「AIノートツール」と銘打たれた多くのアプリは、結局のところ通常のメモアプリにチャットボットを後付けしただけで、ノートの取り方そのものが変わるわけではない——XDA Developersに寄稿するMahnoor Faisal氏は、これまで多くのAIノートツールを試したうえで、率直にそう述べています。同氏が「数少ない例外」として挙げるのが、GoogleのAIノートツール「NotebookLM」です。Google Labsの実験段階から学習用途で使い込んできたという同氏が、普通のメモアプリでは到達できない3つのワークフローを紹介しました。
NotebookLMが他のAIノートツールと一線を画す理由は、「メモアプリになろうとしていない」点にある——というのが同氏の評価です。本記事では、3つのワークフローのうちAudio OverviewsとMind Mapsの具体的な回し方を中心に整理します。
通学・家事の「死に時間」を復習の一周目に変えるAudio Overviews
NotebookLMがバイラルヒットした最大の要因は、Audio Overviewsの存在です。NotebookLMでは「ノートブック」と呼ばれるワークスペースを作り、そこにPDF、ドキュメント、ウェブページ、YouTube動画などをソースとして追加し、Chat panelで対話したりStudio出力に変換したりして活用します。Audio OverviewsはそのStudio出力の一つで、アップロードしたソースを2人のAIホストによるポッドキャスト形式の対話に変換してくれる機能です。
フォーマットはDeep Dive、Brief、Critique、Debateの4種類から選べ、生成時のプロンプトで焦点を絞ることもできます。さらにInteractive Modeを使えば、ラジオの生放送に電話で参加するように、再生中のホストへ質問を差し込むことが可能です。
Faisal氏が普通のメモアプリより優れていると評価するのは、メモに触れる「時間」が解放される点です。Apple NotesやNotionは机に座って自分のメモを能動的に読み返さないと活用できず、その摩擦の大きさが「結局フォルダの中で眠ったままになる」原因になっていると指摘します。Audio Overviewsならその制約から解放され、通学・買い物への徒歩移動・トレーニング・皿洗いといった「死に時間」に音声で再生できます。
同氏が毎週金曜に実践している流れは次のとおりです。
- 科目ごとに分けたノートブックに、1週間分の講義ノート・スライド・教授配布のPDFを投入する
- 「その週の重要概念と試験に出やすそうなポイントを重点的に解説し、過去回との繋がりも丁寧に取り上げてほしい」というカスタムプロンプトを添えてAudio Overviewを生成する
- 週末の隙間時間にそのポッドキャストを聞き流し、机で勉強を始めるころには半分予習が終わった状態にしておく
聞き流し中に理解が追いつかなかった部分こそ、その後の能動的な学習時間に重点投下すべき箇所だと判別できる——音声化することで「どこを集中的に学ぶか」が自動的に浮かび上がる、というのが同氏の体感です。
ソース20件超えから本領発揮、Mind Mapsで1ノートブックを一枚絵に圧縮
Audio Overviewsは単一トピックや週単位の素材には強い一方、ノートブックに15〜20件あたりを超えるソースが溜まってくると、ポッドキャスト側が概念同士のつながりを取りこぼし始めると同氏は指摘します。そこで役割を引き継ぐのがMind Mapsです。
Mind Mapsは、NotebookLMがノートブック内の素材をスキャンし、ソース同士の関係を分岐型のクリック可能なダイアグラムとして展開する機能だと紹介されています。Faisal氏はこれをObsidianのGraph Viewになぞらえつつ、自分で手作業によるリンク付けを行う必要がない点を利点として挙げています。ノートを取りながら自分でグラフを育てる必要がないため、散らかった素材の上にいきなり全体地図が立ち上がるような感覚に近いと読み取れます。
同氏が特に有用だと挙げるのは学期末の使い方です。コース1つ分の素材——毎週の講義ノートやスライド、リーディング、難しいトピックを理解するために補助的に視聴したYouTube動画、そして自分自身のメモまでを一つのノートブックにまとめたうえでMind Mapを生成する、というのが同氏が示している運用例です。
Audio Overviewが「単一トピックの深掘り」に向くのに対し、Mind Mapsは「大量ソースの俯瞰」に向く、という棲み分けが意識されています。
3つめのワークフローと共通する活用の勘所
Faisal氏はAudio OverviewsとMind Mapsに加えて、3つめのワークフローも紹介しています。詳細は出典元を参照してください。
紹介されているワークフローに共通するのは、ノートブックに素材を投入するだけで終わらせず、「聞く・俯瞰する」といった能動的な学習ループへ素材を流し込んでいる点です。NotebookLMを使い始めたばかりの段階では、まずAudio Overviewsで音声化し、ノートブックがソース15〜20件を超えてきたらMind Mapsで俯瞰、という順に試していくのが取り入れやすそうです。専用のメモアプリと併用しても損はないでしょう。
Q&A
Q. NotebookLMはどんなファイルをソースとして取り込めますか? PDF、ドキュメント、ウェブページ、YouTube動画などをノートブックに追加し、Chat panelやStudio出力で参照できます。
Q. Audio Overviewsで選べるフォーマットは何種類ですか? Deep Dive、Brief、Critique、Debateの4種類です。さらにInteractive Modeを使えば、再生中にAIホストへ質問を差し込むこともできます。
Q. Mind Mapsはいつ使うのが効果的ですか? Faisal氏は、ノートブック内のソースが15〜20件を超え、Audio Overviewsだけでは概念間の関係を取りこぼし始めるタイミングで活用していると述べています。
出典
- XDA Developers — 3 NotebookLM workflows that are actually better than normal notes