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トランプ政権が中国製セルラーモジュール禁止を検討か——世界シェア70%超、IoT・コネクテッドカーに波及の可能性

GadgetDrop 編集部8
トランプ政権が中国製セルラーモジュール禁止を検討か——世界シェア70%超、IoT・コネクテッドカーに波及の可能性

トランプ政権が、世界シェア70%超を中国企業が握る「セルラーモジュール」を禁止対象に加えるか議論していると、Financial Timesが報じました。FCC(米連邦通信委員会)による中国製通信機器への締め付けが拡大する中での動きで、スマートフォンや通信インフラを超え、スマートホーム機器・産業用IoT・コネクテッドカーまで影響が及ぶ可能性があります。

焦点は「Covered List」追加——報じられた検討内容

Tom's HardwareがFinancial Timesを引用するかたちで伝えたところによれば、政権内の議論は、中国のモジュールメーカーをFCCの「Covered List」に追加するかどうかが中心となっています。Covered Listは、国家安全保障上のリスクがあるとされた製品について、米国内販売に必要なFCC認証の取得を禁止するリストです。

現時点で正式な禁止措置は発表されていません。あくまで報道ベースの検討段階であり、最終的に実施されるかどうかは不透明です。

報道のタイミングも注目されています。今週、北京でトランプ大統領と習近平国家主席の会談が予定されており、貿易摩擦・技術規制・10月の韓国首脳会談で結ばれた一時休戦の行方が議題になると見られています。一方でFCCは、こうした米中協議の進展にかかわらず規制を進めている様子だと報じられています。

なぜスマホ以上に影響が大きいのか

セルラーモジュールは、機器をWi-Fiに頼らず4G・5Gなどのモバイル網に接続させる小型の組み込み通信部品です。用途は極めて広く、以下のような機器に組み込まれています。

  • スマートホーム機器
  • 産業用センサー、ルーター、ドローン
  • 医療機器
  • コネクテッドカー、物流トラッカー
  • 工場設備

仮に禁止が実施された場合、影響はスマートフォンや通信インフラだけにとどまらず、グローバルなIoT・コネクテッドデバイスのサプライチェーン全体に及ぶ可能性があります。

セキュリティ面で報道が挙げているのは、セルラーモジュールが定期的なファームウェア・ソフトウェア更新を必要とする点です。一部のセキュリティ専門家は、この更新経路が遠隔アクセス・監視・改ざんの侵入口になり得ると見ていると伝えられています。

世界シェア70%超——中国企業の存在感

報道によれば、Quectel、Fibocom、China Mobile、Sunsea、MeiGといった中国企業が、世界のセルラーモジュール市場の70%超を握っています。この集中度の高さが、規制が実現した場合の影響を大きくする要因です。

また、FCCが年間で認証する約40,000台のデバイスについて、現在は約75%のテストが中国国内で行われているとされます。先月にはFCCが、米国向け家電製品の必須認証テストを中国の研究所が実施することを禁止する提案を可決しており、規制の流れは段階的に強まっています。

項目数値
中国企業の世界セルラーモジュール市場シェア70%超
FCC認証テストの中国実施比率約75%
年間FCC認証デバイス数約40,000台

Brendan Carr委員長下で強まる対中規制

FCCはBrendan Carr委員長の下で、対中技術規制において積極的な姿勢を強めていると報じられています。Carr委員長は昨年、FCC内に「外国の敵対勢力」、特に中国からの脅威に対応する国家安全保障会議を新設したとされます。報道で引用されたFCC関係者は、Wi-FiやBluetooth対応の家電を含む現代の通信機器が、技術的・地政学的な攻撃対象として位置づけられつつあると主張しているとされます。

これまでもFCCは、中国製ドローンや家庭用ルーターへの規制、中国研究所による認証テストの制限提案など、複数の措置を打ち出してきました。報道では、他の政府機関が米中交渉を不安定化させないために対中行動の一部を減速・停止させたとされる中でも、FCCは規制を進めている様子だと指摘されています。

