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RAM価格が18ヶ月で4倍超に高騰——AI需要が引き起こす「RAMpocalypse」は2030年まで続く可能性

GadgetDrop 編集部8
RAM価格が18ヶ月で4倍超に高騰——AI需要が引き起こす「RAMpocalypse」は2030年まで続く可能性

RAM価格がここ18ヶ月で劇的に高騰し、スマートフォンやPC、タブレットなど新しいデバイスの価格を押し上げています。Engadgetは、この状況を「RAMpocalypse」と呼び、かつては安価な汎用部品だったRAMが「贅沢品」と化していると報じています。背景にあるのは、AIデータセンター向けの需要爆発です。

16GBペアが$100から$400超へ——PCPartPickerが示す価格急騰

Engadgetが引用したPCPartPickerの価格追跡データによれば、16GB DDR5-4800の2枚組は2025年初時点で$100(約1万5千円)未満だったものが、現在は$400(約6万円)超まで上昇しています。

さらにハイエンド帯の32GB DDR5-6000は、$250(約3万8千円)弱から$1,200(約18万円)超へと跳ね上がっており、これは「MacBook Air 1台に匹敵する価格」と表現されています。1960年代以降ほぼ一貫して安くなり続けてきた部品としては、極めて異例の値動きです。

なぜここまで上がったのか——AI企業がRAM供給を「買い占め」

短い答えは「AI」だと、同記事は指摘しています。投資マネーが潤沢に流れ込むAI企業各社が、世界のRAM供給を事実上まとめ買いしているという構図です。

DigiTimesは、各メーカーの2027年分RAM生産能力がすでに完売していると報じています。同記事によれば、xAIがメンフィスに構える「Colossus」拠点には、555,000基のNVIDIA GPU(総額$180億/約2兆7千億円)が導入されており、以下のような構成になっているとされます。

GPUモデル数量最大RAM割当
NVIDIA Grace Blackwell 200520,000192GB
NVIDIA Grace Blackwell 30030,000288GB
NVIDIA H100 / H20030,00080–94GB / 141GB

この1拠点だけで、最大112,005,000GBのRAMが搭載されている可能性があります。iPhone 17換算で約14,000,625台、Galaxy S26換算で約9,333,750台分に相当します。Bloombergは2026年3月時点で、同様の拠点が831ヶ所建設中だと報じています。

さらに、OpenAIが2025年10月にAMDと結んだ6GW規模のAIデータセンター建設契約では、初期の1GW拠点にAMD Instinct MI450(最大RAM 432GB)が採用される見込みで、この1GW分だけで最大194,400,000GB(iPhone 17約2,430万台分)のRAMを消費する可能性があるとされています。

HBMシフトがDRAM供給を圧迫——ウェハ消費は3倍

DRAM(PC・スマホ向けのDDR、LPDDR等)とHBM(データセンター・AI学習向け高帯域メモリ)は用途こそ異なりますが、原材料である同じシリコンウェハから作られています。ここに構造的な問題があります。

Micron CEOのSanjay Mehrotra氏は2024年、投資家向けに「HBM 1ユニットは、コンシューマ向けDDR5 RAMの約3倍のウェハ供給を消費する」と説明しています。つまり、HBM 1枚が世に出るたびに、DRAMモジュール3枚分の生産能力が失われる計算になります。

しかもHBMはDRAMより格段に高利益で、AIハイパースケーラーは高値でも買います。2025年末には、Micronがコンシューマ向けRAMブランド「Crucial」を終了しHBM事業へリソースを集中させる判断を下しました。Micron EVPのSumit Sadana氏は当時、「Micronは、より大規模で戦略的な顧客への供給とサポートを改善するため、Crucialコンシューマ事業から撤退する困難な決断を下した」とコメントしています。

結果、業績は絶好調です。Micronは2026年6月に四半期売上$288.6億(約4兆3千億円)・粗利益率84.9%を計上。SK Hynixは2026年7月に「過去最高」の売上を報告し、営業利益は前年同期比557%増と伝えられています。Samsungもメモリ事業で売上・利益ともに「過去最高」を記録しました。

供給増は間に合わない——SK HynixとMicronのトップは2027年以降も逼迫と予測

「なぜメーカーが増産しないのか」という疑問については、RAM工場は数ヶ月では建たないという事実が答えになります。Micronのアイダホ州ボイシ工場のクラス1クリーンルームは1立方フィートあたり塵1粒以下という精度で、新工場建設には数十億ドルと数年単位の時間が必要です。

