これまで「本当に発売されるのか」と疑問視されてきたHonorのRobot Phoneについて、同社が2026年Q3(7月1日から9月末まで)の発売を正式に表明しました。スマホ本体にジンバル機構を組み込み、その内部に200MPカメラを搭載するという他に類を見ない構成に、さらに映画用カメラで知られるARRIとの提携による画質強化が加わることも明らかになっており、単なるコンセプト機にとどまらない仕上がりが期待されます。
Cannes映画祭で初めて実機が触れる形に
Honorは今週、フランスのCannes映画祭の関連イベント「China Night」にRobot Phoneを持ち込み、「クリエイター体験」として一部の参加者に実機を触らせました。これは、これまでのCESやMWCでの展示と比べると大きな変化です。過去のイベントでは、Robot Phoneはガラスケースの中に展示されるか、手の届かない場所に置かれており、来場者が直接触れることはできませんでした。
実機を触れる形での公開は、コンセプト段階から実製品の段階へと進んだことを示す動きと読み取れます。
2026年9月末までに登場確定——Q3に絞り込まれた発売時期
今回の発表で重要なのは、発売時期の絞り込みです。
| 項目 | これまでの説明 | 今回の発表 |
|---|---|---|
| 発売時期 | 2026年末までに | 2026年Q3(7月1日〜9月末) |
これまでHonorは「2026年内の発売」としか語っていませんでしたが、今回Q3という具体的なウィンドウが示されたことになります。早ければ7月1日、遅くとも9月末までには市場に登場する見込みです。
ARRIとの提携で映画レベルの画づくりを統合
もうひとつの大きな発表が、映画用カメラメーカーARRIとの提携です。ARRIはAlexaシリーズなどのプロ用カメラを過去15年以上にわたり数多くのハリウッド大作で使用されてきた老舗です。
Honorによれば、Robot Phoneに内蔵されるジンバル機構は「複雑かつ安定した追尾撮影」を可能にするとのこと。一方ARRI側は、「ARRI Image Scienceの中核要素がカメラ体験に直接統合される」と説明しています。具体的な実装内容は明らかにされていませんが、ARRIが長年プロ用映画機材で培ってきた色再現・階調表現といった画づくりのノウハウが、スマートフォンの撮影結果に反映される可能性があると読めます。
Robot Phoneは既に、ジンバル機構内に200MPカメラを搭載することが公表されています。そこに映画用カメラ由来の画づくりが加わることで、スマートフォンとしては類例の少ない映像表現が実現する可能性があります。実際に画にどう反映されるかは、製品が市場に出てから判断する必要がありそうです。
Honorの他モデルとの位置づけ
Honorは近年、ハードウェア面で攻めたモデルを相次いで投入しています。Honor 600は「iPhoneによく似た外観のスペック重視バジェットフラッグシップ」として紹介されているほか、別モデルではGalaxy S26 Ultraの2倍以上、ほぼ11,000mAhというバッテリーを搭載した端末も報じられています。折りたたみのHonor Magic V6も、薄さではなく6,660mAhというGalaxy Z Fold 7を上回るバッテリー容量を強みとしています。Robot Phoneはこうした「スペックや構造で突き抜ける」路線の延長線上にある、Honorのコンセプト訴求モデルと位置づけられます。
購入を検討する人へ
待つ価値が高いのは、映像制作・動画撮影を本業や趣味の中心にしていて、スマホ単体で安定した追尾撮影や映画的な画づくりを試したい人です。ジンバル一体型の200MPカメラ+ARRI由来の画づくりという構成は、他のフラッグシップでは代替が効きにくい組み合わせです。
一方、写真・動画機能にそこまで踏み込まない一般用途で買い替えを検討している人は、急いで待つ必要はないでしょう。価格・地域展開・最終的なソフトウェア仕様などが公表されておらず、コンセプト機ゆえに価格帯が高めに振れる可能性もあるためです。発売直前まで判断材料は揃いにくいため、続報を待つのが賢明です。
機構の中身——4DoFジンバルと「動く」カメラ表現
Robot Phoneのカメラ機構は単なる手ブレ補正ではありません。業界初の4自由度(4DoF)モーター式システムを3軸機械アームと組み合わせ、スリムな筐体に収めるため業界標準より70%小型化したカスタムマイクロモーターを採用しています。
ソフトウェア面の主要機能
- 高移動シーンで安定性を高める「Super Steady Video」、被写体をリアルタイムで追従する「AI Object Tracking」、片手撮影でも90°・180°の回転トランジションを可能にする「AI SpinShot」を搭載しています
- ポップアップカメラは首をかしげる、否定で首を振る、同意でうなずく、さらに360度回転して「flip」する動作も可能で、楽曲に合わせて動くデモも披露されました
機構の信頼性も焦点になっており、当初の発売予定はQ1 2026でしたが、可動部の耐久性リスクに配慮して機械設計を補強するために後ろ倒しされた経緯があります。「動くカメラ」を量産品として成立させる難しさが、Q3への絞り込みに反映されたと言えます。
価格・販売地域とジンバル競争の構図
期待感とは別に、購入条件は限定的です。モーター駆動の200MPカメラフォンは今夏、まず中国での投入が予定されており、米国・英国・その他地域の発売時期は確定していません。未確認のUAE向けリスティングでは16GB/512GBモデルが約2,233ドルとされ、フラッグシップ超のレンジに位置付けられていますが、Honorは公式価格を発表していません。
| 項目 | 現時点の情報 |
|---|---|
| 当初発売 | 中国先行 |
| リーク価格(16GB/512GB) | 約2,233ドル |
| 米欧展開 | 未定 |
背景には、Honor自身の戦略転換と競合の動きがあります。Robot PhoneとARRI提携は、2025年に発表されたHonorの「Alpha Plan」——スマホメーカーからAIエコシステムへの移行に向けた5年で100億ドル規模の投資計画の一部です。またVivoやOppoがDJI Osmo Pocketシリーズに直接対抗するジンバルカメラを2026年後半投入予定とされており、ジンバル統合は2026年スマホ市場の重要トレンドになりつつあります。
Q&A
Q. Robot Phoneはいつ発売されますか? Honorによれば2026年Q3、つまり2026年7月1日から9月末までの間に発売される予定です。これまで「2026年内」とされていたものが、今回より具体的な時期に絞り込まれました。
Q. ARRIとの提携で何が変わりますか? ARRIはAlexaシリーズなどプロ用映画カメラで知られるメーカーで、その「ARRI Image Science」の中核要素がRobot Phoneのカメラ体験に直接統合されると説明されています。加えて、内蔵ジンバルによる安定した追尾撮影もアピールされています。
Q. カメラのスペックはどの程度ですか? ジンバル機構に200MPカメラを搭載することが公表されています。ジンバル一体型という構造はスマートフォンとしては珍しく、動画撮影での安定性に強みを持つ設計と見られます。