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AIリーク注目

削除されたツイートが暴露——Ubisoft『Far Cry 7』でジェネレーティブAIをテスト中か、13億ユーロ赤字翌日のリーク

GadgetDrop 編集部10
削除されたツイートが暴露——Ubisoft『Far Cry 7』でジェネレーティブAIをテスト中か、13億ユーロ赤字翌日のリーク

未発表タイトル『Far Cry 7』の初期ビルドが、ジェネレーティブAIのテスト場として使われている——過去最悪13億ユーロ(約2,100億円)の営業損失を計上した翌日に出たこのリークが、Ubisoftの方針と矛盾しているとして波紋を呼んでいます。情報源は今週Xに投稿後すぐに削除されたツイートで、Insider GamingのTom Henderson氏によると同AIの品質評価は厳しいものだったと報じられています。

削除されたツイート、消える前に何が書かれていたか

今回の話は、Insider GamingのTom Henderson氏が今週投稿し、その後削除したXポストが起点です。Tom's Hardwareによると、Henderson氏は『Far Cry 7』の初期ビルド上でジェネレーティブAIの試験が行われていると主張したとされ、同氏の「looks like s**t(ひどい出来)」というコメント部分についてはTheGamerが最初に伝えたと報じられています。Tom's Hardwareは、Henderson氏について「同作の開発難航についても過去に報じてきた人物」と紹介しています。

ただし、注意すべき点が複数あります。

  • 元のXポストは既に削除済みであり、原文を直接検証することはできません
  • 情報は非公式の情報源からのリークであり、Tom's Hardwareによれば、UbisoftはFar Cry 7自体を公式に発表していないと報じられています
  • Henderson氏は補足ポストで、Far Cry 7での使用はあくまで研究開発目的であり、Ubisoftの単独AIプロジェクト「Teammates」とは別物だと明確化したとされています
  • 補足の方は削除されずに残されたとのことです

Henderson氏は同AIの品質について「ひどい出来(looks like s**t)」と表現したと伝えられていますが、これは初期R&Dビルドに対する評価である点を踏まえる必要があります。最終製品でこのAIが採用される保証はなく、Tom's Hardwareも「最終リリースに登場する兆候はない」と明記しています。

13億ユーロ赤字でもAI投資を止めないUbisoftの本気度

リーク情報とは別に、Ubisoftが公式に進めるジェネレーティブAIの取り組みも確認できます。同社のFY2025-26決算報告書では、「初の遊べるジェネレーティブAI体験」と位置づけられるTeammatesへの投資を加速すると明言されました。さらに、AI駆動のQAボットや、プレイヤーの行動に適応してリアルタイムに動的に反応するNPCシステムの構築にも触れられています。

Teammatesは11月にクローズドな環境で初公開されたR&D実験で、Google Geminiをベースに構築されており、NPCをプレイヤー情報を記憶できる会話可能なコンパニオンに変えるものだと説明されています。開発元はUbisoftのR&D部門La Forgeです。

取り組みパートナー公開時期
TeammatesGoogle Gemini11月クローズドデモ
Neo NPCNvidia、Inworld AI2024年 GDCデモ
Far Cry 7内テスト(リーク)非公表公開時期不明(噂)

ただし、これらのAI実験はいずれも商用タイトルに搭載されたことがなく、現時点では研究開発段階にとどまっているという。Ubisoftは決算報告で、Far Cry、Assassin's Creed、Ghost Reconの新作がいずれも2029年3月までに発売予定だと確認していますが、ジェネレーティブAIがこれらに統合されるかどうかは明らかにされていません。

過去最悪の決算とAI投資加速のちぐはぐさ

今回のリークが注目される理由のひとつは、Ubisoftの財務状況にあります。最重要数値から押さえておきましょう。

  • FY2025-26の**IFRS営業損失は13億ユーロ(約2,100億円)**で、同社史上最悪を記録
  • 純予約収益は前年比17.4%減の15.3億ユーロ(約2,500億円)
  • 過去1年で約1,200人を削減、7つのプロジェクトを中止、6つを遅延
  • Tencent取引のクロージングで11.6億ユーロ(約1,900億円)の現金注入を受け、バランスシートを安定化
  • FY2026-27はフリーキャッシュフローが「底」となる見通しで、その後の回復が予測されているという

このような厳しい財務環境下でジェネレーティブAIへの投資を加速する方針は、1月のリストラ発表時にも同じ表現で示されていたとのこと。当時は「プレイヤー向けジェネレーティブAIへの投資加速」を新運営モデルの一部として強調し、これが1日で34%の株価下落を引き起こし、Ubisoftの時価総額を10億ユーロ(約1,600億円)未満に押し下げる結果につながったと伝えられています。

過去にはNFTプラットフォーム「Quartz」を2021年12月に投入し、Ghost Recon Breakpointに統合したものの、激しいプレイヤーの反発を受けて放棄した経緯もあります。新興技術トレンドを追う動きが必ずしも成功してきたわけではない、という点は読者として押さえておくべき背景です。

