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FCCがスパム電話根絶へ——米国でKYC規制強化・外国企業締め出しの3つの新提案

GadgetDrop 編集部5
FCCがスパム電話根絶へ——米国でKYC規制強化・外国企業締め出しの3つの新提案

ロボコール(自動音声スパム電話)は米国で深刻な社会問題となっており、FCC(連邦通信委員会)もその解決に本腰を入れています。今回FCCが打ち出したのは、米国の通信事業者への「KYC(顧客確認)」義務の厳格化を中心に、外国企業の締め出しや海外認証機関の扱い見直しを含む3つの提案です。なお、本提案はすべて米国の通信規制に関するものであり、米国版のみに適用される仕組みです。

3つの提案のうち、最も広範なユーザーへの影響が見込まれ、かつ現在パブリックコメント募集という具体的な手続きが進んでいるのがKYC強化です。これが実現すれば、知らない番号からの着信が減り、詐欺電話のリスクが下がるという体感的な変化につながる可能性があります。以下でそれぞれの提案を詳しく見ていきましょう。

迷惑電話が登録前にブロックされる仕組みへ——KYC強化の中身

今回のFCCの提案の柱は、米国の通信事業者に対するKYC(Know Your Customer=顧客確認)ルールの厳格化です。KYC自体は米国の通信事業者にすでに義務付けられているものですが、FCC委員長のBrendan Carr氏は一部の事業者が「最低限のことしかしない(あるいはそれ以下)」状態にあり、「違法なロボコールスキームに加担している」と声明で述べています。

新たな提案では、通信事業者がサービスを有効化する前に顧客の本人確認を行うことが求められる可能性があります。具体的には、氏名・政府発行のID・住所・すでに保有している電話番号の提出などが含まれる可能性があるとされています。

この仕組みが導入されれば、スパム電話を発信するために使われる匿名回線がネットワークに接続される前に遮断される可能性が高まります。ユーザーにとっては、身元不明の発信者からの着信そのものが減るという体感レベルの変化が期待されます。

FCCは現在、これらのKYCルールをどのように実施するかについてパブリックコメントを募集している段階です。では、ルールに違反したキャリアにはどのような制裁が課されるのでしょうか。

キャリアへの「比例的ペナルティ」導入も検討——件数に応じた段階的な制裁

KYC違反への対応として、FCCはキャリアのネットワークから発信された違法電話の件数に応じて、比例的なペナルティを課す仕組みの導入も検討しています。つまり、自社ネットワークからスパム電話が多く発信されているキャリアほど、重い制裁を受ける可能性があるという考え方です。

AT&T・T-Mobile・Verizonといった大手キャリアも当然この規制の対象となります(これらはいずれも米国キャリアであり、本規制は米国版のみに適用されます)。ソース記事では、比例的ペナルティの具体的な段階基準や上限金額については詳細が記載されておらず、FCCが今後のパブリックコメントを踏まえてルール内容を策定する段階にあります。

この仕組みが実現すれば、キャリアがスパム電話対策に積極的に取り組む経済的インセンティブが生まれ、ユーザーが受け取るスパム電話の総量が減少する可能性があります。では、スパム電話問題と並行して進む安全保障上の規制はどうなっているのでしょうか。

外国企業・海外認証機関の見直し——安全保障の観点からも規制強化

FCCは通話品質の問題にとどまらず、安全保障上の観点からも米国内での規制を強化します。

FCCの「カバードリスト(covered list)」とは、安全保障上の懸念から米国での機器販売を禁止されている外国企業のリストです。すでにリスト掲載企業は米国での機器販売が禁止されていますが、Carr氏によると「これらの企業の多くが、国際電気通信事業者の法的定義に該当しないサービスを提供することで、米国内での事業を継続している、あるいは継続している可能性がある」とのことです。新ルールのもとでは、こうした企業は改めて認可申請が必要となり、米国内の事業者に与えられている包括的な認可を利用できなくなります。

さらに3つ目の提案として、FCCは米国の試験機関・認証機関との相互協定(reciprocity agreement)を持たない海外の試験機関・認証機関を、今後は認めない方針を示しています。Carr氏は「これにより、機器認証プロセスの完全性を保証するための十分な監視・監督・執行権限をFCCが持てるようになる」と述べています。

Q&A

Q. 今回の提案はいつから施行されますか? 現時点では、FCCはKYCルールの実施方法についてパブリックコメントを募集している段階です。パブリックコメントとは、規制当局が規則を策定する際に広く意見を募集する公式手続きのことで、米国では一般市民や事業者が意見を提出できます。具体的な施行時期は確認されていません。

Q. カバードリストとは何ですか? FCCの「カバードリスト(covered list)」とは、安全保障上の懸念を理由に米国での機器販売が禁止されている外国企業を列挙したリストです。今回の提案では、このリストに掲載されながらも定義の抜け穴を利用して米国内で事業継続している可能性のある企業を、あらためて規制の対象に含める方針が示されています。

Q. AT&T・T-Mobile・Verizonは今後ペナルティを受けるのですか? 現時点では提案段階であり、ペナルティの具体的な基準や対象事業者は確定していません。FCCがパブリックコメントを踏まえてルールを策定する段階に入っています。

出典

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