SK Hynixは韓国で総額$381億(約5兆7千億円)を投じて2つの新メモリ工場を建設中ですが、生産開始は早くて2029年6月と見込まれています。

いつ価格が下がるのかについて、Engadgetは「今のところ誰にも分からない」としつつ、当事者の発言を紹介しています。

  • SK Hynix CEOのKwak Noh-jung氏はReutersのインタビューで、2027年は状況がさらに悪化し、需要が供給を上回る状態は2030年以降も続くとの見通しを示しています
  • Micron CEOのMehrotra氏は2026年6月、投資家に対し「2027年(暦年2028年)以降も逼迫状態が続く」との見方を示しました
  • Deloitteは、危機の緩和は早くとも2030年になるとの予測を示しています

なお、Wall Street Journalによれば、Micronはホワイトハウスに対し、顧客が他所からRAMチップを調達することを防ぐよう米政府に介入を求めたとも報じられています。

いま買うべきか、待つべきか

Engadgetは「パニック買いはすべきではない」としつつも、今後4年間RAMが必要になる確実な理由があるなら早めに購入するのが合理的だとしています。現時点でRAM価格は歴史的水準の約500倍で、2028年には1500倍になる可能性もあると指摘されているためです。

一方で、明確な用途がないなら、手持ちの環境で凌ぐか、中古市場に流れてくるRAMで需給が緩むのを待つのが妥当な判断です。転売目的で買うのは慎むべきだとも釘を刺されています。

現時点では、少なくとも今後2〜3年はRAM搭載量の多いPC・スマホ・タブレットの価格が上昇し続けると想定しておくのが妥当と言えそうです。

PC出荷にも波及——Gartnerは平均価格17%上昇・出荷10.4%減を予測

価格高騰の影響は、完成品PCの市場にも及んでいます。Gartnerは、2026年末までにDRAMとSSDを合わせたメモリ関連コストが130%上昇し、その結果、平均PC価格は17%押し上げられ、世界PC出荷は10.4%減少すると予測しています。これは過去10年以上で最も急激な縮小幅とされています。

  • TrendForceは2026年第1四半期のPC DRAM契約価格が前四半期比105〜110%上昇するとの見通しを示しており、単一四半期としては過去最大の上昇幅と説明されています
  • AMDはComputexの場で、DDR5価格が正常水準に戻るのは2028年までかかると発言しています
  • Tom's Hardwareは、中身が空のプラスチックチップをリラベルした偽造DDR5モジュールの流通事例を報告しており、希少化に伴うリスクが高まっています

自作PCユーザーにとっては、これまでGPU中心だった予算配分が、32GBキットや2TB NVMeによって数百ドル単位で押し上げられる状況になっています。

HBM4量産が2026年2月始動——Samsungは生産能力を47%増強へ

供給側では、AI向け高帯域メモリ「HBM4」の立ち上げが加速しています。SamsungとSK Hynixは、2026年2月にHBM4の量産を同時開始する計画と報じられています。

項目Samsungの計画
HBM総生産能力(月産ウェハ)17万 → 25万(約47%増)
HBM4向け1c DRAM割当2026年末までに最大15万ウェハ/月
追加投入する新規1c容量約8万ウェハ/月

SK Hynixも設備投資を従来計画の4倍超に引き上げ、今後5年でウェハ生産能力を倍増させる方針を示しています。龍仁(Yongin)拠点の第一工場フェーズ1は、当初計画から前倒しされ2027年第1四半期の完成が見込まれています。ただしこれらの増強はHBM向けが中心であり、コンシューマ向けDRAM供給への波及効果は限定的とみられています。

Q&A

Q. なぜRAMだけがここまで急騰しているのですか? AI企業がデータセンター向けにRAM供給を事実上まとめ買いしているためです。特にAI向けHBMは1ユニットあたりコンシューマDDR5の約3倍のウェハを消費するため、DRAM生産能力が構造的に圧迫されています。DigiTimesは各メーカーの2027年分の生産能力がすでに完売済みだと報じています。

Q. 価格はいつ下がりますか? SK Hynix CEOは2030年以降も需給逼迫が続くとの見通しを示し、Micron CEOは2028年以降も逼迫が続くと述べています。Deloitteの予測では緩和は早くとも2030年です。AIバブルが想定より早く崩壊すれば急落する可能性もありますが、現時点で確実な予測はありません。

Q. 今すぐRAMを買い増しすべきですか? 今後4年間確実に必要になる用途があるなら早期購入が合理的です。ただし転売目的の買い占めは市場をさらに悪化させるため避けるべきとされています。

出典

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