このリーク、信じていいのか——チェックポイントと読者の取るべきスタンス

整理すると、今回の情報には次のような特徴があります。

項目内容
一次情報源Tom Henderson氏の削除済みXポスト
経路Henderson氏のXポスト→TheGamerが「looks like s**t」コメント部分を最初に報道→Tom's Hardwareが追跡
確実性非公式リーク、原文は既に削除
Far Cry 7自体の状態公式未発表とされる
AI採用の確実性最終製品への搭載は示唆されていない
Henderson氏の経歴Tom's Hardwareは同作の開発状況について過去に報道経験ありと紹介

このリーク情報が正確だった場合に意味するのは、Ubisoftが財務的に最も厳しい時期に未発表タイトルをAIテストベッドとして活用しているという、リスク含みの開発判断です。一方で、Henderson氏自身が「R&D目的」と補足しており、Far Cry 7の最終的なゲーム体験がジェネレーティブAIによって変質するとまでは現時点で判断できません

ゲーマー視点で現時点で取れるスタンスを整理すると次の通りです。

  • Far Cry 7のAI噂は当面ノイズ扱いでOK——原文ポスト削除済み、Ubisoftの公式発表なし、Henderson氏自身が「R&D目的」と補足済みとされる
  • 公式の「Teammates」「Neo NPC」は注視対象——決算でも投資加速が明言されており、商用搭載第一号がどのタイトルになるかは要追跡
  • 2029年3月までのFar Cry/Assassin's Creed/Ghost Recon新作リリースを基準点に置く——AI統合の有無はそれぞれの正式発表で判断するのが妥当

決算報告に登場するTeammatesやAI駆動QAボットといった公式の取り組みと、Far Cry 7内テストという未確認のリークは、分けて評価する必要があります。続報、特にUbisoftまたはHenderson氏本人からの追加情報を待ちましょう。

『Far Cry 7』本体のリーク——舞台はアラスカ、エンジンはSnowdrop、抽出モードも内包か

AIテスト場としての話題とは別に、ゲーム本体に関するリーク情報も拡大しています。Insider GamingのTom Henderson氏は「Far Cry is going through hell and back」と発言し、当初予定されていた2026年リリースウィンドウから押し出されたと伝えています。

リーク情報から見える『Far Cry 7』像

  • サブタイトルは「Alaska」とされ、開発エンジンはThe DivisionやStar Wars Outlawsと同じSnowdropエンジンが採用されているとされています
  • 内部の品質基準とゲームプレイの大幅な変更によって発売時期は2027年に押し出されたと報じられています
  • シングルプレイヤーとマルチプレイヤーの構想を統合し、「Paradise Park」と呼ばれる別マップで展開する「Extraction」モードを含む見通しで、このモードはEscape from Tarkovのようなタクティカルシューターから着想を得ているとされています

加えて、Far Cryシリーズについては2つのプロジェクトが並行して進行しているとされ、Vantage Studios(Creative House 1の正式呼称)がこれらを管轄していると伝えられています。

ジェネレーティブAIへの逆風——開発者の52%が否定的、Larianも炎上対応

UbisoftのAI投資加速は、業界の流れに逆行する側面も持っています。GDC 2026の同じ週に実施された調査では、ゲーム開発者の52%がジェネレーティブAIを否定的に見ていることが明らかになりました。

Larianが先月AIを実験していると明かした際、反発が激しく、スタジオはダメージコントロールのためのReddit AMAを開催せざるを得なかったほか、ARC Raidersはほぼ完璧なローンチもジェネレーティブAIの実装によって陰りが生じています。

Ubisoft側はリスクを認識した上で技術選択の自由度を確保しています。Teammatesは80人のチームで構築され、Google Geminiと自社製ミドルウェアを組み合わせて、同社の独自エンジンであるSnowdrop上で動作しています。さらにモジュラープラットフォームとして設計されており、特定のモデルに縛られず、OpenAI、Claude、Geminiなど用途に応じて選択できる構造になっています。プレイヤー向けAI機能は出荷タイトルではまだ珍しく、業界はAIを生産性ツールとして使う一方で、プレイヤー体験から遠ざけているのが実情です。

Q&A

Q. Far Cry 7でジェネレーティブAIが採用されることは確定しているのですか? いいえ、確定していません。Tom Henderson氏が初期ビルドをR&D目的でテストに使っていると主張しただけで、最終製品にAIが搭載される保証はないと伝えられています。そもそも『Far Cry 7』自体がUbisoftから公式に発表されていないとされています。

Q. Ubisoftの「Teammates」とは何ですか? Ubisoftの研究開発部門La Forgeが開発する、初の遊べるジェネレーティブAI体験と同社が位置づけるプロジェクトです。Google Geminiをベースに、NPCをプレイヤー情報を記憶できる会話可能なコンパニオンに変えるもので、11月にクローズドな環境で初公開されました。

Q. なぜこの時期にAIへの投資を加速しているのですか? 投資家視点では13億ユーロ過去最悪赤字下でのAI投資加速は短期的にネガティブと受け止められやすく、1月のリストラ発表時にも同じ方針表明が1日で34%の株価下落を招いたと報じられています。一方ゲーマー視点では、Teammatesや適応的NPCといった具体的な研究成果がプレイ体験のどこに反映されるかが論点で、当面は2029年3月までに発売予定とされる主要シリーズ新作での実装有無が試金石となると読めます。

出典

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GadgetDrop 編集部

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