規制が現実化したら何が起こるか

正式な禁止は発表されていません。あくまで政権内で議論されているという段階の情報です。仮に実施された場合の影響として、報道では次の点が挙げられています。

  • メーカーによる製品再設計の必要性
  • サプライヤーの切り替え
  • 認証・調達パイプラインの大規模な再構築

中国製モジュールがグローバルなサプライチェーンに深く組み込まれている現状を踏まえると、影響範囲は電子機器産業全般に広がる可能性があると報じられています。一方で、米中首脳会談を控えた時期での報道であることから、実際の規制化までは不透明な要素が多く、続報を追う必要があります。

2026年に加速するCovered List拡大の流れ

セルラーモジュール禁止の議論は、2026年に入って急速に拡大しているFCCの対中規制の延長線上にあります。直近の主な動きは以下の通りです。

  • 2026年3月23日、FCCは外国製の家庭用ルーターをCovered Listに正式追加したと発表しています
  • 2026年4月30日のFCC会合では、中国の試験ラボによる電子機器テストを禁止する提案が3対0で可決されています
  • 2025年10月には、Hong Kong Telecomを米国市場から排除する動きも開始されています

さらにFCCは、Covered List掲載企業に対して、長年多くの事業者が利用してきたSection 214に基づく自動承認を遮断する規則案も推進しています。これは国家安全保障権限の使い方として大きな拡張を意味しており、対象企業が米国通信市場にアクセスする際のハードルを根本から引き上げるものです。セルラーモジュールはこうした段階的な包囲網の中で、次に焦点となる候補として位置づけられています。ルーター、試験ラボ、香港系通信事業者と続いてきた規制対象の系譜の延長として捉えられています。

中国企業の市場支配と関連プレイヤーの動向

規制議論の背景には、中国系モジュールメーカーの市場拡大手法と、競合する非中国企業の縮小という構造変化があります。米シンクタンクFDDの報告書では、QuectelとFibocomの2社だけで世界のセルラーモジュール市場の約45%を支配しているとされています。

支配的地位の獲得手法

Quectelは独立系の推計によると、生産コストを15〜20%下回る価格での積極的なダンピングを通じて支配的地位を獲得したとされています。Fibocomは2023年に欧州の自動車向けIoT専業メーカーRolling Wirelessを買収し、欧州市場への進出を進めています。

米国防総省側の措置と競合の撤退

2025年1月、米国防総省は「中国軍事企業」リスト(Section 1260H)にQuectelを追加し、直接調達禁止は2026年6月30日から発効すると定められています。一方、スイスのu-bloxは同じく2025年1月にIoTモジュール市場からの撤退を発表しており、非中国系プレイヤーの後退が同時並行で進んでいます。代替供給源の確保自体が容易ではない構造が浮かび上がっています。

Q&A

Q. 日本メーカーや日本市場への影響はありますか? 今回の報道は米国内でのFCC認証取得を禁止対象とする検討であり、日本市場を直接対象とする規制ではありません。ただし、中国製セルラーモジュールは世界シェア70%超とグローバルなサプライチェーンに深く組み込まれており、米国向け製品を製造・輸出するメーカーが製品再設計やサプライヤー切り替えを迫られる可能性があると、報道では指摘されています。

Q. 禁止は確定したのですか?いつ頃決まる見込みですか? 確定していません。Financial Timesは政権内で議論されている段階だと報じており、正式な禁止措置や決定時期については現時点で明らかにされていません。今週の米中首脳会談の行方にも影響を受ける可能性があります。

Q. 規制が実施されたら誰が影響を受けますか? 中国企業が世界シェアの70%超を握っているため、IoT機器・コネクテッドカー・ルーター・産業機器など、セルラーモジュールを利用するメーカーに幅広い影響が及ぶ可能性があります。製品再設計やサプライヤー変更が必要になることも想定されると報じられています。

出典

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GadgetDrop 編集部

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