先代モデルの約2倍、約27万円——。MSIの次期ゲーミングハンドヘルド「Claw 8 EX AI+」が、オーストラリアの小売店Scorptecに税抜US$1,780(約27万円)から掲載されたとWccftechが報じました。Videocardzを引用するかたちで伝えられたもので、先代モデル「MSI Claw 8 AI+」の発売価格$899(約13万5千円)から大幅な値上げとなる可能性が示されています。
オーストラリアの小売店に2エディションが掲載
Wccftechによれば、Scorptecが掲載した「MSI Claw 8 EX AI+」には2種類のエディションが確認されています。スペック自体は同一で、付属品のみが異なる構成です。
| エディション | AU$表示 | US$換算(GST込) | US$換算(税抜) |
|---|---|---|---|
| Standard | AU$2,749 | 約US$1,959 | 約US$1,780(約27万円) |
| Launch Pack | AU$2,849 | 約US$2,030 | 約US$1,846(約28万円) |
Launch Pack版には、Clawキーチェーン・強化ガラス製スクリーンプロテクター・クロウグリップキャップ・トラベルケースIIIといった付属品が同梱されると伝えられています。本体カラーは「void-purple(ボイドパープル)」で、いずれも同一筐体です。
なお、Wccftechは「価格はプレースホルダーの可能性がある」とも述べており、最終的な実売価格が変動する余地は残されています。3週間ほど前にはEU圏の小売店で1,599ユーロ(約26万円、当時の換算でUS$1,854相当)として掲載されていたことも報じられており、複数地域の小売掲載で高価格帯が確認されている格好です。
Arc G3 Extreme搭載——Panther Lakeベースの新世代SoC
Wccftechによると、MSI Claw 8 EX AI+は「Arc G3 Extreme」チップを搭載する初のゲーミングハンドヘルドになる可能性があると報じられています。これはIntel Panther Lakeのバリアントとされ、2+8+4コア構成、内蔵GPUは「Intel Arc B390」に相当する性能とされています。
本体スペックとして報じられている内容は次の通りです。
- ディスプレイ: 8インチ FHD+解像度、120Hzリフレッシュレート
- メモリ: 32GB LPDDR5X
- ストレージ: 1TB SSD
- バッテリー: 80Whr
- カラー: void-purple
80Whrというバッテリー容量は携帯型ゲーミング機としては大柄な部類で、120HzのFHD+ディスプレイと組み合わせれば、滑らかな描画と長時間プレイの両立を狙った設計と読めます。ただしこれらは小売掲載とリーク情報をもとにした内容であり、最終製品の仕様は変更される可能性があります。
先代の約2倍——DRAM・SSD価格高騰が背景か
最大の論点は、先代「MSI Claw 8 AI+」の発売価格$899(約13万5千円)と比べて、今回掲載された$1,780(約27万円)が約2倍に達している点です。Wccftechは「現在の市場状況、すなわちDRAMおよびSSD価格の高騰を踏まえると、MSI Claw 8 EX AI+が1,000ドル前後で発売される状況にはない」と伝えています。
同記事ではあわせて「価格は$1,500(約22万5千円)超になると見ていたが、これはあくまで自分たちの推測にすぎない」とも述べられており、断定は避けられています。今回の情報は豪Scorptec・EU圏小売・Videocardzと複数のリーク経路から伝えられている格好です。
一方で、メーカーであるMSI自身からの公式発表はまだ確認されていません。小売店の事前掲載価格は仕入れ価格や為替の調整段階で変動するケースも多く、最終的な日本市場価格は現時点で公表されていません。
約2倍の値上げは「買う価値」があるか
このリーク情報が正確だった場合、Arc G3 Extreme搭載モデルは「Intel系最速のゲーミングハンドヘルド」と位置付けられる一方、約27万円という価格は完全にハイエンドノートPC帯に踏み込みます。先代$899(約13万5千円)と比べた約2倍という水準は、EU価格1,599ユーロ(約US$1,854)ともおおむね整合しており、地域を問わず高価格帯となる見通しです。
