米最高裁判所は2026年5月6日、AppleがEpic Games訴訟を連邦地方裁判所へ差し戻す手続きの一時停止を求めた申請を却下しました。これにより、Appleがアプリ外リンク経由の購入に課せる手数料率を算定する審理が、地裁で再開される見通しとなっています。
申請却下までの経緯——27%手数料と侮辱罪認定
この訴訟の発端は2021年にさかのぼります。当時の差し止め命令により、Appleはアプリ内に外部決済リンクを設置することを開発者に禁じることができなくなりました。しかし命令文にはApp Store手数料への明示的な言及がなかったため、Appleはアプリ外リンク経由の購入に対して27%の手数料を課し続けました。
2025年、Appleはこの対応が2021年の差し止め命令に違反するとして侮辱罪(contempt)に認定されました。第9巡回控訴裁判所はその後、Appleが手数料を徴収すること自体は認めつつも、具体的な料率の決定を連邦地裁に委ねる判断を下しています。
これを受けてAppleは今週、最高裁に対して地裁への差し戻し手続きの一時停止を申請。申請の根拠として、①侮辱罪認定は不当である(2021年の命令に手数料への言及がなかったため)、②侮辱罪の記録が差し戻し審理における自社の立場を不当に損なっている、③差し止め命令の効力がEpic Gamesとの争いを超えて米国App Storeの全開発者に及んでいる——という3点を主張しました。
さらにAppleは申請の中で、「世界各地の規制当局がこの訴訟を参照して手数料率を判断しようとしている」とも述べ、手続き上の不備が海外での公正な審理機会を損なうと訴えていました。
Epic Games CEOが「5年間の引き延ばし戦術」と批判
Appleのこの主張に対し、Epic Games CEOのTim Sweeney氏はすぐさま反応しました。9to5Macの報道によると、同氏はAppleの申請内容を「米国の司法制度における5年間の引き延ばし戦術——侮辱罪認定と虚偽証言による刑事告発につながった行為——が、世界中の開発者と消費者への救済を遅らせることを明確に狙ったものだと証明している」と述べています。
Epic Gamesは最高裁への反論書面の中で、Appleが「回復不能な損害」を示せていないと主張しました。最高裁の審査請求を進めながら地裁の差し戻し審理に参加することは、手続きの停止を正当化する理由にならないという論理です。また、審理をこれ以上遅らせることは、リンクアウト購入に課せる手数料率が不確定なまま放置されることを意味し、開発者と消費者に継続的な不利益をもたらすとも訴えました。
今後の焦点——地裁審理の再開とAppleの次の一手
Reutersの報道によると、最高裁のElena Kagan判事が裁判所を代表して、第9巡回控訴裁判所の判断(AppleをEpic訴訟における侮辱罪と認定した判断)の執行停止を拒否しました。
これにより、訴訟はYvonne Gonzalez Rogers連邦地裁判事のもとへ戻ることが確定的となり、App Store外リンク経由の購入に対してAppleが課せる手数料率を算定する審理が近く再開される見通しです。現時点では、地裁が新たな料率を承認するまで、Appleはリンクアウト購入に手数料を課すことができない状態が続いています。
一方でAppleは、最高裁に対して正式な審査請求(certiorari)を提出することが見込まれていると9to5Macは伝えています。最終的な決着がいつになるかは、現時点では不明です。
日本を含む世界各地の規制当局がこの訴訟の行方を注視しているとApple自身が申請書で認めているだけに、地裁での手数料率算定の結果はApp Storeエコシステム全体に影響を与える可能性があります。続報を待ちましょう。
Q&A
Q. 現在、App Store外リンク経由の購入にAppleは手数料を取れるのですか? 地裁が新たな料率を承認するまで、Appleはリンクアウト購入に手数料を課すことができない状態です。今後の地裁審理で料率が決定される見通しです。
Q. Appleはこれ以上争う手段がありますか? 最高裁に正式な審査請求を提出することが見込まれていると報じられています。ただし最高裁が審査を受理するかどうかは確認されていません。
Q. この訴訟は日本のApp Storeにも影響しますか? ソース記事では米国App Storeの話として報じられています。ただしApple自身が申請書の中で「世界各地の規制当局がこの訴訟を参照している」と述べており、日本を含む各国の規制議論に影響を与える可能性があります。