キノコに侵食された都市を、勇者でも傭兵でもなく「寄生体」として歩く——『Citizen Sleeper』シリーズで知られるGareth Damian Martin氏が、自ら「fungalpunk(フンガルパンク)」と名付けた新作RPG『Signet City』を正式発表しました。モノクロのビジュアルとポストパンクのサウンドが貫く異質な一作で、2026年内にPC(Steam)で配信されると伝えられています。
プレイヤーは「寄生体」として都市に潜り込む
『Signet City』は、Martin氏が主宰するスタジオ Jump Over the Age の最新作です。2026年5月のティザー公開を経て、今回トレーラーとともに正式に発表されました。映像にはモノクロのビジュアルと、キノコに覆われた『Half-Life 2』のCity 17を思わせる退廃的な街並みが映し出されており、バックグラウンドにはポストパンクバンド SPRINTS のドローン的なサウンドが流れています。
ゲーム公式のYouTube説明文では、プレイヤーの立ち位置がこう示されています。
「あなたは寄生体です。奇妙な技術と急進的な思想が根を張り始めた都市の中で、住人たちの中へ、そして彼らを通り抜けるように成長していきます」
パブリッシャーの Fellow Traveller Witness も、プレスリリースで「プレイヤーは従来のRPG主人公とは異なり、都市の社会的身体を通り抜ける寄生体として存在し、会話や住人に影響を与えながら街を巡る」と説明しています。剣を振るうのでも契約をこなすのでもなく、会話に潜り込み相手の選択そのものを内側からねじ曲げていく——そんな手触りが想定されているわけです。住人たちの内面を掘り下げる「力強く心を打つ散文」が、Jump Over the Ageの作品の特徴である、とも述べられています。
なぜ遠未来作家が80年代英国に向かったのか
ファクトシートによれば、『Signet City』の世界観は1980年代の英国が経験した激動の10年と、その北部工業都市群から着想を得ています。『In Other Waters』や『Citizen Sleeper』シリーズなど、これまでMartin氏は一貫して遠未来を舞台にしてきました。本作はオルタナティブな現実とも読めるセッティングを採用しており、本人にとっても新しい試みとなります。
アートスタイルの参照点として挙げられているのは、スクリーントーンを多用した漫画、ペンとインクのドローイング、そして白黒写真です。これらが融合した結果として、強いコントラストのモノクロビジュアルが構築されています。
制作陣にも変化があります。サウンドトラックとオーディオは、これまでCitizen Sleeperシリーズを支えた Amos Roddy 氏に代わり Eli Rainsberry 氏が担当し、環境アートには Tom Kitchen 氏が加わります。
『The Last of Us』ではなく、人類学的なキノコ論が背景
キノコに侵食された都市というモチーフから、多くのプレイヤーが『The Last of Us』を連想するだろうと、記事の筆者であるIgor Bonifacic氏も述べています。ただし同氏は、本作はむしろMartin氏が以前から関心を持ってきたテーマの延長線上にあると指摘しています。
Martin氏は『Citizen Sleeper』リリース後のインタビューで、人類学者 Anna Tsing 氏の著書『The Mushroom at the End of the World』を主要な影響源として挙げていました。同書は、高級キノコであるマツタケを切り口に、資本主義と現代の不安定さ、生態系の破壊を批評する一冊です。
実際、マツタケやジロール(アンズタケ)といったキノコ類は、『Citizen Sleeper』本編と続編、そして異星生物学者を主人公とする『In Other Waters』にも繰り返し登場しており、Martin氏作品における重要なモチーフであり続けています。今回の「fungalpunk」という自称は、ジャンル的なフックでありながら、こうした作家性の自然な発展とも読めます。
2026年Steam配信、他機種は沈黙
『Signet City』は、2026年内にSteamでのPC版リリースが見込まれていると伝えられています。他プラットフォームへの展開については、現時点では明らかにされていません。
fungalpunkというラベルが具体的にどのようなゲームプレイ体験へ落とし込まれるかは、今後公開される映像や追加情報を見極める必要があります。
Q&A
Q. 『Signet City』の発売時期とプラットフォームは? 2026年内にPC版がSteamで配信されると伝えられています。それ以外のプラットフォームへの対応は、現時点では公表されていません。
Q. なぜ「マツタケ」が背景にあるのですか? Martin氏は『Citizen Sleeper』リリース後のインタビューで、人類学者Anna Tsing氏の著書『The Mushroom at the End of the World』を主要な影響源として挙げていました。同書はマツタケを切り口に資本主義と生態系の破壊を批評する一冊です。
Q. 『The Last of Us』との関係は?