米国初のApple Store労働組合を結成したタウソン店が閉鎖される——この決定に対し、米国の上院議員2名・下院議員7名の計9名からなるメリーランド州選出の議員団が、AppleのCEO Tim Cook氏と次期CEO就任が見込まれるJohn Ternus氏に宛てた書簡を送付しました。争点は、2022年6月に米国初のApple Store組合を結成したタウソン店の閉鎖と、そこで働く約100名の従業員の処遇です。
閉鎖対象は「米国初の組合Apple Store」
Appleは今年4月初旬、米国内の3店舗——メリーランド州タウソンの「Apple Towson Town Center」、カリフォルニア州エスコンディードの「Apple North County」、コネチカット州トランブルの「Apple Trumbull」——の閉鎖を発表しました。閉鎖理由はいずれも、他の小売店も撤退しつつある不振ショッピングモール内に立地しているためとされています。
カリフォルニア州とコネチカット州の2店舗の閉鎖はさほど注目を集めませんでしたが、タウソン店は事情が異なります。同店は2022年6月に米国のApple Storeとして初めて労働組合(IAM=国際機械航空宇宙労働者協会)を結成した店舗であり、その閉鎖決定が大きな波紋を呼んでいます。閉店予定日は2026年6月20日です。
AppleとIAMの対立——転勤範囲をめぐる攻防
閉鎖発表後、AppleとIAMの間で従業員の転勤をめぐる対立が生じています。
Appleの立場は、組合との交渉で合意した協定に基づき、タウソン店から50マイル以内の店舗への転勤のみを義務付けており、それ以外の場合は退職金を提供するというものです。一方IAMは、他の閉鎖店舗の従業員に与えられているのと同等の転勤機会が組合員には認められておらず、組合員への差別的扱いにあたると主張しています。
議員9名がCook氏・Ternus氏に書簡——「再考を」
9to5Macは、2026年5月4日、Johnny Olszewski下院議員を筆頭に、Chris Van Hollen上院議員、Angela Alsobrooks上院議員、そしてSteny Hoyer、Jamie Raskin、Glenn Ivey、Kweisi Mfume、Sarah Elfreth、April McClain Delaney各下院議員の計9名が、Tim Cook氏とJohn Ternus氏に宛てた書簡を送付したと報じています。
書簡では閉鎖の決定に懸念を示すとともに、「この決定の背後にある理由についてより明確な理解」を求め、どのような移転代替案が「真剣に検討されたか」についても説明を要求していると伝えています。具体的には以下の点について回答を求めているとのことです。
- 報告されているパフォーマンスにもかかわらず閉鎖に至った要因は何か、また閉鎖以外の選択肢は十分に評価されたか
- 約100名の従業員への経済的・雇用的影響についてAppleはどのような分析を行ったか
- 退職金・再就職支援・他店舗への転勤機会など、影響を受ける従業員への具体的な支援策は何か
- 他のApple Store店舗への即時転勤を認めることをコミットするか
さらに書簡は、「複雑なビジネス上の考慮事項」があることを認めつつも、直接影響を受ける雇用を守るだけでなく地域経済への広範な影響も踏まえ、「前進できる実行可能な道筋があるかどうか再考する」よう求めているとされています。
書簡を受けてIAMは声明を発表し、「働く人々の側に立ち、Appleの責任を求めた」議員団を称えました。
Q&A
Q. タウソン店はなぜ特別視されているのですか? 2022年6月に米国のApple Storeとして初めて労働組合(IAM)を結成した店舗であるためです。組合を持つ店舗の閉鎖という前例のない事態が、労働問題として大きな注目を集めています。
Q. 従業員は他の店舗に転勤できないのですか? Appleは組合協定に基づき、タウソン店から50マイル以内の店舗への転勤のみを義務付けており、それ以外の場合は退職金を提供するとしています。IAMはこの対応が他の閉鎖店舗の従業員と比べて不平等だと主張していますが、両者の間で合意には至っていません。
Q. 閉店はいつ予定されていますか? 2026年6月20日が閉店予定日とされています。