メモリ・ストレージのコスト高騰を反映したものと見られますが、ユーザーから見れば「ハンドヘルドにこの価格を払うか、同価格帯のハイエンドノートPCを選ぶか」という判断が問われる水準と言えます。現時点ではMSIからの公式発表前であり、小売掲載価格もプレースホルダーの可能性が指摘されています。購入を検討している方は、正式な発売アナウンスと公式価格、そして日本市場での取り扱い情報を待つのが妥当です。
Arc B390の素性——Xe3アーキテクチャと18A/N3Eの混載タイル設計
Claw 8 EX AI+が搭載するとされるArc G3 Extreme(Arc B390)について、技術的背景の解像度が上がっています。Intelの公称仕様では12 Xe-coreを最大2.5GHzで動作させ、レイトレーシング対応とInt8で最大122 TOPSをうたい、コンピュートタイルはIntel 18A、GPUタイルはTSMC N3Eで製造されます。Arc B390はPanther Lake-H系の最上位iGPUで、Core Ultra X9 388HおよびX7 368H/358Hに搭載されます。
性能面では、ノートPC形態での実測がCES 2026前後で複数公開されています。
- Intelの主張では、Core Ultra Series 3はゲーミングで最大77%向上し、Arc B390はRTX 4050 Laptop GPUを上回るとされます
- 独立性能では平均でRTX 4050 Laptop GPUに対し10%程度高速とされています
- ただしハンドヘルドが通常動作する15-30Wの電力枠でどう振る舞うかは依然として不透明です
ハンドヘルド筐体ではTDPと冷却が性能を律速するため、ノートPCでのベンチが額面どおり再現される保証はない点に留意が必要です。
RAMポカリプス——価格高騰がハンドヘルド市場全体を直撃
値上げ幅の背景には、業界全体を覆うメモリ・ストレージの供給逼迫があります。TrendForceはQ1 2026のDRAM契約価格上昇予測を従来の55-60%から90-95%へ大幅に引き上げ、NAND Flashも33-38%から55-60%増へと修正しました。Gartnerは2026年末までにDRAMとSSD価格が130%上昇し、PC価格に17%、出荷台数に10.4%減の影響が出ると試算しています。
ASUSは値上げ通知で「主要部品、特にメモリ(DRAM)とストレージ(NANDとSSD)のコスト上昇」「上流サプライヤーによる生産能力配分の変化」を明示しました
OEM側の動きも具体化しています。IDCによれば、Lenovo、Dell、HP、Acer、ASUSが15-20%の値上げと契約改定を業界共通の対応として顧客へ通知済みです。ASUSは2026年1月5日から価格調整を開始すると確認しました。32GB LPDDR5X/1TB SSDという同機の構成は、まさに直撃を受ける部材で固められており、価格倍増のリーク水準が市場文脈と整合する格好です。
Q&A
Q. Launch Pack版の付属品は買う価値がありますか? Launch Pack版(税抜US$1,846/約28万円)は標準版(US$1,780/約27万円)と本体スペックが同一で、差額の約US$66(約1万円)でClawキーチェーン・強化ガラス製スクリーンプロテクター・クロウグリップキャップ・トラベルケースIIIが付属するとされています。本体は同一筐体のため、付属品にこの差額分の価値を見いだせるかが判断軸になります。
Q. EU価格1,599ユーロと豪州価格US$1,780(税抜)にはなぜ差があるのですか? EU価格1,599ユーロは当時のレートでUS$1,854相当と伝えられており、豪州のGST込み価格US$1,959とおおむね近い水準です。豪州のGST抜き表示US$1,780が低く見えるのは消費税分を除いた価格のためで、税込ベースで比較するとEU・豪州ともに高価格帯で一致しています。
Q. 「Arc G3 Extreme」とはどのようなチップですか? IntelのPanther Lakeバリアントとされ、2+8+4コア構成、内蔵GPUがIntel Arc B390相当の性能を持つと報じられています。MSI Claw 8 EX AI+はこのチップを搭載する初のゲーミングハンドヘルドになる可能性があるとされています。