q. 閉鎖が報じられているスタジオはどこですか? Wccftechの関連報道として、Compulsion・Double Fine・Ninja Theoryに加え「複数のスタジオ」がシャットダウンを避けるためバイアウト交渉中だと伝えられています。いずれも報道段階の情報で、Microsoftの公式確認は出ていません。
Q. Microsoft全体としてXboxへの投資はどう位置づけられていますか? Satya Nadella氏は、Xbox部門の最初の25年で親会社は十分に投資してきたとし、今後は自立した持続可能な事業になることを求める方針を明確にしています。
出典
- Wccftech — Analyst Says Xbox CEO Asha Sharma’s Next 100 Days Are About Making Xbox Smaller
- Wccftech — Compulsion, Double-Fine, Ninja Theory, and "Several Other Studios" at Xbox Reportedly Negotiating Buyouts to Avoid Being Shuttered
- PC Gamer — Xbox lost 'millions' of Game Pass subscribers after last year's massive price hike